KYOCERA DA-910
COMPACT DISC DIGITAL AUDIO PLAYER
¥198,000京セラが1984年に発売したCDプレーヤー。セパレートアンプ,アナログプレーヤーなど,持ち前のセラミック
技術を生かした910の型番を持つシリーズのCDプレーヤーとして発売され,同社の最上級機でした。DA-910の最大の特徴は,CDプレーヤーにおける振動対策の重要性に早くから目を向け,他の910シリー
ズと同様にセラミック技術を生かした無共振化対策がとられていたことでした。
ベースシャーシには,「CCR(Ceramic Compoud Resin)」というセラミックと樹脂を複合した新素材による
ベースシャーシでした。京セラのセラミック技術を生かしたこのベースは,優れた振動減衰特性と高い強度を持
ち,このベースにアナログ回路を直づけすることにより回路自体を振動から守るようになっていました。このベー
スシャーシは,取り付け部品に合わせて作られた専用の型を使った一体成形で,使い回しのきかない専用品と
して作られており,相当コストがかかっているように思われました。また,ベースシャーシには,高さ調整のでき
る脚がついていて,接地面にリジッドに設置できるようになっていました。
さらに,アナログ回路は,「FCLモジュール」と呼ばれる非磁性金属ケースの中にパッケージされ,サーマルドリ
フト,パルス性のノイズなどの外乱による音質劣化の要因を防ぐようになっていました。DA変換部には,4倍オーバーサンプリングタイプのデジタルフィルターを搭載し,DAコンバーターをL・R独立で
搭載して,後段のアンプをシンプル化を実現し,低次のアナログローパスフィルターを使用することで,位相特性
群遅延特性を向上させていました。
さらに,DAコンバーター以降のリレーを排除した無接点方式を採用して信号経路のシンプル化を徹底し,さらに
非磁性化も徹底されていました。DAコンバーターから出力端子までを直結したDCアンプ構成を採用し,低域位
相特性の向上とアンプ動作の安定化を実現していました。また,信号系の配線にはすべてLC-OFC線材を採
用し,基板間の接点には金メッキコネクター,極性表示付きの大容量(15A)の電源コードをはじめ,パーツ類も
厳選されて使用されていました。セラミックベースシャーシだけでなく,筐体自体も厚手のアルミ製で強固に作られ,ヘッドメカニズム部には,剛
性の高い特殊合金ダイキャストが採用され,無共振化がさらに徹底されていました。また,厚手のアルミの筐体
は,同社のセパレートアンプと同様に上品な色合いのゴールドパネルとなっていて,高級感がありました。以上のように,実際見るからに高級な作りをしていたDA-910は,当初20万円以上の定価を予定していたとい
うことで,中身の充実した実力機でした。クリーンな中高域を持ったクリアで上品な音は魅力的でしたが,ブランド
のためもあったのか,大ヒットというわけにはいかなかった隠れた名機でした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎ファインセラミックが”デジタル”を変える
◎デジタルの質はアナログで決まる
◎優れた位相特性を生む独自のDA変換システム
◎低域位相特性に優れたDCサーボアンプ
◎信号劣化を防止するLC-OFC線材と
選び抜かれたパーツ群
◎10年後もリファレンスであり続ける
◎ハイクオリティサウンドを思いのままに味わう
多彩な操作機能その他の特徴
●ヘッドメカニズム部に剛性の高い特殊合金ダイキャストを採用。
●DAコンバーター以降を完全非磁性化。
●信号系の配線はすべて厳選したLC-OFC線材を採用。
●完全DCアンプ構成。
●極性表示付大容量(15A)電源コード。
●セット全体を機械的に固定する高さ調整式フット。
●音質劣化を防ぐ無接点構成の回路設計。
●基板間の接点には金メッキコネクターを採用。
再生周波数帯域 | 5Hz〜20kHz(±0.5dB) |
SN比 | 90dB以上(20Hz〜20kHz) |
ダイナミックレンジ | 90dB以上 |
チャンネルセパレーション | 90dB以上 |
高調波歪率 | 0.007%(20Hz〜20kHz) |
ワウフラッター | 測定限界以下(水晶発振精度) |
出力レベル/インピーダンス | 2V/1kΩ |
消費電力 | 33W |
電源 | AC100V 50/60Hz |
外形寸法 | 430W×140H×330Dmm |
重量 | 9.5kg |
付属機能 | プログラムメモリー(20曲ランダム,アクセスタイム3秒以下)
INDEXサーチ,スキップ,リピート(全曲,プログラム) |
表示 | 曲数,曲番(TRACK NO.),節数(INDEX),全残り時間,
演奏時間 |
※本ページに掲載したDA-910の写真・仕様表等は1984年12月の
KYOCERAのカタログより抜粋したもので,京セラ株式会社に著作権
があります。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用等をするこ
とは法律で禁じられていますので,ご注意ください。現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。↓