PART2
かつてはオーディオシステムの中で中心的役割
を果たしていたアナログプレーヤー。国産機の中
にも数多くの名機・銘機,はたまた迷機がありま
した。デジタル時代の今では,忘れ去られたかの
ようなアナログプレーヤー。今,その時代を振り
返ってみましょう。アナログの名機たちも取り上
げる機種数が多くなってきたのでいよいよ2ペー
ジ目に入ります。
SANSUI SR-929
サンスイが1976年に発売したマニュアルプレーヤー。
アンプでは有名なサンスイもアナログプレーヤーの分
野ではあまり知られていませんが,本機は,突如といっ
た感じで出てきた力作でした。ピアノフィニッシュの美し
く頑丈なキャビネット,高感度のナイフエッジ方式のアー
ム,クォーツ制御の高精度なターンテーブルなど,価格
からは考えられないほど充実した内容を持つ名機だっ
たと思います。
YAMAHA GT-2000x
ヤマハが1985年に発売した重量級プレーヤー。
アナログのコーナーの1ページ目で紹介したGT-2000
GT-2000Lのスペシャルモデルで,ターンテーブル
シャフト,キャビネットなどを強化し,ベースモデルの
GT-2000をさらに強力なものにしていました。
¥320,000はさすがに高価ですが,現在ではこれ
だけの内容のプレーヤーをこの価格ではとうてい作
れないことでしょう。
MICRO SZ-1
超弩級のアナログプレーヤーで名をはせているマイ
クロの中でも恐らく頂点に立つと思われる超超弩級
機がこのSZ-1でした。ターンテーブルの「エアーベ
アリング」による浮上のみならず,レコードの吸着,
さらに,モーターの軸受け部の摩擦をなくすために
モーターユニットまでに「エアーベアリング」を取り入
れた徹底した設計は驚異的なものでした。しかし,
理想を追求するあまり,重量や価格の面で超超弩級
となってしまい,1983年に発売されたものの,短命
に終わり,幻の名機となってしまい
ました。
SANSUI XR-Q7
サンスイが1981年に発売したフルオートプレーヤー。
外観はオーソドックスなプレーヤーですが,ターンテー
ブルの回転変動によるキャビネットの振動を抑えるた
めの「サイレントシンクローター」というユニークな仕組
みをターンテーブル下部に備えた私にとってある意味
記憶に残る個性的なプレーヤーでした。
YAMAHA PX-3
ヤマハが1981年に発売したリニアトラッキング方式の
プレーヤー。PX-1,PX-2とリニアトラッキング方式の
高級プレーヤーを出してきたヤマハがより身近な価格
で出してきたプレーヤーでした。しかし,それまでに上級
機で蓄積した技術やノウハウを注いで作られていたため
上級機に負けず,優れた性能と操作性を持っていました。
洗練されたそのデザインも印象的でした。
MICRO SX-777
マイクロが1982年に発売したアームレスプレーヤー
システム。同社の超弩級機SX-8000,5000シリー
ズを音楽ファン向けにソフィストケートして,よりプレー
ヤーらしい形にした高級機といった感じのモデルでした。
同社の超弩級機のようなメカメカしさは感じられないも
のの,中身に投入された「エアーベアリング方式」をは
じめとする高精度な技術は,滑らかな回転を実現し,
アームの性能を引き出してくれる,超高性能なターン
テーブルとなっていました。
Technics SL-1200
テクニクスが1972年に発売したプレーヤーシステム。
「SL−1200シリーズ」は,(2001年)現在でも,現
役の機種であるため懐古録といえるのかとも思いまし
たが,初代から,モデルチェンジを受けながら,超ロン
グセラーを続けている名機ということで取り上げました。
その安定性と信頼性が世界中で認められた名機とい
えるでしょう。
Technics SL-M1
テクニクスが1983年に発売したプレーヤーシステム。
比較的メカニックなデザインが多いテクニクスの中で
はウッドキャビネットが目立ちますが,恐ろしくオーソ
ドックスにまじめに作られたプレーヤーで,価格から
考えられないほどしっかりした中身を持っていました。
