CDX-2200の写真
YAMAHA CDX-2200
NATURAL SOUND COMPACT DISC PLAYER 
                           ¥168,000


1986年に,ヤマハが発売したCDプレーヤー。ヤマハは,1982年のCD黎明期からすぐれたCD
プレーヤーを自社開発して送り出し,高級機にはセパレート型が登場してきた中でも,通常の一体
型にしっかり技術と物量を投入した意欲作を送り出していきました。この当時,D/Aコンバーターと
いえばマルチビットタイプが主流であり,その中でより分解能を上げるためにハイビット化,ハイサ
ンプリング化の動きが出ていました。ヤマハはその中でもトップグループを走っていました。そうした
中登場した意欲作の1台が,CDX-2200でした。

CDX-2200のD/Aコンバーター部をはじめ,デジタル制御系は,当時最新の素子が投入され,最
先端のものとなっていました。当時ヤマハは,CDの中で特に重要なLSIに関して自社開発・自社製
造をし,CD専用の自社製LSIによりすぐれた性能を実現していました。これには,同社が電子楽器
の製造等で培ってきた技術が生きていました。CDX-2200には,光ヘッド,モーターを制御し,デジ
タル信号を処理するキーデバイスに,小型フラットパッケージによる設計ルール2μmの新デジタル
プロセッシングLSIが開発・搭載されていました。1チップ高集積化により,低消費電力を実現し,ノ
イズ,不要輻射等の発生量も抑えられていました。

ヤマハは,当時「Hi-bit DIGITAL(ハイビット・デジタル)」テクノロジーを標榜したマルチビット方式
で,デジタルの解像度ともいうべき精度を追求した設計を進めていました。デジタルフィルターには,
サンプリング周波数を176.4kHzに変換する4倍オーバーサンプリングのものが搭載され,合わ
せて量子化レベルも通常の16ビット分解能から,18ビット分解能へアップされ,4倍オーバーサン
プリングにより時間軸で4倍の精度を,さらに「18ビットのハイビットD/A変換システム」で振幅軸
状に4倍(2ビット分=2の2乗)の精度が確保され,通常の16ビットD/A変換システムに比べ,4倍
×4倍=16倍の分解能を実現し,S/N比115dB,ダイナミックレンジ100dB歪率0.002%のす
ぐれた性能を達成していました。
CDX-2200で新開発・搭載されていた「ハイビットD/A変換システム」は,小信号の時に歪が大き
くならないよう,D/Aコンバーターの直線性のよい歪の少ない部分でD/A変換が実行されるもので
ハイビットデジタルフィルターの18ビット出力を有効に利用し,16ビットD/Aコンバーターを実質18
ビット動作させるものでした。D/AコンバーターはL・R独立のツインで搭載し,ローパスフィルターに
ダイレクトに接続していました。
ローパスフィルターには,高域に対しては,ゆるやかなカットオフ特性を持つ5次ニューアクティブ型
が搭載され,高域のクリアな再生を実現し,低域に対しては,全段直結のDCアンプが搭載されてい
ました。
また,「ハイビットD/A変換システム」には,20ビット演算による,純デジタルコントロール式のデジ
タルボリュームが搭載されていました。これは,CDX-2200がCDプレーヤーとして初搭載でした。
このデジタルボリュームは,120dBのダイナミックレンジを実現し,0.4dBステップで240ポイント
−∞〜0dB間で,高音質・高精度のアッテネーションを実現していました。

デジタル・サーボ部,オーディオ部,電源部における電気的・機械的振動による相互干渉を防ぐため
に,それぞれ独立の回路基板で組むセパレートシート構成を採用していました。電源部は,デジタル
・サーボ部とオーディオ部に独立して大型の電源トランスを搭載した2トランス構成となっていました。
さらに,負荷電流の変動幅以上の電流を制御トランジスタに流し,Aクラス動作させることにより,一
定電圧を保ち電源ノイズの少ないクリーンな電力を回路に供給する「シャントレギュレーター電源」を
デジタル部とアナログ部それぞれに搭載していました。
また,電源コードを伝播して入り込むパルス性ノイズの影響を防ぐためのACラインノイズフィルター
が搭載されていました。

