C-06とE-06の写真
LUXMAN E-06
PHONO EQUALIZER ¥260,000
LUXMAN C-06
CONTROL AMPLIFIER ¥260,000

1987年に,ラックスは,コントロールアンプC-06を発売しました。C-06は,フォノイコライザーをあえて搭載せ
ず,高性能な単体のフォノイコライザーE-06を組み合わせることでアナログレコード再生に対応しようとした設
計で,当時のラックスのコントロールアンプとして最上級機でした。こういった設計は,前年に同社が発売したプリ
メインアンプLV-109+LE− 109などにも見られ,デジタルオーディオ本格化の時代へのアナログレコード再生
についての同社の 一つの解答だったのかもしれません。

C-06の写真

C-06は,コントロールアンプとして,また,ラインレベルの信号に特化したラインアンプとして設計されていました。
ピュアな信号伝送を確保するために,バランスアンプ構成が採用され,「デュオバランスアンプ」と称されていまし
た。バランス入力時も,アンバランス入力時も,ペアバランス動作のDCアンプによって増幅され,シンプルでピュ
アな信号伝送系が追求されていました。さらにアンプ通過後に,ふたたび性格の異なるアンプ(バランスアンプで
通常設けられるゲイン1のインバーテッドアンプ)を通ることによる逆相出力の音質低下を最小限に抑えていまし
た。そして,ピュアな信号伝送を重視し,トーンコントロールはあえて搭載されていませんでした。
入力は,CDがBALANCE,COAXIAL(UNBALANACE)の切換式1系統,LINE4系統,フォノイコライザーアン
プをつなぐことを前提にしたPHONO/LINE1系統とTAPE端子が2系統装備されていました。出力は2系統装備
され,OUTPUT1は,バランス出力用のキャノンコネクターと通常のCAXIAL端子でPOSITIVE(正相)とNEGAT-
IVE(逆相)出力が設けられていました。システムによってはNEGATIVE出力を活用することができ,POSITIVE
出力とNEGATIVE出力をステレオパワーアンプのL/Rそれぞれに入力することで,反転アンプを介さないモノラル
ブリッジ(BTL)接続も可能になっていました。また,テープ入出力は2系統装備されていました。

4連アッテネーター

ボリュームとして,C-06,E-06のために開発された「アルティメイト・アッテネーター」が使用されていました。アル
ティメイト=究極と名付けられた大型の高性能アッテネーターで,この後も,アッテネーターに対するラックスの徹底
したこだわりは続いていくことになりました。ガラスエポキシ基板,金メッキ仕上げ,非磁性体抵抗配線,ダイキャス
ト押出材によるシールドケースなどで構成され,音質を重視した32ポイント型のアッテネーターでした。バランスアン
プであるC-06では,4連構成で搭載され,4連の中央にセパレーターを設けることでL/Rのクロストークも排除され
ていました。

C-06の内部

電源部は,コントロールアンプとして強力なものが搭載されていました。銅メッキケース入りのトロイダル型電源トラ
ンスがL/R独立で搭載され,ヒューズも別々に設けられるなど,相互干渉が抑えられていました。さらに,初段電源
回路の整流時に発生するスパイクノイズや電源回路から混入するデジタル系ノイズなどの影響を抑えるため,整流
回路の+側巻き線と−側巻き線を別巻き線とし,バイファイラ巻きされたノイズフィルターが挿入されるなどの対策
がとられていました。また,トータルにACの電源極性を統一することができるように,家庭のAC電源の極性が検知
できるラインフェーズセンサーが装備されていました。

パーツ等の面でも,厳選され,各部にしっかとした作りがなされていました。信号系の接点をできるだけ少なくするた
めに,各信号系にL/R完全に独立で,窒素ガス封入金接点リレーが34個も採用されていました。配線材にはPC-
OCC(単結晶高純度無酸素銅線)を採用し,電源インピーダンスを低減させるためにバスバーが採用されていまし
た。コンストラクションの面では,シールドが強化された初段ブロック,L/R分離シールドが施されたモノリシック(一
枚板,一体化の意味)レイアウトのガラスエポキシ基板,信号へのノイズや振動の影響を抑える非磁性体シャーシ
硬質木製キャビネットなど,しっかりした作りになっていました。

以上のように,C-06は,高級プリアンプC -05の後継機ともいえるコントロールアンプで,CDをはじめとするデジタ
ルオーディオが主流となってきた時代を反映した,フォノ系分離,ライン専用という設計で,すぐれた性能を実現して
いました。デジタル時代とは言いながら,中低域をしっかりと充実させ温かみを秘めた音には,ラックスらしい個性が
表れていました。

