EXCLUSIVE model2251
PROFESSIONAL STUDIO MONITOR ¥600,000
1993年に,パイオニアがエクスクルーシブブランドで発売したスピーカーシステム。プロ用として開発された
TADのユニットを搭載したスタジオモニタースピーカーで,上級の24012402が大口径ウーファーを搭載
した大型モニタースピーカーであったのに対し,より小型のモニタースピーカーとして開発されたものでした。

「TAD=Tecnical Audio Devices」は,1975年にパイオニアが発足させたブランドで,来るべきデジタル
レコーディング時代を見通したスピーカーを追求するという理念のもとで始まったものでした。そして,TADブ
ランドで作り出されたスピーカーユニット等はその優れた性能から高い評価を受け,アメリカを中心にプロ用
モニターの分野でシェアを伸ばしていきました。2251は,その高性能なTADユニットを搭載して作り上げら
れた小型のコントロールルームや編集用に開発された(小型といってもスピーカーシステム全体で47kgもの
重量がありますが・・・。)2ウェイモニタースピーカーシステムでした。



TL-1102
Low Frequency Loudspeaker ¥100,000

ウーファーは,25cm口径のコーン型ユニット・TL-1102が搭載されていました。振動板はエージング処理
を行った天然パルプを主材に,特殊フィルムをラミネートし,その表面に特殊制動塗料をコーティングした複
合コーンでした。軽量かつ強靱で劣化もほとんどないという,プロ用ユニットとしてすぐれた特性を実現してい
ました。
磁気回路は,原理的に二次高調波歪みを低減できるアルニコマグネット採用の内磁型で,磁石動作点にも
余裕のある設計とすることで,ハイパワー時の減磁による感度低下も低く抑えられていました。磁気回路の
ヨークとプレートを特殊鋳物製造法によって一体成形し,センターポールもヨークにネジ止めすることで,磁
気回路の剛性を約4倍に向上させ,広い帯域にわたる高解像力と高出力を実現していました。

           
TD-2002
High Frequency Driver ¥150,000


TH-2002
APAXIAL Horn

トゥイーターには,ホーン型ユニットが搭載されていました。コンプレッションドライバーのTD-2002は,軽
量・高剛性の4.8cm口径のベリリウムダイアフラムが採用され,約20,000ガウスの磁束密度を得るア
ルニコマグネット採用の磁気回路で,広帯域特性とすぐれたリニアリティを実現していました。また音波の
乱れを防ぐフェイジングプラグには,超高域での位相整合が行いやすい円環状スリット型を採用していま
した。さらに,給電部の見直しも行われ,ダイアフラムアッセイ上のターミナルがバックカバーの外へ直接
出るダイレクト給電ターミナルとしていました。これにより,内部の交流磁束や音圧の影響を少なく抑えて
いました。
ホーン・TH-2002は,コンパクトに設計されたホーンで,小容量モニタールーム向けを考慮して,指向角
は水平60度,垂直30度に設定されていました。さらにAPAXIAL(Asymmetrical Pattern,Axis&Le-
vel)手法による上下非対称ホーンとすることで,滑らかな音圧特性を得るとともに,上下方向の指向制御
を積極的に行い,エンクロージャー上端や天井からの反射の影響を抑え,クリアな定位を確保していまし
た。また,ホーン特有の共振を抑えるために,AFAST(Accoustical Filter Assisted System Tun-
ing)を採用していました。ホーン上部に設けた音響管によって吸収して,ピッチ(音の高さ)による音像の
前後移動をなくし,クリアな再生音を実現していました。こうした設計に加え,ホーンのフレアのところにポ
ートを設け,ホーン臭さのない音が実現されていました。

エンクロージャーは,業務用モニタースピーカーとして設計されているだけあって,質実剛健ともいえそうな
堅牢な作りとなっていました。
また,業務用ではなく音楽のリスニング用として用いられることも考えられており,そのための専用のスピー
カースタンドCP-2251(別売・¥180,000 2台1組)が用意されていました。接地面の平坦性を問わな
い3点支持方式を採用し,安定性を確保していました。共振や音の反射などによる悪影響を避けるために
太い木枠で三角形状に構成した構造となっていました。リスニング位置に対して三角形状の底辺を正面に
あるいは頂点を正面にしたり,付属の木製ボールによるポイント支持など,音質調整ができるようになって
いました。



以上のように,2251は,モニタースピーカーとして高い完成度をもったシステムでした。最新の設計の
ホーン型ユニットを生かした,ホーンの弱点を抑えつつ,ホーンならではの鳴りの良さを実現していまし
た。音楽観賞用としては,誰でも使いやすいというタイプのシステムではありませんでしたが,スピーカー
システムとして高い能力をもち,使いこなしがいのある1台でした。


EXCLUSIVE model2252
PROFESSIONAL STUDIO MONITOR ¥550,000


2年後の1995年には,同一のユニットを使用し,より小型化された2252が発売されました。2251を
ベースに,レイアウトスペースの限られたレコーディングスタジオなどに対応したモデルとして,可能な限
りエンクロージャーが小型化されていました。低域特性に若干の違いはありましたが,モニタースピーカー
として高い能力をもっていました。


以下に,当時のカタログの位置具をご紹介します。



model2251

モデル2251は,小型のコントロールルームや編集用に開発さ
れた,プロフェッショナルスタジオモニター・スピーカーシステム。
モデル2401ツイン/2402の設計思想を継承するとともに,近
年の音楽ソースの多様化,高音質化に応え,幅広いジャンルの
ソースに対応できる音質,より高い分解能,明確な定位感,優
れた応答性を追求しました。またプロフェッショナル用として不可
欠の高い耐久性,信頼性も高いレベルで実現しています。



model2252

モデル2252は,モデル2251をベースにエンクロージャーを
可能な限り小型化し,レイアウトスペースの限られたレコーディ
ングスタジオなどからの要望に応えた,プロフェッショナルスタジ
オモニター・スピーカーシステムです。ユニットにはモデル2251
と同一のTADユニットを使用し,スタジオモニターとしての高い
解像力と優れた応答性を実現。今後ますます多様化,高度化
していく制作環境の中で,確かな音づくりをサポートします。




●Specifictions●

   model2251 model2252 
使用ユニット TL-1102
TD-2002
TH-2002 
TL-1102
TD-2002
TH-2002 
インピーダンス  8Ω  8Ω 
再生周波数帯域  30~25,000Hz  32~25,000Hz 
許容入力  最大500W  最大500W 
出力音圧レベル  93dB  93dB 
最大出力音圧レベル  120dB(1m)  120dB(1m)  
クロスオーバー周波数  950Hz  950Hz 
外形寸法 450W×650H×450Dmm
(グリル込み,エンクロージャー奥行き420mm) 
370W×550H×450Dmm
(グリル込み,エンクロージャー奥行き420mm) 
重量 47kg  37.5kg 
※本ページに掲載したmodel2251,model2252の写真,仕様表等
 は1997年9月のPIONEERのカタログより抜粋したもので,パイオニ
 ア株式会社に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断
 で転載,引用等をすることは法律で禁じられていますのでご注意く だ
 さい。

                        
 

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