ＭＩＣＲＯ ＣＤ-Ｍ２
ＣＯＭＰＡＣＴ ＤＩＳＣ ＰＬＡＹＥＲ ￥２７０，０００
１９８７年にマイクロが発売したＣＤプレーヤー。アナログプレーヤーの雄マイクロが発売した第１号機でした。
それなのに「Ｍ２」の名が付いたのは海外向けに「Ｍ１」があったためだそうです。マイクロらしい優美で重厚
なＣＤプレーヤーでした。
ＣＤ-Ｍ２の最大の特徴は，アナログプレーヤーで技術を培っていたマイクロらしく振動による音への悪影響を
徹底して抑えた制振設計にありました。トップパネルには，強靱で制振性において鋳鉄やアルミニウム合金
を遙かにしのぐ新合金ＣＯＳＭＡＬ-ＺＭ１１使用の亜鉛-アルミニウム合金を使用し，底面パネルには，鉛/高
純度フェライト制振材，ダンピングアロイの三重制振設計を施した銅合金製パネルを使用していました。また，
シャーシには亜鉛ダイキャストを使用していました。このような強固な制振コンストラクションにより本体重量は
スリムな外観の一体型ＣＤプレーヤーでありながら，２２ｋｇにも達していました。さらに，この強固なキャビネッ
トにはソリッドウッド・ブラジリアン・ローズ製のサイドパネルがつけられ，高級感とともに振動モードの効果的
分散にも役立っていました。
重量級の筐体を支えるインシュレーターには，ダンピングアロイ/フェライト制振材/フェルト複合構造のマイクロ
ＨＡＩ-６０を使用していました。このインシュレーターは強力な制振能力を持つとともに，裏返して銅製リベット３
点支持としても使用できるリバーシブル構造になっていました。
ピックアップメカにはフィリップス社製シングルビーム式/スイングアーム型のＣＤＭ-１がダイキャストシャーシに
強固に固定され，搭載されていました。共振のないリジッドなディスクトレーの設計と相まって，サーボ機構に
いたずらに頼らない正確なトラッキングが実現されていました。
デジタルフィルターには，１６ビット４倍オーバーサンプリングのものが使用され，Ｄ/Ａコンバーターには左右独立
のツインタイプであるフィリップス社製ＴＤＡ１５４１がシングルで搭載されていました。
電源部は，ショートリング/ハムプルーフベルト/銅メッキ鉄製シールドケースの三重構造のシールドを施した大型
の電源トランスを搭載していました。さらに，デジタル部，アナログ部，サーボ部，ＦＬ表示部それぞれ独立電源方
式として，各部への電流の安定供給と相互干渉の防止を図っていました。
また，アナログ回路とデジタル回路の干渉を防ぐために，銅メッキ鉄製ケースによりデジタル基板及びアナログ基
板は別個に完全シールドされ，電磁/パルス干渉によるアナログ回路への影響を抑えるため，アースポイントにも
細心の注意が払われていました。
ＣＤ−Ｍ２には，デジタル出力として同軸と光出力があり，アナログ出力として通常のピン端子による出力とバラ
ンス型出力が備えられていました。特に，バランス出力は，バイファイラー巻き，５重サンドイッチ巻き，ならびに
４重スタティックシールドを施した出力トランスを搭載した出力回路でした。
リモコンは，本体のサイドウッドと同じブラジリアン・ローズ使用の台が付属していたのがユニークでした。この台
にセットして使用したり，取り外して手持ちで使用したりでき，何より高級感があり，マイクロらしさを感じさせまし
た。
以上のように，ＣＤ-Ｍ２は，アナログの雄マイクロらしさを感じさせる真っ正面から物量を投入した高級感あふ
れるＣＤプレーヤーでした。当時のマランツの高級機ＣＤ-９４をベースにしつつも，マイクロらしい優美で重厚な
外観をもち，そうしたイメージ通りにどっしりとした落ち着いた音を聴かせてくれた印象的な１台でした。
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
