ONKYO Integra A-722NⅡ/160
INTEGRATED STEREO AMPLIFIER ¥128,000
1974年に,オンキョーが発売したプリメインアンプ。オンキョーはスピーカーからスタートし,ソリッド
ステートアンプ時代に入り,アンプの分野にも進出し,高い技術力を示していきました。オンキョーは
1969年に,プリメインアンプの「インテグラシリーズ」をスタートさせ,最上級機インテグラ701はそ
の高性能でオンキョーのアンプ技術の評価を高めました。そして,その4年後の1973年に次の世
代の最上級機A-711を発売し弟機としてA-722も発売されました。翌年の1974年にはA-722Ⅱ
をはじめとする「Ⅱシリーズ」が発売され,さらに1974年に「NⅡシリーズ」が展開されていきました。
「NⅡシリーズ」はプリメインアンプだけでなくチューナー,セパレートアンプなどが展開され,プリメイ
ンアンプの最上級機がA-722NⅡでした。
パワーアンプ回路は,新開発の差動1段,定電流駆動のOTL回路を採用していました。特に,ドライ
バー段には,リニアリティ(hfe=直流電流増幅率)と高周波特性(Cob=コレクタ出力容量 fT=トラ
ンジション周波数)のすぐれたトランジスタを厳選して使用し,聴感上の影響が大きいパワーバンドウィ
ズス特性を,100kHzまで伸ばしていました。強力な電源部とあいまって,80W+80W(8Ω,両ch
駆動1kHz))という160の型番通りの大出力と0.05%(定格出力時1kHz)という低歪率を実現し
ていました。
トーンアンプ回路は,差動1段3石構成のオペレーショナルアンプ型回路を採用していました。最適時
定数の選定,オープンループでのダイナミックレンジの確保,SN比の改善等によりトーンのON/OFF
に関係なく,過渡応答特性にすぐれ,低歪率となっていました。
イコライザー回路は,差動1段終段シングル4石構成のオペレーショナル型アンプが採用され,すぐれ
た立ち上がり特性を実現し,PHONO最大許容入力は330mV RMS(2.4mV 1kHz THD0.1
%)を確保していました。
電源部は,レギュレーションのよい大型の電源トランスを核として,±2電源用の18,000μF×2の
大容量ケミカルコンデンサーを搭載していました。さらに,1.6mm厚の純銅及び50芯5本分に相当
する5.5mm2の銅線を使ったブスアースラインを装備し,アースインピーダンスの低減を図り,大入
力信号に対する応答特性を改善していました。
ボリュームコントロールとトーンコントロールには,連動誤差±0.5dBの精密トリミング・アッテネーター
ボリュームを採用していました。ボリュームは,43接点,トーンはBASS,TREBLE独立で,2dBステッ
プ10段階で,正確で再現性のあるセッティングが可能となっていました。トーンコントロールにはさらに
TREBLE(2kHz,8kHz),BASS(400Hz,125Hz)それぞれターンオーバー周波数2段切換が装
備され,DEFEATも可能となっていました。
その他,機能としては,LOW CUT/HIGH CUTのフィルター,2段階のラウドネス,-20dB/-10dB
のミューティング,MODE切換などが装備されていました。
入力は,PHONO2系統,TUNER AUX2系統,TAPE2系統が装備され,PHONOは,1.2/2.4/
4.8mVの3段階の入力感度切換が装備され,さらにPHONO1には,100kΩ/50kΩ/30kΩの
インピーダンス切換が装備されていました。TAPEは相互ダビングが可能となっていました。スピーカー
出力は3系統装備されていました。また,PRE-OUT,MAIN-INも装備されていました。
以上のように,A-722NⅡは,当時の同社のプリメインアンプの最上級機として,オーソドックスに正攻
法で作り上げられていました。しっかりと機能を装備し,ウッドキャビネットを装備した重厚な外観のイメ
ージ同様に,中域にしっかりと厚みのある音は,音楽をしっかりと聴かせてくれるものでした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
充分なパワーと低歪率。
本格的なブスアースラインと
強力電源部のコンビから
リズムにのった生きた音楽を再生。
●主な定格●
メインアンプ部 | |
定格出力 | 1kHz 両ch駆動 8Ω(4Ω):80W+80W(90W+90W) 20Hz~20kHz 両ch駆動 8Ω:75W+75W |
ダイナミックパワー | 240W(8Ω1kHz) |
全高調波歪率 | 定格出力時 1kHz:0.05%以下 10W出力時 1kHz:0.03%以下 0.5W出力時 1kHz:0.03%以下 |
パワーバンドウィズス | 10Hz~100kHz(IHF-3dB,THD0.3%) |
S/N | 110dB以上(IHF・Aネットワーク 入力シャント) |
ダンピングファクター | DC~20kHz 8Ω(4Ω):80(40) |
負荷インピーダンス | 4Ω~16Ω |
入力インピーダンス | 100kΩ(10Hz~50kHz) |
利得 | 28dB |
定格入力電圧 | 1V(MAIN-IN) |
入出力極性 | 同相 |
出力端子 | SPEAKER A・B・C・A+B ヘッドホン |
プリアンプ部 | |
入力感度・インピーダンス | PHONO-1:1.2/2.4/4.8mV・100kΩ/50kΩ/30kΩ PHONO-2:1.2/2.4/4.8mV・50kΩ TUNER:100mV・50kΩ AUX-1・2:100mV・50kΩ TAPE PLAY-1・2:100mV・50kΩ |
全高調波歪率 | 0.03%以下(1V出力時・1kHz) |
混変調歪率 | 0.05%以下(SMPTE 1V出力時 70Hz:7kHz=4:1) |
RIAA偏差 | ±0.2dB以下(PHONO-1・2 30Hz~15kHz) |
PHONO最大許容入力 | 1kHz/10kHz(RMS):330mV/1540mV(感度2.4mV・THD0.1%時) |
S/N(IHF・Aネットワーク) | PHONO-1・2:75dB以上 TUNER:90dB以上 AUX-1・2:90dB以上 TAPE PLAY-1・2:90dB以上 |
出力電圧 | PRE-OUT:定格1V・最大4V(100kΩ負荷時) TAPE REC-1・2:定格100mV |
出力インピーダンス | PRE-OUT:2.7kΩ TAPE REC-1・2:12kΩ |
トーンコントロール | TREBLE((ターンオーバー2kHz時):±10dB at 10kHz BASS(ターンオーバー400Hz時):±10dB at 100Hz |
ターンオーバー周波数 | TREBLE:2kHz/8kHz/DEFEAT BASS:400Hz/125Hz/DEFEAT |
ラウドネス(VR-30dB時) | +5dB at 70Hz・+3dB at 10kHz LOW/LOW+HIGHの2段切換 |
フィルタ | HIGH:5kHz・20kHz 6dB/oct LOW:30Hz・10Hz 12dB/oct |
ミューティング | -10dB/-20dB |
入出力極性 | EQ AMP:同相 TONE+BUFFER AMP:同相 |
トランジェントキラー動作 | SW ON時:約4秒 SW OFF時0.5秒より開始 |
使用半導体 | Tr49,Di38 |
電源 | AC100V 50/60Hz |
消費電力 | 電気用品取締法規格:200W 最大消費電力:620W |
AC出力 | SWITCHED 2(計200VA) UNSWITCHED 1(計200VA) |
寸法 | 467W×161H×384Dmm |
重量 | 14.3kg |
※本ページに掲載したA-722NⅡの写真,仕様表等は,1975年
8月のONKYOのカタログより抜粋したもので,オンキヨー株式会社
に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載・
引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。
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