SANSUI C-2105 VINTAGE
STEREO CONTROL AMPLIFIER ¥380,000

1996年に,サンスイが発売したコントロールアンプ。1992年発売の超高級コントロールアンプC-2302
VINTAGE
に次ぐモデルとして発売された中堅機で,外観デザインはごくシンプルですが,内部は,高品
質のパーツをはじめ豪華な内容をもっていました。

全体の回路構成は,アンプ回路は,ラインアンプ,イコライザーアンプのみというシンプルな構成となってい
ました。
ラインアンプには,入力素子として,入力インピーダンスを高く設定でき高域特性にすぐれたハイスピード
素子MOS FETを使用し,2段目は上下差動方式として出力をダーリントンとしたシンプルな構成が採用さ
れていました。反転アンプは,出力をインバ〜テッドダーリントンとして,単一チャンネルに載せていました。
これらライン/反転アンプはすべてL・R完全独立構成となっていました。電源を要する回路を最少単位に
とどめ,信号ラインでの低インピーダンス化,ワイドレンジ化,高S/N比が実現されていました。
フォノイコライザーは,MC,HIGH MC,MMの3ポジションに対応し,入力をFET差動のパラレル接続と
し,低インピーダンスが実現されていました。2段目は上下差動とし,インバ〜テッドダーリントンにより出
力するようになっていました。

ラインアンプ基板・電源基板には,テフロン基板が採用されていました。テフロンは,誘電率および誘電正
接がきわめて小さく,電気的にはGHz領域までフラットな周波数特性をもち,機械的には高い振動吸収性
をもつなど,基板に用いる材質としては理想的なものがあり,あのマークレビンソンのアンプ等にも採用さ
れていました。素子類への有害な振動を防ぎ,周囲からのさまざまな干渉を効果的に抑える効果があり,
通過信号の損失を防ぐとともに,フラックスのとびつきや振動を排除し,ピュアな信号伝送が確保されてい
ました。

CDがソースの主流となっていたこの時代,信号の伝送ロスを抑えるため,コントロールアンプ,プリアンプを
介さず,直接パワーアンプに接続するという形・プリアンプ不要論などもありましたが,逆に各ソースのインピ
ーダンスの整合を図る,パワーアンプしっかりドライブするといったコントロールアンプ,プリアンプの役割やメ
リットが見直されてもいました。C-2105も,パワーアンプをしっかりとドライブするという設計思想で作られて
いました。そのため,電源部は,新設計の大形電源トランス(25VA),大容量電解コンデンサー(5,600μF
×2),テフロン電源基板が各ユニットに分離され,それぞれがフローティングされた状態で電源シャーシ上に
マウントされ,瞬時の大電流供給が可能な高性能電源部となっていました。

筐体や内部構造は,左右チャンネルを同一条件で動作させるとともに,ユニット間の電気的・磁気的干渉や振
動による影響を排除する独立構造体が採用されていました。また,純銅製ボトムプレート,アルミラインアンプ
ベースシャーシ,アルミサイドパネル,アルミボンネット,アルミフロントパネル,アルミリアパネル,銅メッキを施
した構造物,オール銅メッキビスなど,構造体の非磁性体化,非共振化,無き防止が徹底されていました。さら
に,天板にはテフロンシートが使用され,内部反射,内部防振対策が施されていました。
そして,外部との接触部分であるインシュレーターにもしっかりとした配慮がなされていました。すぐれた減衰特
性をもつ純銅材を切削し金メッキ処理した楕円形のインシュレーターは内部および外部の不要振動を効果的に
吸収する特性が確保されていました。接地部分には本革が使用され,安定性と制振性がさらに高められていま
した。

各種パーツの面でも,高品位なものが厳選して使用されていました。PHONO,CD,TUNER,LINEおよび出
力1,2のコネクター部には,低インピーダンスで耐食性の高いドイツWBT社製のOFC合金・24カラット硬化金
メッキRCA端子が装備されていました。バランス入力・出力端子には,スイスノイトリック社製の金メッキ端子が
装備されていました。その他,大型40角ディテント高音質マスターボリューム(100kΩA型),金メッキリードコ
ンデンサー,金メッキリードフィルムコンデンサー,金メッキリードキャップ・抵抗,6Nテフロンシールドワイヤー採
用内部配線材など,非磁性体化,低インピーダンス化,ハイスピード化,防振対策などが徹底されたハイクオリ
ティーパーツが使用されていました。