Victor QL-A70
ビクターが1983年に発売したマニュアルプレーヤー
システム。オーソドックスな作りですが,重量級のター
ンテーブル,優れた性能のトーンアーム,美しいキャビ
ネットを持つプレーヤーシステムでした。今から見ると
「これほどのプレーヤーがこの価格で!」といった感じ
を持つのは私だけではないでしょう。
DIATONE LT-5V
ダイヤトーンが1980年に発売したフルオートプレー
ヤー。リニアトラッキング方式を採用し,縦型というユ
ニークな形式を採用した1台として記憶に残っている
方も多いでしょう。
PIONEER PL-88F
パイオニアが1981年に発売したフルオートプレーヤー
システム。アナログプレーヤーにフロントローディングと
いうカタチを導入し,セッティングの自由度を高めた1台
でした。テクニクスのジャケットサイズ,ダイヤトーンの縦
型とはまた違った意味でユニークな存在として記憶に残
る1台だと思います。
Victor QL-Y7
ビクターが1979年に発売したプレーヤーシステム。
ソニーなどとともにビクターも早くから電子制御アー
ムに取り組んでいたブランドで,ビクターらしい美しい
キャビネットが印象的な1台でした。
marantz Tt-1000
マランツが1980年に発売したプレーヤーシステム。
硬質ガラスとアルミを組み合わせたキャビネットが美
しいプレーヤーでした。デザインだけでなく正攻法で
無共振を追い求めたその設計は,名機として記憶に
残る1台だったと思います。
DENON DP-59L
デンオン(現デノン)が1984年に発売したアナログプ
レーヤー。それまでのデンオンのプレーヤーとは違っ
たイメージのオーソドックスなデザインの中にACサー
ボモーター,デンオンクォーツといった伝統の技術を投
入し,電子制御アームをも搭載した使いやすい高性能
プレーヤーでした。
MICRO DQX-1000
マイクロが1978年に発売したターンテーブルシステム。
回転メカニズムの「原器」とマイクロ自身が称していたと
おり,キャビネットのないターンテーブルそのもののデザ
インはシンプルで美しく,また,アームを使い分けたりし
てアナログを楽しむオーディオファンに使いやすい設計
でした。
DIATONE DP-EC1
1976年にダイヤトーンが発売したフルオートプレーヤー。
フルオート機構の制御に電子制御を取り入れた国産初の
電子制御プレーヤーとして画期的な1台でした。そのキャ
ビネットの内部がパーツでぎっしり埋まっている様子は,こ
のプレーヤーを作り上げたダイヤトーンの技術者の情熱
が感じられます。
AUDIOCRAFT AR-110
1983年にオーディオクラフトが発売したプレーヤーシステム。
オーディオクラフトはワンポイントサポート・オイルダンプ方式
トーンアームやイコライザーアンプなどアナログの分野で趣味
性の高い製品を作っているブランドですが,このAR-110も
フローティング式キャビネット,ベルトドライブ方式など,ひと
味違った個性を感じさせる1台だったと思います。
YAMAHA PX-1
1977年にヤマハが発売したフルオートプレーヤーシステム。
同社初のリニアトラッキング方式アーム搭載機で,機能的で
精悍なデザインをもっていました。後に続くPX-2,PX-3の
上位に当たる1台で,これらと比べても最も贅を尽くした内容
を持った最高級機でした。
SONY PS-B80
1978年にソニーが発売したフルオートプレーヤー。電子制御
アーム「バイオトレーサー」を搭載したプレーヤーの第1号機で
後に,ESPRITブランドのプレーヤーとして売られていた当時の
ソニーを代表する高級機でした。
YAMAHA YP-D10
1977年にヤマハが発売したプレーヤーシステム。ターンテーブル
アーム,キャビネットと各部がオーソドックスかつしっかりと作り上
げられた音質重視のマニュアルプレーヤーでした。
※ここに掲載された写真は,各製品のカタログからの
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