E-06の写真

E-06は,C-06をはじめとするライン専用アンプやフォノ入力をもたないコントロールアンプとの組み合わせを想定
したフォノイコライザーアンプで,価格がC-06と同一であることから分かるように,単体のフォノアンプとしてもう一つ
のプリアンプといえるような充実した設計がなされていました。ライン系のコントロールアンプとフォノイコライザーアン
プをそれぞれ専用設計して高性能を追求するという形は,デジタルオーディオ時代へのラックスの考え方がよく表れ
ていました。実際,この頃より,各社で,セパレートアンプを中心に,フォノ系への対応を専用のコンポーネントに任せ
フォノ系をあえて搭載しないものも増えていきました。

イコライザー回路はCR型で,1段・2段ともフラットアンプを用いた贅沢な回路構成になっていました。素直な特性を
生かし,SN比等の問題を解消するため,フラットアンプの素子の根本的な改善,CR素子の厳選などを行い,コスト
と検討が十分加えられたイコライザー回路となっていました。

MCトランス

MCカートリッジに対しては,MCトランスが搭載されていました。真空管アンプMB-300など多くのラックス製品のト
ランスを手がけてきた設計者により試作の末に完成されたこだわりのトランスが搭載されているというものでした。
線材にPC-OCCが採用され,線径からコア材,コアの重ね方,シールド方法まで吟味し尽くされたMCトランスで,
さらに,昇圧比の異なる2種類の専用トランスをL/R独立で,合計4個搭載するという贅沢なものとなっていました。
また,MCトランス入力もバランス受けが可能となっていました。

アッテネーターとして,C-06と同様に「アルティメイト・アッテネーター」が使用されていました。ガラスエポキシ基板
金メッキ仕上げ,非磁性体抵抗配線,ダイキャスト押出材によるシールドケースなどで構成された音質を重視した32
ポイント型のアッテネーターをL/R独立で搭載していました。そして,最大出力付近では,0.5dBステップでカートリッ
ジの出力バランスの微妙な調整ができるトリムコントロールとしてのカーブ特性が与えられていました。また,可変出
力の他に,アッテネーターを介さないダイレクト端子も装備されていました。

E-06の内部

電源部,パーツ等についても,コントロールアンプであるC-06に匹敵するしっかりしたものとなっていました。電源部
は,銅メッキケース入りのトロイダル型電源トランスがL/R独立で搭載され,ヒューズも別々に設けられ,整流回路の
+側巻き線と−側巻き線を別巻き線とし,バイファイラ巻きされたノイズフィルターが挿入されるなど,C-06と同様の
ものが搭載され,ラインフェイズセンサーも装備されていました。さらに,イコライザ回路の前後の入力アンプと出力ア
ンプの電源部を共通とせず,それぞれに適した定電圧電源が搭載され,信号の特性・位相の異なる両アンプへの配
慮が行われていました。
窒素ガス封入金接点入力切換リレー,PC-OCC(単結晶高純度無酸素銅線)配線材,電源インピーダンスを低減さ
せるためのバスバー,シールドが強化された初段ブロック,L/R分離シールドが施されたモノリシックレイアウトのガラ
スエポキシ基板,信号へのノイズや振動の影響を抑える非磁性体シャーシ,硬質木製キャビネットなど,C-06とほぼ
同様のものが採用されていました。

以上のように,E-06は,フォノイコライザーアンプとして,充実した内容をもつ1台でした。コントロールアンプC-06と
同じ大きさ,重量をもつということからも,その贅沢ともいえる作りがうかがえると思います。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



きわめる音楽。生命ある伝送。
音楽に寄せる熱い思いが,イコライザーと
コントロール部を分離独立させました。


◎音楽感動に向かう2つのプロセス
◎アナログの無限の可能性を求めて。
◎現代のコントロールアンプの使命を担って。


E-06
◎手作りのMCトランスを4個搭載。
◎言わばCRイコライザー音楽回路。
◎アルティメイト・アッテネーターを新開発。
◎アンプごとに最適な定電圧電源を投入。
◎純粋アナログ再生への妥協のないプロフィール。


C-06
◎バランス特性に優れたデュオバランスアンプ。
◎音にこだわり4連アッテネーターを新開発。
◎高品位伝送を支えるL/R独立電源トランス(E-06,C-06共通)
◎静寂を求めてノイズフィルター採用。(E-06,C-06共通)
◎ポジティブ/ネガティブ出力の活用。
◎極性が統一できるラインフェイズセンサー(E-06,C-06共通)
◎すみずみに妥協のない音質優先を徹底。




