YAMAHA CDX-2000
NATURAL SOUND COMPACT DISC PLAYER
                         ¥180,000

ヤマハが1987年に発売したCDプレーヤー。1986年に発売され,記念モデルCDX-10000のベース
モデルともなったCDX-2200をマイナーチェンジし,さらに内容を強化したモデルでした。ヤマハが「ハイ
ビット」を標榜し,マルチビットD/Aコンバーターでの性能追求の先頭集団を走っていた時代の高性能CD
プレーヤーでした。

CDX-2000では,D/Aコンバーター部に最新の素子を投入し,前作のCDX-2200やCDX-10000で
は18ビット4倍オーバーサンプリングであったデジタルフィルターを,18ビット8倍オーバーサンプリングに
強化されていました。D/Aコンバーターは,18ビット動作のD/AコンバーターをL・R独立のツインで搭載
し,ローパスフィルターにダイレクトに接続していました。また,18ビット8倍オーバーサンプリングデジタル
フィルターにより,充分に滑らかな波形が得られ,オーディオ信号以外のノイズも非常に高い周波数帯に少
量残るだけであることを生かし,ローパスフィルターを通さない,より鮮明な信号をダイレクトに出力できるダ
イレクト端子を装備していました。また,通常通りローパスフィルターを通った信号を出力するフィルタード端
子も付いていました。

デジタル系のデジタルノイズがアナログ系のオーディオ信号に混入することがないように,オーディオ信号を
電流伝送して,音質を濁すリップルやノイズを排除する「カレントアイソレーション方式」を採用していました。
また,デジタル・サーボ部,オーディオ部,電源部における電気的・機械的振動による相互干渉を防ぐために
それぞれ独立の回路基板で組むセパレートシート構成を採用していました。電源部は,デジタル・サーボ部
とオーディオ部に独立して大型の電源トランスを搭載した2トランス構成となっていました。さらに,負荷電流
の変動幅以上の電流を制御トランジスタに流し,Aクラス動作させることにより,一定電圧を保ち電源ノイズ
の少ないクリーンな電力を回路に供給する「シャントレギュレーター電源」をデジタル部とアナログ部それぞれ
に搭載していました。

CDX-2000では,CDX-2200の基本構造を受け継ぎ入念な振動対策がとられていました。キャビネットは
フロント,サイド,トップカバーにアルミ押し出し材をふんだんに使用してキャビネットの鳴きを抑えた高剛性な
ものとしていました。シャーシやメカなど全体を支えるボトムカバーには,3.2mm厚の重量級ものを使用し,
焼結合金,防振ゴム,フェルト,アルミ製カバーから構成される4ピース構造の大型インシュレーターを持った
脚部に支えられていました。強固な筐体,強力な電源部などにより,CDX-2000は,このクラスでも最大級
の15kgを超える重量を持っていました。
インシュレーターVMスタビライザメカシャーシ

これらの強固な筐体の内部では,振動の影響をオーディオ回路部に寄せ付けないように,基板の下部に銅メ
ッキが施されたVMスタビライザが搭載され,また,メカユニットベースには,内部損失が大きく重量級のBMCが
採用されていました。
光ピックアップ系には,リニアモーターメカが搭載され,コンピュータがディスクの状況により適切なピックアップ応
答速度を算出する「2WAYコンピュータ」サーボにより,高いトレース精度と余分なサーボ電流の発生の抑制が
実現されていました。

CDX-2000には,CDX-2200以来,0.4dBステップのデジタルボリュームが搭載されていました。ハイビット
による広いダイナミックレンジを生かしたもので,本体,リモコンでの精密な音量調整が実現し,パワーアンプへ
のダイレクト接続での使用を前提にした機能でした。
デジタルアウトは,光,同軸の2系統を搭載し,デジタル出力を行わないときには,オーディオ回路に余裕を持た
せるために,デジタル出力の電源をOFFにするスイッチも装備されていました。実際,フィルターのON/OFFと
あわせ,音の変化が見られ,有効な機能でした。

以上のように,CDX-2000は,前作CDX-2200をさらに強化した内容を持ち,ハイビットで性能を追求した高
性能なCDプレーヤーでした。あの超高級機CDX-10000にも勝るほどの高域の伸びや繊細さを持った音はヤ
マハビューティーを感じさせるものでした。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 

新次元の音楽感動を。
S/N比120dBの驚くべきローノイズ特性,
ローパスフィルタレスのピュアDACダイレクト再生を
可能にしたヤマハ”ハイビット”CDプレーヤー。

気品のフォルムに身を包む,
ハイビットエクセレンス。

CDの持つ情報量を
限界まで引き出すSN比118dB。
スーパーローノイズの世界
 ◎8fs×18bitデジタルフィルタと
  18bit動作ツインDACの
  ハイビットシステム搭載
 ◎ピュアDACダイレクト再生が可能
徹底したDA分離により,
ピュアな再生音を実現
 ◎カレントアイソレーション
 ◎セパレートシート構成で,
  完全独立2トランス電源搭載
徹底した高剛性化,耐振構造の採用により,
ハイビットの高分解能力が
更にクオリティアップ
 ◎VMスタビライザ搭載
 ◎重量化ボトムカバーを採用
 ◎高剛性キャビネット
 ◎アンチバイブレーション・フローティング
  サスペンションを採用
 ◎大型ヘビーインシュレータを採用
 ◎高剛性メカユニットベース
すぐれたトレース能力により,
さらに音質が向上
 ◎2WAYコンピュータサーボ搭載
クリーンな電力供給により,
微細な音楽のニュアンスを忠実に再現
 ◎電源回路にシャントレギュレータ方式を採用
ハイビットCDをさらに使い切る先進機能
 ◎Dレンジ120dBのデジタルボリューム
 ◎デジタルアウト端子
 ◎収録時間にあわせてプログラム
  テープエディット機能

●CDX-2000主な規格●


 
周波数特性 2〜20,000Hz±0.1dB(ダイレクト)
2〜20,000Hz±0.3dB(フィルタード)
高調波歪率 0.002%以下(EIAJ)
ダイナミックレンジ 100dB以上
S/N比 118dB以上(EIAJ)
ワウ&フラッター 測定限界以下
出力電圧 0〜2Vrms(可変(
外形寸法 474W×121H×418Dmm
重量 15.7kg
※本ページに掲載したCDX-2000の写真・仕様表等は1987年10月の
 YAMAHAのカタログより抜粋したもので,日本楽器製造株式会社に
 著作権があります。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等
 をすることは法律で禁じられていますので,ご注意ください。

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