D-500XSの写真
LUXMAN D-500X'
COMPACT DISC PLAYER ¥350,000

1990年にラックスが発売したCDプレーヤー。トップローディングの筐体が目立つ1台ですが,音質重視の
ラックスらしいオーディオ機器としての練り上げ方がなされた一体型CDプレーヤーでした。

D-500X’sの最大の特徴は,同社の最高級CDトランスポートDP-07にも採用されたトップローディング方
式の採用でした。トレイ機構などの不安定な構造体を排除して安定した構造とし,さらに,ディスク取り出し
用の凹部もディスク回転時の乱気流の発生を防ぐ形状として不要振動の要因を根本から排除していました。
さらに,このローディング部全体をフローティング構造としたうえに,強固なベースに取り付けて外部振動にも
強いメカニズム部としていました。

ピックアップメカニズムには,フィリップス社製のCDM-3を搭載していました。CDM-3は,ダイキャスト製ス
イングアームメカで,パンタグラフ形状によりつねにディスクと垂直にトレースするフォーカス機構,1ビーム方
式ピックアップなどを強靱なダイキャストフレームにマウントした構造をもち,CD-ROM用のピックアップとし
ても定評のあるものでした。

CDM-3

D/Aコンバーターには,1ビットタイプが多くなってきた時期でしたが,あえて最も基本形に近い抵抗ラダー型
D/Aコンバーターが搭載されていました。十分なノウハウが蓄積されていることと,厳密なチューニングにより
優れた性能を発揮できるということでの採用で,ラックスらしいこだわりが感じられたものでした。フィルターに
は,4倍オーバーサンプリングデジタルフィルターと低次アナログフィルターを搭載していました。

電源部は,アンプに匹敵する100VAクラスの電源トランスを搭載した強力なもので,DAC-アナログアンプ部
/デコーダー部/操作部/表示部/アクセサリー部の5系統の巻線を分離し,それぞれが単独でレギュレーター
を備えた完全独立電源構成となっていました。特に,アナログ部用電源は,トランス内部の巻線から静電シー
ルドが施され,クリーン化が図られていました。

シャーシの無共振・無振動化も徹底して行われていました。まず,全体の形状をくさび形にすることで固有振動
やねじれを追放し,様々な振動モードの対しての高い安定性を確保していました。また,主要メカニズム部のガ
ラス繊維入り強化プラスチック,重量級のアルミトップパネル,サイドウッドなど,それぞれ剛性と耐振性に優れ
た異なる振動モードの材質を用いることにより,無共振化を図っていました。構造的にも,メカニズム部・電源部
と信号系とを分割したメインシャーシは重量級の二重底板設計で,さらに重厚なトップパネルを強固に組み合わ
せることにより,構造体全体としての高剛性・無共振化・無振動化を徹底していました。

D-500のシャーシ構造

パーツも音質重視で厳選されたものが使用され,音質追求型のピュアフォーカスコンデンサー,RMA抵抗,オ
リジナルの音質対策電解コンデンサー,銅筒入り銅箔スチロールコンデンサーなどが随所に使用されていまし
た。回路基板には銅厚70μの基板が使用され,銅製ヒートシンク,強固な電源トランス用マウントベース,DAC
上にも厚銅板を貼るなど,振動対策が随所に施されていました。また,音に影響を与える部分にPC-OCC無酸
素銅線を採用し,シャーシ全面に銅メッキが施されていました。

D-500XSのパーツ

操作系は,傾斜したフロント上面のパネルに配置され,確実な切換感が感じられるタッチのタッチスイッチが使用
されていました。プログラム機能として,一度記憶したプログラムはパワーOFFにしても何度でも呼び出せるFTS
が搭載され,1枚5曲メモリーで137枚分のメモリーが可能となっていました。出力ボリュームには伝導ボリュー
ムが搭載され,表示系はノイズの少ないFL(蛍光表示管)が採用されていました。出力端子は,デジタル出力1
系統(オプティカル),アナログ出力2系統(可変/固定)が搭載されていました,