リニアモーター搭載オプティカルシャーシ

ピックアップメカには,リニアモーター採用の新開発のリニアトラッキング方式の新メカユニットを搭載
していました。この新メカユニットでは,8ビットマイコンが各曲の頭の位置をポテンショメータの位置に
置き換えることで記憶し,光ヘッドをリニアモーターで高速移動させて高速アクセスを実現したもので,
ディスク最内周から最外周への最長フィード行程でも0.8秒という最高レベルの高速アクセスを実現
し,高フィーリング,高操作性が確保されていました。

CDX-2200の内部CDX-2200のインシュレーター

光ヘッドの動作,音質に影響を与える振動対策もしっかり行われ,低域の振動に対してはシャーシと
インシュレーターで,高域の振動に対してはオプティカルシャーシのフローティング化によって対処され
ていました。シャーシには,重量級ボトムカバーとアルミ全面トップカバーを採用し,インシュレーターに
は,フェルト,防振ゴム,焼結合金,アルミカバーからなる4ピース構造の重量級のものを採用していま
した。

以上のように,CDX-2200は,一体型CDプレーヤーとして,先進的な技術と物量を投入して,高精度
に仕上げられた1台で,機能的にも音質の上でも完成度の高い1台となっていました。厚みがあり,繊
細で歪み感の少ない,洗練された音は魅力的なものでした。同時期に発売された10000シリーズの
CDプレーヤー・CDX-10000があったために,ややその陰に隠れた存在になってしまっていましたが
バランスのとれたすぐれたCDプレーヤーでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



新技術18ビット4倍オーバー
サンプリング方式と,
18ビット精度ハイビットD/A変換が
16倍分解能を実現。
”CDフォーマットの性能”をすべて引き出すために,
18ビット4倍オーバーサンプリング,
18ビット動作D/A変換。
4(4fs)×4(18bit)=16倍の分解能。
ハイビットデジタル(高精度デジタル演算システム)


◎透明感あるナチュラルな音。
 ハイビットデジタルフィルタ。(4fs)
◎微小レベルの音をクリアに再現。
 ハイビットD/A変換システム。(18ビット)
◎0.4dBの精密コントロール。
 デジタルボリューム。
◎グリッチノイズを解消した
 新開発・独立ツインD/Aコンバータ。
◎フォトアイソレーション。
 セパレートシート構成。
◎本格デジタル時代に対応する
 デジタルアウト端子。
◎フラットな位相・振幅特性。5次ニュー
 アクティブ型フィルタ+完全DCアンプ。
◎0.8秒の超高速アクセス。
 リニアモーター搭載メカユニット。
◎Aクラス動作のクリーンな電力。
 2トランスシャントレギュレータ電源。
◎外来雑音をシャットアウトする
 ACラインノイズフィルタ。
◎高剛性シャーシ&4ピース構造
 ヘビーインシュレータ。
◎カスタム設計によるCD専用
 新デジタルプロセッシングLSI。




●CDX-2200主な規格●

光ヘッド
3ビームレーザー
フィルタ ハイビットデジタルフィルタ+
5次ニューアクティブ型フィルタ
周波数特性 DC〜20,000Hz±0.3dB
高調波歪率+雑音 0.002%(1kHz,EIAJ)
S/N比 115dB(EIAJ)
ダイナミックレンジ 100dB(EIAJ)
ワウフラッタ 測定限界以下
最大出力電圧 0〜2Vrms(可変)
消費電力 25W
外形寸法 435W×125H×400Dmm
重量 15.0kg
主な機能
●24キー付・ダイレクト選曲フルモードリモコン
●カレンダー機能付8桁FLディスプレイ
●光ヘッドポジション表示付
●24曲ランダムプログラム再生/デリートプログラム再生
●リピート再生(全曲・1曲・プログラム曲・A−B区間)
●ランダムプレイ/スペースインサート/インデックス選曲など

 
※本ページに掲載したCDX-2200の写真・仕様表等は
 1986年11月のYAMAHAのカタログより抜粋したもので,
 ヤマハ株式会社に著作権があります。したがってこれらの
 写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられ
 ていますので,ご注意ください。

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