AM-A90の写真
AKAI AM-A90
STEREO INTEGRATED AMPLIFIER ¥99,800

1986年に,アカイが発売したプリメインアンプ。アカイは,テープデッキメーカーとして知られていましたが,海
外では,システムステレオ,アンプ,スピーカーなど,総合メーカーとして展開していました。国内でも1970年代
初期には,単品コンポーネントとしてのスピーカーシステムなどを発売しているなど,総合メーカーとしての展開
を模索していました。しかし,それ以降,ミニコンポなども発売しましたが,テープデッキ以外の製品が広く知ら
れる存在ではありませんでした。そんな中,1980年代後半に入り発売した単品プリメインアンプがAM-A90
とAM-A70(¥69,800)でした。

AM-A90の最大の特徴は,「OPEN LOOP CIRCUIT」でした。これは,通常アンプ回路で広く用いられる
NFBループを排除したアンプ回路で,シンプルな回路を追求したものでした。出力信号の一部を逆相にして
入力側にもどすNFB(ネガティブ・フィードバック)は,歪みの低減,アンプ動作の安定化などのメリットがあり
ますが,実際に変動する信号を増幅するアンプ回路では,完全な逆相にしてもどすことは難しく,動的歪みと
呼ばれる歪みや,音の立ち上がり,伸びを抑えてしまう傾向が出るなど,デメリットもあり,この頃,オーバー
オールのNFBを搭載しないアンプも増えていました。
AM-A90は,基本的に電圧増幅アンプ(Vアンプ)と電流増幅段(Iアンプ)の2段だけというシンプルな構成で,
パワーステージは,パワートランジスターをチャンネルあたり2個使用したパラレルプッシュプル2段ダーリント
ン構成として,通常3段で構成されるパワーステージがよりシンプル化されていました。その上で,PHONOイ
コライザーアンプおよびメインアンプに「OPEN LOOP CIRCUIT」を搭載していました。さらに,VアンプとI
アンプの間にアカイ独自のゼロドライブ回路を挿入し,低インピーダンス駆動能力を向上させ,全段直結2ポ
ールDCサーボアンプで回路の安定性を高めていました。

OPEN LOOP CIRCUIT

電源部には,ハイレギュレーション(安定性が高い)で,リーケージフラックス(磁束洩れ)対策を施した,電源
容量339VAの大型のトロイダルトランスと,71V,12000μFのフィルターコンデンサーが2本搭載され,強
力な電源部が構成されていました。AS-1,Vアンプ/Iアンプ用の整流回路には,それぞれファーストリカバリー
ダイオードが採用され,電源部のクオリティの向上が図られていました。

AM-A90の電源部パーツMOS FET

パワーアンプの出力段は,MOS FETによるパラレルプッシュプル構成で,ドライブ段に高分解能のFBET(折
り返し電極トランジスタ−)を使用していました。片チャンネル2個ずつのMOS FETは,経年変化の少ない高
熱伝導性絶縁シートを介して大型のアルミヒートシンクに取り付けられていました。ドライブ段のFBETには銅
ヒートシンクを採用して,振動を抑えつつ放熱を高めていました。その他,電解コンデンサーの塗料に非磁性体
のものが採用され,全入出力端子に導電性・体型年変化に優れた金メッキ端子が採用され,極性表示付きの
無酸素銅電源コードが搭載されるなど,細かな配慮が各部になされていました。

AM-A90の内部

イコライザーアンプは,ディスクリート構成によるハイゲインタイプで,MMだけでなくMCにも対応していました。
入力系は,PHONO,TUNER,CD,TAPE2系統に加え,VTR,V-DISCと称された端子が設けられ,あわ
せてMONITOR OUT(Video)によってディスプレイに出力できる,両入力の映像入力が装備されており,AV
用途にも対応していました。さらに,インプットセレクターとは独立して使用できるレックセレクターによって,別
ソースを聴きながらの録音もできるようになっていました。
その他,BASS,TREBLE独立トーンコントロール,トーンコントロール回路をジャンプするラインストレートスイ
ッチ,−20dBのミューティングスイッチ,ラウドネススイッチ,サブソニックフィルター,モード(STEREO,MONO
LEFT,RIGHT)なども装備されていました。

