C-220 TYPE Aの写真
Accuphase  C-220
STEREO DISC EQUALIZER ¥220,000

1977年に,ケンソニック(現アキュフェーズ)が発売したディスク専用プリアンプ。比較的多機能なアンプを
作っていたアキュフェーズが,逆にディスク専用に絞って音質を追求したプリアンプで,アキュフェーズの中
ではやや珍しい1台でしたが,多様な使いこなしができるようにも設計されていました。

C-220は,MCカートリッジ用ヘッドアンプ内蔵プリアンプという形で,ヘッドアンプ,イコライザーアンプ,ハ
イレベル出力アンプの各ユニットアンプで構成され,ゲインはヘッドアンプが26dB,イコライザーから出力ま
でが60dBで,トータルゲイン86dBというプリアンプとして最高値に近いゲインが確保され,多様な出力のカー
トリッジやパワーアンプとの組み合わせにおいても,十分なゲインが確保できるようになっていました。

各ユニットアンプには,アキュフェーズ自慢の全段シンメトリー・プッシュプル回路が採用され,裸特性が高め
られていました。さらに,ヘッドアンプを含め,各ユニットアンプはすべてA級ドライブで,NFループ内にコンデ
ンサーを配していないDCアンプ構成となっていました。このような構成により,1kHzにおいて,各ユニットア
ンプの歪率は0.001%以下という測定限界ともいえる特性が確保されていました。

ヘッドアンプは,入力を,新たに高周波増幅用として開発されたRET(リング・エミッタ・トランジスタ)を4個用
いたシンメトリー・プッシュプル差動増幅で構成し,出力をピュア・コンプリメンタリーで取り出したA級DCアン
プとしていました。
RETは,拡散層によるエミッタのバラスト抵抗を介して小信号用トランジスター・ユニットを100個並列合成し
た構造になっており,小信号用トランジスターが備えているすぐれた高周波特性をもちながら電力増幅が可
能な素子となっていました。また,並列合成によって,等価雑音抵抗が一般のトランジスターやFETに比べて
はるかに小さく,大幅に雑音レベルが抑えられていました。さらに,増幅素子に大電流をながすことによって
回路を低インピーダンス化し,差動アンプのNFB入力側のインピーダンスも下げ,回路自体の発生する雑音
も大幅に低減されていました。これらの結果,ヘッドアンプの入力換算雑音−154dBV,0.1mV入力時の
S/N比74dBと理論限界値に近いすぐれた特性が実現されていました。

イコライザーアンプは,入力に,シンメトリー・プッシュプル差動増幅回路にFETバッファーを組み合わせた入
力直結回路が構成され,出力は,RET・ピュア・コンプリメンタリー接続という構成で,大電流駆動によって出
力インピーダンスが下げられ,NFループ内の低インピーダンス化が実現されていました。これらの結果,入
力換算雑音−140dBV,2mV入力に対するS/N比86dBと,ヘッドアンプ同様に,理論限界に近い特性が実
現されていました。

C-220の内部

電源部は,DCサーボアンプによって安定化が図られた定電圧電源で,可聴帯域内だけでなく,DC領域から
超高域まで各周波数のインピーダンスが低く抑えられていました。電源トランスも薄型の筐体の中に大型のも
のが搭載されていました。

C-220は,フォノ専用のプリアンプとして設計されているため,機能的にはシンプルで,音量調整,バランスコ
ントロール,DISC1,DISC2入力切換,ヘッドアンプON/OFFスイッチ,DISC1入力インピーダンスセレクター
DISC2入力インピーダンスセレクター,電源スイッチが装備されているのみでした。さらに,音量調整,電源ス
イッチ以外は開閉式のサブ・パネル内に収納されていました。