入力は,PHONO,TUNER,CD,LINE,BALANCED,TAPE-1・2の7系統が装備され,出力は,NORMAL
1・2,BALANCEDの3系統が装備されていました。機能的には,サブソニックフィルター,レックセレクター(CD,
OFF,SOURCE,TAPE1→2),MODE(MONO,STEREO,L ONLY,R ONLY)が装備されていました。

以上のように,C-2105VINTAGEは,コントロールアンプとして,必要十分といった機能が整理されて搭載され,
一見素っ気ないともいえる筐体デザインですが,内部はパーツや作りにおいてクラスを越えた贅を尽くしたものとなっ
ていました。クリアで端正な質の高い音をもち,コストパフォーマンスの高い1台でしたが,サンスイ最後のセパレート
アンプのコントロールアンプとなってしまいました。



以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。




絶対的安定性に支えられた
緻密なパワーアンプドライブ能力が,
音楽の繊細な肌ざわりまで
鮮明に描きだす。

◎低誘電率・低誘電正接の
 テフロン基板を全面採用。
◎入力素子にMOS FETを採用した
 L/R完全独立のライン/反転アンプ。
◎コントロールアンプの常識を変える
 新開発の強力大型電源部。
◎アナログディスクの魅力を引き出す
 高性能フォノイコライザー搭載。
◎極小リーケージフラックスの構造体設計。
◎振動減衰特性に優れた
 金メッキ純銅楕円インシュレータ。
◎WBT金メッキRCA端子をはじめ
 高品位パーツを厳選して採用。

●入力7系統(PHONO,TUNER,CD,LINE,BALANCED,TAPE1・2)
●出力3系統(NORMAL-1・2,BALANCED)
●スイスノイトリック社製金メッキバランス入力・出力端子
●カートリッジセレクター
●MODE
●サブソニック
●レックセレクター
●大型40角ディテント高音質マスターボリューム(100kΩA型)
●アルミボンネット/アルミフロントパネル/アルミリアパネル
●純銅ボトムシャーシ
●オール銅メッキビス
●内部配線材 6Nテフロンシールドワイヤー採用




●C-2105VINTAGE 主要規格●

入力感度/インピーダンス PHONO(MC)             300μV/33Ω
PHONO(HIGH MC)       2.5mV/100Ω 
PHONO(MM)           2.5mV/47kΩ
CD,TUNER,LINE,TAPE PLAY-1・2 150mV/47kΩ
BALANCED INPUT       150mV/600Ω
最大許容入力
(1kHz,THD0.01%)
PHONO(MC-HIGH)40mV
PHONO(MM)   350mV
出力電圧/インピーダンス(1kHz) TAPE REC-1,2      150mV/600Ω
OUTPUT-1・2         1.2V/600Ω
BALANCED OUTPUT   1.2V/600Ω
最大出力 (1kHz,THD0.01%) OUTPUT-1・2 20V

全高調波歪率(20Hz〜20kHz)
PHONO(MM) 0.005%以下
CD,TUNER,LINE,TAPE PLAY-1・2 0.003%以下
PROCESSOR RETURN 0.003%以下
混変調歪率
(60Hz:7kHz=4:1,SMPTE法)
PHONO(MM) 0.005%以下
CD,TUNER,LINE,TAPE PLAY-1・2 0.003%以下
周波数特性 PHONO(MM) 20Hz〜20kHz±0.2dB
CD,TUNER,LINE,TAPE PLAY-1・2 DC〜500kHz+0,−3dB
SN比
(Aネットワーク,ショートサーキット)
PHONO(MC) 70dB以上
PHONO(MM) 90dB以上
CD,TUNER,LINE,TAPE PLAY-1・2 110dB以上
サブソニックフィルター 8Hz(−3dB),6dB/oct
電源電圧 100V
定格消費電力(電気用品取締法) 20W
外形寸法 460W×137H×383Dmm
重量 16.5kg
※ 本ページに掲載したC-2105VINTAGEの写真,仕様表等は1996年9月
 のSANSUIのカタログより抜粋したもので,山水電気株式会社に著作権があ
 ります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁
 じられていますのでご注意ください。

  
 
 
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