ＭＩＣＲＯ　ＢＬ-１１１/１１１Ｌ
ＡＲＭＬＥＳＳ　ＰＬＡＹＥＲ　ＳＹＳＴＥＭ　￥２７０，０００

１９８０年に，マイクロが発売したプレーヤーシステム。マイクロがアームレスプレーヤーシステムと称して
いるように，トーンアームを装備していないプレーヤーシステムで，つまりターンテーブルシステムといえる
モデルでした。１９７９年のＢＬ-７１からスタートした，「ＢＬ」の型番を持つシリーズの，最上級機として発売
されたのがＢＬ-１１１でした。

ターンテーブルは，重量１０ｋｇ（！），慣性質量１．５トン・ｃｍ²（！）という砲金製のものが搭載されていま
した。この重量級ターンテーブルがオイルバス方式の１６mm径の極太のシャフトアセンブリーで支えられ
ていました。このシャフトアセンブリーは，軸径１６mmのステンレス鋼シャフトとしんちゅうのブロック削出し
加工による大型アセンブリーで，真円度０．４μmの極太のステンレスシャフトは熱硬化処理を経た後ラッ
ピングされ，さらに，軸受けと一対の組み合わせで精密ラッピングされ，鏡面仕上げされていました。シャ
フト表面に接する軸受け側は，上下２ヶ所の特殊合金ベアリングを採用し，シャフトの回転にともなって油
膜に鉛の分子が均一に析出され，非常に滑らかな観点が持続する新素材となっていました。シャフトとベ
アリング間は，オイルバス方式（油が満たされている）により，滑らかな回転を可能としていました。さらに
ターンテーブルの回転によって起こる共振に対して，ダンプ作用の効果も大きく，トータルのＳＮ比も向上
していました。



ターンテーブルを支えるシャフトアセンブリーとアームマウントは，大型の亜鉛製，重量１０ｋｇのフレーム
で結合され，回転メカニズムとアームサポートの「ダイレクト・カップリング」とすることで，プレーヤーの共
振モードの改善と厖大な回転エネルギーに対しても余裕のある機械的強度を実現していました。



ターンテーブルの駆動方式は，ベルトドライブ方式が採用されていました。ターンテーブルをベルトや糸でド
ライブするいわゆるリモートドライブとすることで，駆動用モーターの漏洩磁束がカートリッジに与える影響を
抑えることができ，駆動モーターの振動や共振を吸収してターンテーブルに伝わることを抑えることができる
などの利点があるといわれ，１９７０年代にはＤＤ方式を採用していたマイクロも，１９８０年頃より，こうしたリ
モートドライブ方式に特化するようになっていきました。重量級のターンテーブルを駆動するベルトには，マイ
クロ自慢のＳＦベルトが採用されていました。このＳＦベルトは，ポリエステル繊維をエンドレス状に編み，そ
の上にネオプレーン（合成ゴム素材）をコーティングしたもので，従来のゴム系の素材のベルトに比べて，駆
動モーターの回転エネルギーと定速性を確実に伝えることができるものでした。音の上でも，従来のベルト
や糸ドライブとは異なる力強さがあったようでした。
駆動モーターは，８極２４スロットＤＣブラシレスＦＧサーボモーターが搭載され，定格回転数は３３・1/3，４５
ｒｐｍで，±６％の回転数調整が可能となっていました。

キャビネットは，重量級のソリッドベースで，ＢＬシリーズに共通の木目調で，天然突き板木目仕上げとなっ
ていました。アームマウントベースは，アームによってＡ-１２０１～Ａ-１２０６がそろっているＡ-１２００シリー
ズが付属していました。しんちゅう製の堅牢なアームマウントベースで，標準で１個を選べるようになってい
ました。電源スイッチ，回転数調整などの操作系は，操作性を考慮して，すべてキャビネット前方上部に集
中配置されていました。

以上のように，ＢＬ-１１１は，すぐれた金属加工技術を生かした，マイクロらしいターンテーブルでした。高精
度に加工された重量級の金属部品による安定した静かな回転により，低音までしっかりと安定した再生音
が得られる１台となっていました。また，価格は同じながら，ロングアーム対応モデルのＢＬ-１１１Ｌも発売さ
れていました。

以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。

共振モードを徹底追求。
静寂な音の世界が見えてくる。

「ダイレクト・カップリング」で，振動循環系を
同位相化・高剛性化。

●ＢＬ-１１１/１１１Ｌの規格●

※本ページに掲載したＢＬ-１１１/ＢＬ-１１１Ｌの写真・ 仕様表等は
１９８３年４月のＭＩＣＲＯのカタログより抜粋したもので， マイクロ精
機株式会社に著作権があります。 したがって，これらの写真等を
無断で転載，引用等をすることは法律で禁じられていますので，
ご注意ください。
 

★メニューにもどる
　　
　　　
★アナログプレーヤーＰＡＲＴ７のページにもどる
 
 

現在もご使用中の方，また，かつて使っていた方。あるいは，思い出や印象のある方 そのほか，ご意見ご感想などをお寄せください。

↓

k-nisi@niji.or.jp