C-220 TYPEB

C-220は,フォノ専用プリアンプであるため,AUX端子やTAPE端子は備えられていませんが,EXT PRE-
AMP入力という端子が設けられていました。この端子は,C-220の電源スイッチをOFFにするとパワーアン
プに直結となる端子で,この端子にチューナー,テープデッキ等の他の機器を接続したプリアンプや切換スイッ
チボックスをつなぐと,フォノ以外の機器も使えるようになっていました。また,パワーアンプに接続するための
MAIN OUTPUT出力端子の他に,LINEレベルの出力端子FIXED OUTも備えられており,ここからの出力
を他のプリアンプに接続すると,C-220はフォノイコライザーアンプとしての使い方ができるようになっていま
した。また,MAIN OUTPUTには,通常のRCAピン端子の他にキャノンコネクター端子も装備されていました。

以上のように,C-220は,フォノ専用プリアンプとして,しっかりとした作りがなされた1台でした。アキュフェー
ズらしく,単機能ながらも多様な使いこなしができるような設計となっていました。また,デザイン的にもラックマ
ウントタイプとアキュフェーズの他のアンプル類とデザインのマッチングをとったタイプが用意されているなど配
慮が見られました。C-220を通したアナログレコードの音は非常にクリアで繊細さをもったもので,専用設計
ならではのものをもっていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



1.C-220のアウトライン
a.レコード以外のプログラムソース
 を再生するには
b.ヘッドアンプ内蔵,トータル・ゲ
 イン:86dB
c.一本のアームでMC,MMの使い
 分けが可能

2.回路の特長
a.全段シンメトリー・プッシュプル・
 ドライブ
b.A級DCユニット・アンプ
c.ヘッド・アンプに新型トランジスタ
 RETを採用
d.イコライザー・アンプ=入力直結型,
 出力はRETによるピュア・コンプリメ
 ンタリー構成
e.超高域までも低インピーダンス化し
 た定電圧電源

3.音量調整以外のファンクシ
 ョンはサブパネルに整理
4.デザインは2種類
5.業務用に便利なキャノン・
 コネクター出力



●C-220型保証特性●

周波数特性
±0.2dB 20〜20,000Hz間
高調波ひずみ率
0.01% 20〜20,000Hz間,定格出力にて
定格入力・インピーダンス
DISC 1・2(HEAD AMP OFF)2.0mV
  100Ω,30kΩ,47kΩ,100kΩ切替
(DISC1及びDISC2の入力インピーダンスは
 それぞれ単独にセレクト可能)
DISC 1・2(HEAD AMP ON)0.1mV 100Ω固定
定格出力・出力インピーダンス
MAIN OUTPUT 2.0V 200Ω
(VOLUME最大 定格出力にて)
FIXED OUTPUT 150mV 200Ω
最小負荷インピーダンス
MAIN OUTPUT 5.0kΩ
FIXED OUTPUT 10.0kΩ
S/N・入力換算雑音
HEAD AMP OFF  85dB,−139dBV
HEAD AMP ON   72dB,−152dBV
(入力ショート,IHF Aカーブ,S/Nは定格入力時)
最大入力
HEAD AMP OFF 400mVr.m.s(1kHz,ひずみ率 0.01%)
HEAD AMP ON  20mVr.m.s(1kHz,ひずみ率0.01%)
最大出力レベル
10Vr.m.s 20〜20,000Hz,ひずみ率0.01%
ゲイン
(DISC INPUT→MAIN OUTPUT)
HEAD AMP OFF  60dB
HEAD AMP ON   86dB
音量調整連動誤差
1dB以内
バランス調整
L・R共に 0,−0.5,−1.0,−1.5,−2.0,−3.0,
 −4.0,−5.0,−6.0,−7.0,−∞
使用半導体
トランジスター:109,FET:16,ダイオード:34
電源及び消費電力
100,117,220,240V50−60Hz 65W
寸法・重量
(A型)482W×82H×345Dmm
(B型)445W×82H×349Dmm
10.7kg(A型,B型共)

※ 本ページに掲載したC-220の写真,仕様表等は1977年のAccuphase
 のカタログより抜粋したもので,アキュフェーズ株式会社に著作権があります。
 したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられ
 ていますのでご注意ください。

  
 
 
★メニューにもどる


★セパレートアンプPART6にもどる
 
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp
inserted by FC2 system