以上のように,D-500は,超弩級モデルDP-07,DA-07を作り上げたラックスが,通常に使用するCDプレーヤー
としてオーソドックスなディバイスやパーツを使いこなし,バランスを考えた設計として完成させた1台でした。音楽
を安心して聴ける安定感のある音が魅力的でした。
 

 
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 


奔放と緻密。
エクシズの新しき音楽創造。

昴まる鼓動,密やかな息づかい。
D-500X’s(エクシズ)

すべてのテクノロジーは,純粋な音楽のために。

◎音楽のための必然形。
 無共振に徹したトップローディング方式。
◎生命ある音をとらえるピックアップ。
 音楽性と高信頼性が,贅沢な選択を許した。
◎抵抗ラダー型DACへのこだわりは,
 自然な音楽表現へのこだわり。
◎のめりこむ音の実在感。
 各回路独立のクリーンで強力な電源。
◎ゆるぎない音楽を守り抜く
 無共振・無振動シャーシ。
◎音楽の鼓動にふれるような
 高品位な感触と操作系。
◎厳選された音質重視のパーツ群。


●D-500X’s SPECIFICATIONS●


方式 光学式コンパクトディスク
ピックアップ 半導体レーザーピックアップ フィリップス社製CDM-3
量子化ビット数 16ビット直線式量子化
サンプリング周波数 44.1kHz
周波数特性 5Hz〜20kHz(±1dB
出力電圧 2.1V(DIRECT/VARIABLE)
ダイナミックレンジ 96dB
SN比 106dB
チャンネルセパレーション 100dB
ワウ・フラッター 測定限界以下
高調波歪率 0.01%(1kHz)
付属装置 ライン・フェーズ・センサー
電源電圧 AC100V(50/60Hz)
消費電力 30W
外形寸法 438W×118H×385Dmm
重量 14.5kg


D-500X’sUの写真
LUXMAN D-500X'U
COMPACT DISC PLAYER ¥380,000

1992年にD-500X’sはD-500X’sUとなり,トップローディング,CDM-3など基本部分はそのままに各
部の改良が施されていました。

DAC部は,16ビット抵抗ラダー型を引き続き採用していましたが,新たに抵抗ラダー型の中でもトップクラス
の精度を誇るクラウンマークの上をいく高精度のダブルクラウンマークのチップ(TDA1541A)を採用してい
ました。
プリント基板は新たに設計され,ラックスのアンプ作りのノウハウを生かした信号の流れを妨げない整然とし
たプリント基板になっていました。
さらに,リアパネルのピンジャック端子は,堅牢で信頼性のより高いものとされ,間隔を18mmピッチに広げる
ことで大型ピンプラグの使用も可能にしていました。

以上のように,D-500X’sUはCDプレヤーとしてさらなる練り上げが行われ,さらに音のクリアさが高まり,
低域も改善されていました。
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 


理想の向こう側で,私たちは創った。
ラックスマン。

新たなる極限へ,Uの感動創造。

CDプレーヤーの新しい資質。
誕生,D-500X’sU。

◎無共振へのさらなる進化
 トップローディング。
◎音楽の生命をとらえる
 高精度ピックアップ・メカニズム。
◎ダブルクラウンチップ投入による
 極限のD/A変換。
◎音楽が整然と流れる。
 新開発のプリント基板を採用。
◎一線を超える音楽表現。
 カスタムパーツや厳選素材の力。
◎豊かな音楽表現の源泉。
 アンプに匹敵するパワフルな電源。
◎形状,材質,構造を究めた
 無共振・無振動シャーシ。
◎指先に贅沢な感触。
 心昴まる高感度オペレーション。
◎音質優先の使いやすさへの
 細心の装備と配慮。
●D-500X’sU SPECIFICATIONS●