●SPECIFICATIONS●


●C-06●

方式
バランス入出力対応コントロールセンター
入力端子/感度/インピーダンス
CD BALANCE 150mV/80kΩ
CD COAXIAL 150mV/40kΩ
PHONO LINE 150mV/40kΩ
LINE1 150mV/40kΩ
LINE2 150mV/40kΩ
LINE3 150mV/40kΩ
LINE4  150mV/40kΩ
TAPE1&2 150mV/40kΩ
出力端子
OUTPUT1 BALANCE1,COAXIAL2(POSITIVE,NEGATIVE)
OUTPUT2 COAXIAL1(POSITIVE)  
出力/出力インピーダンス
BALANCE 定格2V/最大20V/16Ω
COAXIAL  定格1V/最大10V/8Ω
全高調波歪率
0.005%以下(定格出力時)
周波数特性
5Hz〜100kHz ±0.5dB以下
S/N比
110dB(IHF-A)
付属装置
テープダビング2系統(1→2,2→1)/REC OFF
ライン・フェイズ・センサー
ACアウトレット(SWITCHED×2)
消費電力
40W
電源電圧
AC100V(50Hz,60Hz)
外形寸法
460W×120H×408Dmm
重量
10kg



●E-06●

方式
ステップアップトランス式,CR型イコライザー
入力端子
MC LOW(BALANCE/UNBALANCE)
MC MID(BALANCE/UNBALANCE)
MM(UNBALANCE)COAXIAL型
入力感度
MC LOW 70μV
MC MID 200μV
MM     2.5mV
入力インピーダンス
(適合カートリッジインピーダンス)
MC LOW 35Ω(2〜10Ω)  1kHz
MC MID 300Ω(10〜100Ω)1kHz
MM     47kΩ         1kHz
利得
MC LOW:73dB
MC MID:64dB
MM(THROUGH):42dB
出力レベル調整
10kΩ固定抵抗切換式32ポイントアッテネーター
出力
DIRECT/VARIABLE 定格300mV,最大10V(1kHz)
出力インピーダンス
20Ω 1kHz
全高調波歪率
0.005%以下(MM 1kHz)
0.007%以下(MC LOW,MC MID 1kHz)
周波数特性
20Hz〜20kHz,RIAA±0.2dB(MM)
SN比
MC LOW:76dB(IHF-A)
MC MID:78dB(IHF-A)
MM    :80dB(IHF-A)
チャンネルセパレーション
90dB(10kHz)
付属装置
BALANCE SELECT(MC LOW/MC MID),ラインフェーズセンサー
消費電力
40W
電源電圧
AC100V(50Hz,60Hz)
外形寸法
460W×120H×408Dmm
重量
10kg


C-06αの写真
LUXMAN C-06α
CONTROL AMPLIFIER ¥380,000

1991年に,C-06はC-06αへとモデルチェンジをしました。C-06をベースに各部の改良・強化が行われ,より
完成度が高められていました。

最大の改良点は,バランス動作の強化・徹底でした。C-06αでは,広範なインターフェースに高いクオリティで対応
するために,全段差動増幅回路として,理想的なバランス伝送を実現していました。バランス伝送で弊害とされる高
域での位相ずれも解消され,コアキシャル(RCA)入力での高域等の再現力に遜色ないレベルに高められていまし
た。さらに,コアキシャル入力においても,クオリティアップがなされていました。

電源部は,L/R独立トロイダルトランスを搭載した強力な構成が継承され,さらに,レギュレーターがディスクリート
構成とされ,ノイズ阻止を強化してピュアな電源供給を実現していました。また,リレーやLEDなどのファンクション
系の電源を,二次独立巻線として,メイン電源と分離し,音質阻害の原因をさらに排除していました。また,極性を
統一するためのフェイズセンサーは継承されていました。

銅メッキシャーシ,電源部

パーツ,コンストラクション等の面では,4連アルティメイト・アッテネーター,窒素ガス封入金接点リレー,PC-OCC
の配線材,シールドが強化された初段ブロック,L/R分離シールドが施されたモノリシックレイアウトのガラスエポキ
シ基板,非磁性体シャーシ,硬質木製キャビネットなど,ほぼ継承されながら,伝送ラインに使用された高純度6N
ワイヤー,銅メッキのシールド,シャーシ,新開発のオリジナルパーツの投入など,さらに細かな見直しや改良が行
われていました。

