ＤＩＡＴＯＮＥ　ＤＡ-Ｆ１０
ＡＭ/ＦＭ　ＳＴＥＲＥＯ　ＴＵＮＥＲ　￥５０，０００

１９７６年に，ダイヤトーン（三菱電気）が発売したＦＭ/ＡＭチューナー。ダイヤトーンはスピーカーのブランドと
いうイメージが強く，他のコンポ－ネットの分野ではあまりメジャーとはいえないブランドでした。しかし，エレク
トロニクスの三菱電機のオーディオブランドであるダイヤトーンはアンプ等でもすぐれた基礎技術を持っており
１９７４年には，高級セパレートアンプＤＡ-Ｐ１００，ＤＡ-Ａ１００を発売し，高い評価を得ていました。そんなダ
イヤトーンがエントリークラスのセパレートアンプ「Ｆｅａｔｕｒｅ Ｓｅｒｉｅｓ」として，プリアンプＤＡ-Ｐ１０，ＤＡ-Ｐ７，パ
ワーアンプＤＡ-Ａ１５，ＤＡ-Ａ１０，ＤＡ-Ａ７を発売しました。そして，このシリーズのチューナーとして発売された
のがＤＡ-Ｆ１０でした。

フロントエンドには，４連バリコンが登載され，ＲＦ増幅段に，ダイナミックレンジの大きいデュアルゲートＭＯＳ
ＦＥＴ，ミキサー段にはデュアルゲートＭＯＳ ＦＥＴと４極位相直線型ＬＣブロックフィルターを配し，相互変調妨害
特性を高めた構成となっていました。

ＩＦ段には，６極位相直線型ＬＣブロックフィルターが搭載され，すぐれた群遅延特性により低歪率を確保してい
ました。また，ＩＦ段はＷＩＤＥ/ＮＡＲＲＯＷの選択度切換が搭載されており，ＮＡＲＲＯＷ時には，６極位相直線型
ＬＣブロックフィルターにさらに４素子のセラミックフィルターが入る構成となり，高選択度を確保できるようになっ
ていました。そして，フィルターに続く検波段にはレシオ検波回路が採用されていました。
シグナルメーターやミューティング回路を制御する制御系ＩＦ回路は，上述の信号系ＩＦ回路は独立した専用回路
として，チューナーの基本性能に影響を与えないようになっていました。
ミキサー段とＩＦ段に登載された位相直線型ＬＣフィルターは，ＬＣで構成され，±２００ｋＨｚの範囲にわたり群遅
延特性が平坦となるよう，位相特性をチェビシェフ近似した直線位相フィルターとして設計されたもので，高調
波歪率，相互変調歪等を大幅に抑えていました。
ＭＰＸ段は，ＰＬＬ ＩＣを採用し，低歪率，高セパレーションを実現しつつ，安定性を確保していました。

ミキサー段とＩＦ段に登載された位相直線型ＬＣフィルターにより，改善された離調特性をさらに改善するために
同調機構に，新開発のロックチューニング機構が登載されていました。±１００ｋＨｚの範囲でロックチューニン
グ回路が動作し，この範囲では，高調波歪率，セパレーションの悪化が抑えられるようになっており，一度ロッ
クすると，温度・湿度の変化があっても正確な同調点が維持されるようになっていました。

フロントパネルのデザインは，大型のシグナルメーターとチューニングメーターの２メーターの窓と周波数表示の
窓の２つの大きな窓が左右に並ぶユニークなもので，周波数表示は，通信機のイメージもあるディスクダイヤル
式で，チューニングノブの操作感覚も精密感のあるものでした。

以上のように，ＤＡ-Ｆ１０は，デザインのユニークさが目立ちますが，中身は非常にオーソドックスに性能を高め
たチューナーでした。安定した性能の中級チューナーとして完成されていました。

以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。

ＤＡ-Ｆ１０の特長

◎位相直線形ＬＣフィルターによる低歪率チューナー
◎正確な同調ができるロックチューニング回路
◎選択度切換えによる高選択度チューナー
◎相互変調妨害特性のすぐれたフロントエンド
◎制御系専用ＩＦ回路
◎斬新なデザイン

●定格●


■ＦＭチューナー部■

■ＡＭチューナー部■

※本ページに掲載したＤＡ-Ｆ１０の写真，仕様表等は１９７６年
　６月のＤＩＡＴＯＮＥのカタログより抜粋したもので，三菱電気
　株式会社に著作権があります。したがって，これらの写真等
　を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますの
　でご注意ください。
 

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