C-202の写真
Accuphase C-202
STEREO PREAMPLFIER ¥215,000

1987年に,アキュフェーズが発売したプリアンプ。CDがオーディオソースの主流となってきた時代に登場した
同社のエントリーモデルであるだけに,PHONO入力は設けられず,CD等のハイレベル入力への対応・ライン
入力の充実を図ったプリアンプでした。

C-202のプリアンプとしての構成は,20dBのゲインを持つ通常のハイゲイン・プリアンプと6dBのゲインを持
つCD専用のバッファー・プリアンプの2組を1つの筐体にまとめた形になっていました。通常のラインアンプの
他にCD専用のアンプを備えることで,CD再生時の音質の純度を高めようとした設計でした。
CD専用のアンプは全段A級プッシュプルのバランス回路で構成され,信号経路は,入力端子からダイレクト
に入り,ファンクションも音量調整とアッテネーターだけと最少限の機能だけに抑えられ,信号経路の単純化が
図られていました。ライン専用アンプも,全段A級プッシュプルで構成されていました。トーンコントロールは省か
れ,信号経路のシンプル化がここでも行われていました。

CD専用アンプは,バランス入・出力回路を備え,幅広いパワーアンプとの適応を考え,6dBのゲインを備えた
バッファーアンプでした。入力は,差動プッシュプル回路にバランス信号を入力し,通常のアンバランス入力時
には,コールド側を後面パネルのスイッチでアースに接続するようになっていました。入力のバッファー段はカ
スコード接続でリニアリティを改善し,カスコード・プッシュプル・ドライブ段により,歪の少ない駆動信号を出力
段に供給するようになっていました。

ラインアンプは,LINE1,2,3,4,LINE FRONT,TUNER,TAPE1,2と8系統の入力を備え,機能的に
は,テープモニター,テープコピースイッチ,−20dBのアッテネーター,モードスイッチ,小音量時の量感補正
のコンペンセーター,サブソニックフィルター,バランスコントロールと基本的なものが備えられていました。基
本的な回路構成としては,カスコードA級プッシュプル構成となっていました。出力は,バランス1系統,アンバ
ランス2系統,ヘッドホンジャックが備えられていました。

C-202のフロントパネルとリアパネル

入力切り替えやテープモニター等のファンクションのために信号経路を引き回し,音質への悪影響を抑える
ために,切り替えが必要な信号経路の場所にリレーを設置し,リレーをロジック回路で電子的にコントロー
ルして切り替えを行うようになっていました。切り替えのためのリレーには,オーディオ用として特に開発され
た,クロスバーツイン方式の接点を持つ,低接点抵抗,高耐久性の密封型リレーが使用されていました。

C-202の内部

電源部は,強力なトロイダル型電源トランスを中心に,しっかりした構成となっていました。電源トランスは
左右チャンネル専用の捲線によって電流を供給し,左右専用の整流回路が構成されていました。フィル
ター・コンデンサーはプリアンプとしては大容量の10,000μFのものが4個搭載されていました。さらに
各ユニットアンプのそれぞれに定電圧電源を設けたマルチプル・パワーサプライ方式が採用され,これら
の定電圧電源は,それぞれのユニットアンプの至近位置に配置され電源インピーダンスが低く保たれて
いました。

以上のように,C-202は,CD時代のライン専用プリアンプとして,整然とした内部レイアウトが示すよう
に,理詰めでバランスのとれた設計がなされていました。入・出力ともバランス回路が備えられているため,
ペアを想定されたP-102と組み合わせると,全増幅系完全平衡型が実現されるようにもなっていました。
アキュフェーズらしく,ノイズ感の少ないクリアな音は,プリアンプとして使いやすいものでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



CDを極限のクオリティで再生する
ための専用アンプを装備,
ライン専用アンプを含めて
左右チャンネル合計4アンプを搭載。
CD専用アンプは全段A級プッシュプル
完全バランス回路で構成。


◎CD専用6dBバッファー・アンプ,ライン専用20dB
 アンプの左右4アンプ構成
◎構成を単純化し,極限の性能を追求したCD専用
 バランス型カスコードA級プッシュプル・バッファー
 アンプ
◎8系統の多入力系と必要な機能を備えたカスコード
 A級プッシュプル・ラインアンプ
◎ロジック・リレーコントロールによりストレートで最短
 の信号経路
◎左右独立捲線,独立整流回路,そして各ユニット
 アンプ専用定電圧電源回路により干渉を遮断した
 強力電源部
◎天然パーシモンのサイドボード





●C-202 保証特性●



■CD系■

周波数特性
1.0〜400,000Hz +0,−3.0dB 
20〜20,000Hz +0,−0.2dB
全高調波ひずみ率 0.005%
入力感度    平衡入力   1.0V
不平衡入力 1.0V
入力インピーダンス 平衡入力   40kΩ
不平衡入力 20kΩ
定格出力 平衡出力   4.0V
不平衡出力  2.0V
出力インピーダンス 平衡出力   50Ω
不平衡出力  1Ω 
ヘッドホーン端子 適合インピーダンス 4〜100Ω
利得
平衡入力   →  平衡出力 12dB
平衡入力   → 不平衡出力  6dB
不平衡入力 →  平衡出力 12dB
不平衡入力 → 不平衡出力  6dB 
S/N・入力換算雑音 定格入力時(入力ショート・A補正)    108dB
入力換算雑音(入力ショート・A補正) −108dBV
EIA S/N                   97dB
最大出力レベル 平衡出力  10V
不平衡出力  5V
最大入力レベル
平衡入力  10V
不平衡入力  8V
最小負荷インピーダンス 平衡出力   600Ω
不平衡出力    1kΩ
TAPE REC 10kΩ
アッテネーター −20dB



■LINE系

周波数特性
1.0〜500,000Hz +0,−3.0dB 
20〜20,000Hz +0,−0.2dB
全高調波ひずみ率 0.005%
入力感度    200mV
入力インピーダンス 20kΩ
定格出力 平衡出力   4.0V
不平衡出力  2.0V
出力インピーダンス 平衡出力   50Ω
不平衡出力  1Ω 
ヘッドホーン端子 適合インピーダンス 4〜100Ω
利得
平衡出力   26dB
不平衡出力  20dB 
S/N・入力換算雑音 定格入力時(入力ショート・A補正)    110dB
入力換算雑音(入力ショート・A補正) −128dBV
EIA S/N                   94dB
最大出力レベル 平衡出力  10V
不平衡出力  5V
最小負荷インピーダンス 平衡出力   600Ω
不平衡出力    1kΩ
TAPE REC 10kΩ
アッテネーター −20dB
ラウドネス・コンペンセーター
(音量調整 −30dB)
1:  +3dB(100Hz)
2:  +8dB(100Hz) +6dB(20kHz)
サブソニック・フィルター
10Hz −12dB/oct
使用半導体
110Tr 54FET 12IC 79Di
電源・消費電力
100V 117V 220V 240V 50/60Hz 40W
寸法・重量
475W×135H(脚含む)×373Dmm  11kg
※本ページに掲載したC-202の写真,仕様表等は1987年のAccuphase
 のカタログより抜粋したもので,アキュフェーズ株式会社に著作権があります。
 したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられ
 ていますのでご注意ください。

  
 
 
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