4連アルティメイト・アッテネーター
窒素ガス封入金接点リレー

以上のように,C-06αは,C-06をベースに大幅に強化されたコントロールアンプでした。よりクリアで透明感のあ
る音をもった1台となっていました。



E-06αの写真
LUXMAN E-06α
PHONO AMPLIFIER ¥380,000

1991年,C-06αと同時に,E-06を強化したE-06αが登場しました。昇圧比の異なる2種類の専用トランス
をL/R独立で合計4個搭載したMCトランス,素子を厳選したCR型イコライザー回路,L/R独立トランスの電源
部,前段アンプ・後段アンプそれぞれに対応した定電圧電源回路,窒素ガス封入金接点入力切換リレー,電源
インピーダンスを低減するバスバー,シールドを強化した初段ブロック,L/R分離シールドを施したモノリシックレ
イアウトのガラスエポキシ基板,非磁性体シャーシ,硬質木製キャビネットなど,基本的にパーツ,回路構成,コ
ンストラクションなどの面で多くが継承され,さらに,カスタムメイドの高品質パーツの投入,高純度6Nケーブル
の投入,音質を重視したアッテネーターの省略など,ブラッシュアップが行われ,より高品質なフォノイコライザー
アンプとして完成されていました。

MCトランスMCトランス
電源トランス


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



より純粋に,さらに緻密に。

高品位の音楽性を求めて,
イコライザーとコントロール部を分離独立。


C-06α
音楽感銘に導く生命ある伝送。


◎理想を極めた差動増幅バランス回路。
◎音質重視の超大型4連アッテネーター。
◎静寂を生むピュアな電源供給。
◎リレー/LEDを電源と分離。
◎ポジティブ/ネガティブ出力の活用。
◎極性が統一できるラインフェイズセンサー。
◎音質へのこだわりを随所に徹底。


E-06α
アナログの底知れぬ可能性を聴く。


◎音質最優先のトランスを4個搭載。
◎素性の良いCR型イコライザー。
◎各々のアンプに最適な定電圧電源。
◎随所に純粋アナログ再生へのこだわり。




●SPECIFICATIONS●


●C-06α●

方式
バランス入出力対応コントロールセンター
入力端子/感度/インピーダンス
CD BALANCE 150mV/80kΩ
CD COAXIAL 150mV/40kΩ
PHONO LINE 150mV/40kΩ
LINE1 150mV/40kΩ
LINE2 150mV/40kΩ
LINE3 150mV/40kΩ
LINE4  150mV/40kΩ
TAPE1&2 150mV/40kΩ
出力端子
OUTPUT1 COAXIAL1(POSITIVE)  
OUTPUT2 BALANCE1,COAXIAL2 (POSITIVE,NEGATIVE)
出力/出力インピーダンス
BALANCE 定格2V/最大20V/16Ω
COAXIAL  定格1V/最大10V/8Ω
全高調波歪率
0.008%以下(1V出力,1kHz)
周波数特性
5Hz〜100kHz ±0.5dB以下
S/N比
110dB(IHF-A)
付属装置
テープダビング2系統(1→2,2→1)/REC OFF
ライン・フェイズ・センサー
消費電力
40W
電源電圧
AC100V(50Hz,60Hz)
外形寸法
444W×120H×414Dmm
重量
11kg




●E-06α●

方式
ステップアップトランス式,CR型イコライザー
入力端子
MC LOW(BALANCE/UNBALANCE)
MC MID(BALANCE/UNBALANCE)
MM(UNBALANCE)COAXIAL型
入力感度
MC LOW 70μV
MC MID 200μV
MM     2.5mV
入力インピーダンス
(適合カートリッジインピーダンス)
MC LOW 35Ω 1kHz
MC MID 300Ω 1kHz
MM     47kΩ 1kHz
利得
MC LOW(バランス/シングル):73dB
MC MID(バランス/シングル):64dB
MM(THROUGH):42dB
出力
定格300mV,最大10V(1kHz)
出力インピーダンス
20Ω 1kHz
全高調波歪率
0.005%以下(MM 1kHz)
0.007%以下(MC LOW,MC MID 1kHz)
周波数特性
20Hz〜20kHz,RIAA±0.2dB以下(MM)
SN比
MC LOW:76dB以上(IHF-A)
MC MID:78dB以上(IHF-A)
MM    :80dB以上(IHF-A)
チャンネルセパレーション
90dB以上(10kHz)
付属装置
BALANCE SELECT(MC LOW/MC MID),ラインフェーズセンサー
消費電力
40W
電源電圧
AC100V(50Hz,60Hz)
外形寸法
444W×120H×399Dmm
重量
10kg


※本ページに掲載したC-06,E-06,C-06α,E-06αの写真,仕様表等は
 1987年,1990年のLUXMANのカタログより抜粋したもので,ラックス株式
 会社に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等
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