D-X10の写真
Lo-D D-X10
STEREO CASSETTE TAPE DECK  ¥99,800

ローディー(日立)が1984年に発売した3ヘッドデッキ。リバースデッキには比較的慎重な姿勢 を保っていた
ローディーが出した3ヘッドリバースデッキでした。デッキの世界では高い技術を発揮していたローディー らし
い高性能デッキでした。

ヘッドには,ローディー自慢の「チタン溶射R&Pヘッド」を搭載していました。「チタン溶射 R&Pコンビネーショ
ンヘッド」は,録音ヘッドと再生ヘッドのギャップ間を1.4mmと狭くすることで,カセットのパッドの 圧力を十分に
利用して,ヘッドタッチを良好にし,さらに,チタン溶射による鏡のように滑らかなテープ走行面とあい まって,レ
ベル変動を大幅に抑えたヘッドでした。1973年に世界に先駆けて,コンビネーションヘッドによりカ セットデッ
キの3ヘッド化を実現したローディーの高い技術力が感じられるヘッドでした。

チタン溶射R&Pヘッド
リバースメカ

D-X10では,3ヘッド化に加え,この当時多くなってきた3ヘッド録再オートリバースを実現するため,コンビネーシ
ョン・ヘッドを回転させるコンビネーションヘッド・リバース仕様を搭載していました。回転ヘッドの軸受けに,軽負荷
回転をめざして高精度小型ベアリングを封入して,スムーズで安定した回転動作を実現していました。
また,開けるとヘッドが見え,ヘッドクリーニングがしやすいヘッドメインテナンスドアがついていました。

走行系には,ローディーがリバースメカ用に新開発した,新走行メカ「TF-55」を搭載していました。8極に着磁され
た駆動用ドーナツ型マグネットと電気的に120度ずつずらした6枚の8分割3相コイルから発生するトルクが相互に
補完しあって絶えず一定したトルクが発生し,原理的にコッキング要因のない安定した定速回転をするローディー
自慢の「ユニトルクモーター」をDDで使用した新開発のリバース用走行系で,ワウ・フラッター±0.06%(W・Peak)
の安定した回転を実現していました。さらに,リール軸に小型のリングマグネットを取り付け,マグネットの吸着力を
利用して常に一定のトルクバックテンションをかける「磁気バックテンション」を採用し,微少なトルク変動を少なくして
いました。

機能的には,D-5500で初めて開発されたコンピュータチューニングシステム,ATRS(自動周波数特性補正)シ
ステムを搭載し,使用するテープ1巻ごとに,最適バイアス,最適録音感度,最適補償量をコンピュータが自動検出
し,最適な録音特性に合わせられるようになっていました。さらに,マニュアル操作によるREC CAL&EQアジャス
トも装備され,録音音質をチューニングできるようになっていました。
表示部には,テープ残量分秒表示するリメイニング・スキャン機能付のリニアカウンターと−40〜+10dBのワイドピ
ークメーター装備のマルチ・デジタル・ディスプレイを搭載していました。
また,好みの曲を好みの順番で15曲まで予約演奏できるランダムメモリー選曲,曲の頭を連続再生するスキャンプ
レイ,前後15曲の頭出しができるデジタル選曲などの多彩な頭出し機構を搭載していました。

以上のように,D-X10は,ローディーの蓄積されたデッキ技術を投入したオーソドックスな3ヘッドリバースデッキでし
た。ヘッド部をはじめ,ユニトルクモーター,ATRSなど随所にその技術の高さが感じられた1台だったと思います。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



蓄積された3ヘッド技術を集大成。
音質最優先設計を施した
3ヘッドDD・ATRS
録再マルチリバースデッキ。

◎新形状チタン溶射R&Pヘッド・リバース仕様
◎低速回転の新TF-55・ユニトルクDD・リバースメカ
◎微少トルク変動を追放した磁気バックテンション
◎ATRS(自動周波数特性補正)システムを搭載
●主な仕様●
録音再生ヘッド 新形状チタン溶射R&Pコンビネーションヘッド×1
消去ヘッド マルチギャップフェライトヘッド×2
モーター ユニトルクDDモーター×1 
DCモーター×1
ワウ・フラッター(WRMS) 0.03%  ±0.06%W・Peak
周波数特性 メタル   20〜21,000Hz  30〜20,000Hz±3dB(新EIAJ) 
クロム   20〜20,000Hz  30〜19,000Hz±3dB(新EIAJ) 
ノーマル 20〜19,000Hz  30〜18,000Hz±3dB(新EIAJ) 
S/N メタルテープ 
     3%ひずみ 
     レベル聴感補正 
DOLBY・C・NR・ON 75dB 
DOLBY・B・NR・ON 69dB 
DOLBY・NR・OFF   61dB  57dB(新EIAJ)
入力インピーダンス/感度 LINE IN  50kΩ/80mV 
MIC(適合)300Ω〜5kΩ/0.4mV
出力インピーダンス(負荷) LINE IN   50kΩ以上 
HEADPHONE 8Ω〜2kΩ
電源電圧 AC100V 50/60Hz(切換不要)
消費電力 26W
外形寸法 幅435×高さ115×奥行281mm
重量 5.5kg
※本ページに掲載したD-X10の写真,仕様表等は1984年5月のローディーのカタログ
 より抜粋したもので,日立家電販売株式会社に著作権があります。したがって,これらの
 写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください  
    

 
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