Accuphase C-200X
STEREO CONTROL CENTER ¥270,000
1980年に,アキュフェーズが発売したコントロールアンプ。アキュフェーズは1973年,創立時に第1号製品
としてコントロールアンプC-200,パワーアンプP-300というセパレートアンプを発売し,スタートしました。
C-200は,その性能・機能から高い評価を受け,その後,C-200S(1977年)へとモデルチェンジし,さらに
内容が強化された第3世代のモデルがC-200Xでした。

基本となる増幅回路は,アキュフェーズ伝統の「全段ピュアコンプリメンタリー・プッシュプル構成」を継承し,裸
特性の改善と高い安定性が確保されていました。C-200Xでは,さらに,「カスコード・ブートストラップ差動プッ
シュプル」入力回路を採用していました。このカスコード・ブートストラップにより,大きなゲインを得るとともに高
域特性を改善していました。C-200Xでは,このカスコード・ブートストラップ・差動プッシュプル方式をイコライ
ザーアンプ及びハイレベル・トーン・コントロールアンプに使用していました。

C-200Xは,入力にFETが使用されていることもあり,MMディスク入力からSP出力まで,コンデンサーを介さ
ない直結(DC)アンプ方式が可能となっていました。したがって温度や電圧変化によって,出力に直流が現れ
るのを防ぐために,DCサーボが採用され,すぐれた特性と安定性を実現していました。
通常のDCサーボ回路と違い,入力アンプの信号系を直接コントロールするのではなく,定電流源のベース電
流をコントロールする新しい方式がとられ,「新DCサーボ方式」と称されていました。このサーボ回路は,サー
ボ系のノイズが信号系へ影響することを最小限に抑えることができ,また,DCドリフト制御能力にすぐれてい
るという特徴をもち,低域利得の高いイコライザーアンプに対してもすぐれた効果を発揮でき,これによって,
ディスク入力(MM)から出力まで,完全な直結を実現していました。



ヘッドアンプ,イコライザーアンプ,ハイレベルアンプはそれぞれ完全に独立した構成になっており,左右で
6ユニットそれぞれに,RET(リングエミッタトランジスタ-)とICによる独立定電圧電源を最短距離で配置し
た「マルチプル・パワー・サプライ方式」で,ユニット間の干渉を断って高い安定性を実現していました。

各ユニットアンプ間及び電源部,一部ファンクションの結合には,プリントサーキットで行う「マザーボード方
式」が採用されていました。ガラスエポキシの「マザーボード」には,各ユニットアンプをプラグインするソケット
電源トランスと整流器,フィルター・コンデンサー,そしてフロントパネルのプッシュスイッチがマウントされて
おり,特性の安定性,整備性等が高められていました。そして,頑丈なフレーム構造とあわせ振動に対して
も堅牢な構造になっていました。

C-200シリーズでは,C-200Xで初めてMCカートリッジ対応がなされ,MCヘッドアンプが搭載されていま
した。差動プッシュプル入力とRETピュアコンプリメンタリーの出力回路で構成されており,入力はコンデン
サーを使用しない直結方式で,透明度の高い音質を実現していました。また,3系統のPHONO入力に対し
てスイッチでON/OFFでき,カートリッジの使い分けも容易にできるようになっていました。

C-200以来,コントロールセンターと称してきただけに,コントロールアンプとして音質と同時に多機能との
両立を図っていました。
トーンコントロールは伝統のTREBLE,BASS独立・左右独立型,11接点ロータリースイッチによる2dBス
テップ方式のものが搭載されていました。TREBLE(200Hz,500Hz),BASS(2kHz,7kHz)のターン
オーバー切替スイッチ,トーンコントロールのON-OFFスイッチも装備されていました。
ラウドネスコンペンセーターは,COMP1(100Hz:+3dB)とCOMP2(100Hz:+10dB,20kHz:+5dB)
の2種類のカーブが選べるようになっていました。そして,フィルタースイッチは,17Hz,-12dB/octのサ
ブソニック・フィルターと8kHz,-12dB/octのハイ・フィルターが装備されていました。
その他,5接点ロータリースイッチによるREVERSE,STEREO,MONO(L+R),L,Rの5ポジションモー
ドスイッチ,-20dBのアッテネータースイッチ,DISCのMMカートリッジに対応したインピーダンス切替など
も装備されていました。

入力は,DISC3系統,TUNER,AUX2系統,TAPE PLAY3系統の合計9系統,出力は,TAPE REC3系
統,OUTPUT3系統,HEADPHONE1系統の7系統と多彩な入出力が搭載されていました。特に,フロント
パネルの下部のサブパネル内には,HEADPHONE端子だけでなく,DISC,AUX,TAPE PLAY,TAPE
RECも配置され,複数の機器の接続,テスト等にも便利な設計になっていました。