以上のように,AM-A90は,アンプブランドとしては,国内であまり認知されていなかったアカイが,しっかりと
作り込みをして完成させたプリメインアンプでした。MOS FETらしい明るく繊細な音は,アカイのテープデッキ
の音にも通じるものがありました。
また,AM-A90には,弟機としてAM-A70が発売されていました。電源部,出力等全体に小型化され,出力段
がMOS FETではない,モードスイッチがないなどの違いはありましたが,基本的な回路構成,機能なども継承
され,デザイン的にもほぼ同一のものとなっていました。

AM-A70の写真
AKAI AM-A70
STEREO INTEGRATED AMPLIFIER ¥69,800


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



パワーMOS-FETを採用し
音の純度をさらに磨いた,
145W+145W(6Ω)の
ハイパワー&ハイグレード・アンプ。


◎「音質」のためのシンプル&ストレート回路
 OPEN LOOP CIRCUIT。
◎MOS-FET採用の2ステージ構成パワーアンプ。
◎大型トロイダルトランスの強力電源部をはじめ
 高音質化を徹底。
◎CDの音がダイレクトに聴けるラインストレート
 スイッチ。
◎AVシステムへの発展に応える,ビデオ(映像・音声)
 入出力端子装備。

●ディスクリート構成の高性能イコライザーアンプ
●インプットセレクターと独立して使用できるレックセレクター
●2系統スピーカー切換えスイッチ
●MCカートリッジセレクタースイッチ
●−20dBミューティングスイッチ
●サブソニックフィルター/ラウドネススイッチ
●アルミフロントパネル
●全入出力端子に導電性・耐経年変化に優れた金メッキ端子採用
●極性表示付き無酸素銅電源コード




●Specifications●

●パワーアンプ部●

 
AM-A90
AM-A70
実効出力
(20Hz〜20kHz,両ch駆動)
145W+145W(6Ω)
130W+130W(8Ω)
115W+115W(6Ω)
100W+100W(8Ω)
全高調波歪率
0.7%(20Hz〜20kHz)
0.5%(8Ω,実効出力時)
0.7%(20Hz〜20kHz)
0.5%(8Ω,実効出力時)
出力帯域幅
10Hz〜80kHz
10Hz〜80kHz
ダンピングファクター
30(1kHz,8Ω)
30(1kHz,8Ω)
周波数特性
5Hz〜100kHz(−3dB)
5Hz〜100kHz(−3dB)


●プリアンプ部●

 
AM-A90 AM-A70
入力感度/入力インピーダンス
PHONO(MM):2.0mV/47kΩ
PHONO(MC):0.2mV/100Ω
CD,TUNER,TAPE:150mV/47kΩ
VTR,V.DISC(Audio):150mV/47kΩ
VTR,V.DISC(Video):1Vp-p/75Ω
PHONO(MM):2.0mV/47kΩ
PHONO(MC):0.2mV/100Ω
CD,TUNER,TAPE:150mV/47kΩ
VTR,V.DISC(Audio):150mV/47kΩ
VTR,V.DISC(Video):1Vp-p/75Ω
PHONO最大許容入力
MM:250mV/(1kHz)
MC:25mV/(1kHz)
MM:250mV/(1kHz)
MC:25mV/(1kHz)
出力レベル/出力インピーダンス
TAPE REC:150mV/1kΩ
VTR REC(Audio):150mV/1kΩ
VTR REC(Video):1Vp-p/75Ω
MONITOR OUT(Video):1Vp-p/75Ω
TAPE REC:150mV/1kΩ
VTR REC(Audio):150mV/1kΩ
VTR REC(Video):1Vp-p/75Ω
MONITOR OUT(Video):1Vp-p/75Ω
S/N比(IHF-A)
PHONO(MM):86dB
PHONO(MC):67dB
CD,TUNER,TAPE:100dB
PHONO(MM):86dB
PHONO(MC):67dB
CD,TUNER,TAPE:100dB
定格消費電力(電気用品取締法)
195W
160W
最大外形寸法
440W×120H×410Dmm
440W×120H×410Dmm
重量
12.5kg
11.5kg

※本ページに掲載したAM-A90,AM-A70の写真,仕様表等は1986年3月の
 AKAIのカタログより抜粋したもので,赤井電気株式会社に著作権があります。
 したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられてい
 ますのでご注意ください。

 

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