方式 コンパクト・ディスク・デジタル・オーディオ・システム
量子化ビット数 16ビット直線量子化
サンプリング周波数 44.1kHz
チャンネル数 2チャンネル(ステレオ)
周波数特性 20Hz〜20kHz(±1dB)
ダイナミックレンジ 103dB(EIAJ)
SN比 103dB(EIAJ)
チャンネルセパレーション 100dB(BPF-1kHz)
ワウ&フラッター 測定限界以下
全高調波歪率 1kHz,0.006%(EIAJ)
出力レベル 2.0V(FIXED),0〜2.0V(VARIABLE)
デジタル出力方式 デジタル・オーディオ・インターフェース
デジタル出力レベル/波長 −21〜−15dBm/660nm
ピックアップ方式 半導体レーザー・ピックアップ フィリップス社製CDM-3
メモリー曲数 20曲
電源電圧 AC100V(50Hz/60Hz)
消費電力 30W(電気用品取締法の規定による)
外形寸法 438W×118H×385Dmm
重量 14.5kg


D-500の写真 
LUXMAN D-500
COMPACT DISC PLAYER ¥250,000

1994年,D-500X’sUの弟機的な後継機としてD-500が発売されました。筐体上部の操作系がシン
プル化され,価格的にも安くなっていましたが,筐体の構造,ピックアップメカ部,電源部等中身は基本的
に継承されていました。

最大の改良点としてDAC部が新しいものになっていました。新たに8倍オーバーサンプリングデジタルフィ
ルターが搭載され,高精度18ビットDACが採用されていました。1ビットが多くなった時期でしたが,あえて
マルチビットを採用するあたりは,ラックスのこだわりだったようです。

また,回路基板等において,最新のアンプ作りで獲得したノウハウを生かしてノイズ対策の徹底が図られ
ていました。シールド板の採用やレイアウトの変更によってノイズ源の除去を図り,高周波ノイズ対策を徹
底して聴感上のSN比を大きく向上させていました。

デジタル出力は,それまで装備されてきた光出力が廃止され,同軸出力が搭載されるようになりました。
アナログ出力端子も固定出力のみになっていました。電源供給回路には,インピーダンス変動を抑え,安
定した電源供給を得るために給電バスバーが搭載されました。

以上のように,D-500は各部の見なおしにより性能の向上とコストダウンが図られ,上級機D-500X’sU
に勝るとも劣らない堂々とした再生音を実現していました。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 


何ひとつ変わらない,
しかしすべてが新しい
正統なる野心作,D-500
◎なによりも音楽が求めた
 無共振トップローディング方式。
◎高信頼ピックアップ
 CDM-3にこだわった理由。
◎高精度18ビットDACによる
 正攻法のアプローチ。
◎無共振・高剛性構造は,
 ピュアな音楽感銘のために。
◎強力な電源部が
 一瞬の音にも生命を与える。
◎電源供給回路のバスバーが
 音の歪みを追放。
◎徹底したノイズ対策と
 カスタムパーツの音楽再現力。
◎2系統の出力端子。
 音質や使いやすさに先進の配慮。
 
●D-500 SPECIFICATIONS●


方式 コンパクト・ディスク・デジタル・オーディオ・システム
量子化ビット数 18ビット直線量子化
サンプリング周波数 44.1kHz
チャンネル数 2チャンネル(ステレオ)
周波数特性 5Hz〜20kHz(±1dB)
ダイナミックレンジ 103dB(EIAJ)
SN比 103dB(EIAJ)
チャンネルセパレーション 106dB(BPF-1kHz)
ワウ&フラッター 測定限界以下
全高調波歪率 1kHz,0.002%(EIAJ)
出力レベル 2V(FIXED)
デジタル出力方式 デジタル・オーディオ・インターフェース
デジタル出力レベル/波長 0.5Vp-p
ピックアップ方式 半導体レーザー・ピックアップ フィリップス社製CDM-3
メモリー曲数 20曲
電源電圧 AC100V(50Hz/60Hz)
消費電力 16W(電気用品取締法の規定による)
外形寸法 438W×117H×385Dmm
重量 13.3kg
※本ページに掲載したD500-X’s,D-500X’sU,D-500の写真・
 仕様表等は1990年7月,1992年10月,1994年3月のLUXMAN
 のカタログより抜粋したもので,ラックス株式会社に著作権があります。
 したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で
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