以上のように,C-200Xは,アキュフェーズの主力モデルC-200シリーズの第3世代として,性能と機能の
両面で高度なバランスを実現した,完成度の高められていました。すっきりとクリアな音質は,機能を犠牲に
せず実現されたもので,音楽を聴く道具としてもオーディオを楽しむ機器としても使いやすい1台となっていま
した。当時,オーディオ販売店でアルバイトしていた私も,憧れの1台で,後に,その後継機であるC-200L
を手にして長く愛用することになったのでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



カスコード・ブートストラップ・
ピュアコンプリメンタリー・プッシュプル構成
DCサーボ方式,
強力マルチプル・パワー・サプライ方式。
そしてRET A級ピュアコン・プッシュプルの
ヘッドアンプを内蔵。

◎カスコード・ブートストラップ・
 ピュアコンプリメンタリー・プッシュプル回路
◎新DCサーボ方式により
 MMディスク入力から出力まで直結
◎RET A級ピュアコンプリメンタリー・
 プッシュプル・ヘッド・アンプ
◎強力な電源・・・マルチプル・パワー・サプライ
◎A級ピュアコンプリメンタリー直結
 ヘッドホーン・アンプ
◎マザー・ボードの採用で高安定性を実現
◎ターンオーバー切替スイッチ付
 左右独立10ステップ式トーン・コントロール
◎2段切替ラウドネス・コンペンセーター
◎サブソニック及びハイ・フィルター
◎充実したテープ・ダンクション
◎フロント・ディスク入力等の豊富な入・出力端子
◎別売ウッドキャビネット




●C-200X保証特性●


周波数特性(新IHF) 
  ハイレベル入力 
  ディスク入力

  20~20,000Hz +0,-0.2dB以内 
  20~20,000Hz ±0.2dB以内
全高調波ひずみ率(新IHF) 0.005%以下(20~20,000Hz,すべての入力端子にて)
入力感度/入力インピーダンス 
  DISC:MM時(HEAD AMP OFF)
 
  DISC:MC時(HEAD AMP ON) 
  TUNER・AUX・TAPE PLAY

2.0mV(定格出力時)0.5mV(新IHF,出力0.5V)
 /DISC1,DISC FONT:100,47k,82k,150kΩ,DISC2:47kΩ
0.1mV(定格出力時)0.025mV(新IHF,出力0.5V)/100Ω 
126mV(定格出力時)31.5mV(新IHF,出力0.5V)/47kΩ
定格出力/出力インピーダンス 
  OUTPUT 
  TAPE REC

2.0V 2Ω
126mV 200Ω(DISK入力時)
ヘッドホーン端子 出力インピーダンス:0.3Ω
出力(8Ω負荷):0.25W(1kHz・ひずみ率0.01%)
S/N・入力換算雑音 
  TUNER・AUX・TAPE PLAY
  DISC:HEAD AMP OFF
  DISC:HEAD AMP ON  
 定格入力,入力ショート,A補正      新IHF
110dB  -128dBV             88dB
85dB   -139dBV             82dB 
72dB   -152dBV             74dB 
最大出力レベル  10V(ひずみ率0.005%以下 20~20,000Hz)  
ディスク最大入力 
  
HEAD AMP OFF:400mVrms(1kHz,ひずみ率0.005%以下) 
HEAD AMP ON :20mVrms(1kHz,ひずみ率0.005%以下) 
最小負荷インピーダンス 
  
OUTPUT  :1kΩ 
TAPE REC:10kΩ 
ゲイン  TUNER・AUX・TAPE PLAYより
   TAPE REC:0dB,OUTPUT:24dB 
  DISC(HEAD AMP OFFより
   TAPE REC:36dB,OUTPUT:60dB(HEAD AMP ON時は+26dB)
トーンコントロール 11接点ロータリースイッチによるステップ式 
 ターンオーバーポイント 低音:200Hz,500Hz
                高音:2kHz,7kHz 
  低音:500Hz     :±10dB(100Hzにて) 2dBステップ 
       200Hz      :±10dB(35Hzにて)  2dBステップ  
   高音:2kHz        :±10dB(10kHzにて) 2dBステップ 
      7kHz       :±10dB(35kHzにて) 2dBステップ 
ラウドネスコンペンセーター COMP1:+3dB(100Hz) 
COMP2:+8dB(100Hz),+6dB(20kHz) 
 (VOLUME コントロール -30dBにて)
フィルター サブソニックフィルター:17Hz -12dB/oct
ハイ・フィルター:8kHz -12dB/oct
アッテネーター -20dB
使用半導体 102Tr,29FET,11IC,50Di
電源及び消費電力 100V,117V,220V,240V,50/60Hz,80W
寸法・重量 幅445mm×高さ160mm(脚含む)×奥行373mm  13.4kg
※本ページに掲載したC-200Xの写真,仕様表等は1982年のAccuphaseの
 カタログより抜粋したもので,アキュフェーズ株式会社に著作権があります。した
 がって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていま
 すのでご注意ください。     
  
  
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