ＭＩＣＲＯ ＤＤ-１００
ＱＵＡＲＴＺ ＬＯＣＫＥＤ ＤＩＲＥＣＴ ＤＲＩＶＥ ＰＬＡＹＥＲ ＳＹＳＴＥＭ
￥２５０，０００（カートリッジレス）
１９７６年にマイクロが発売したプレーヤーシステム。マイクロがダイレクトドライブ方式のプレーヤーに力を入
れていた頃の１台で，巨大なターンテーブルと頑丈なキャビネットとインシュレーターを持つ，マイクロらしい
プレーヤーでした。
ＤＤ-１００の最大の特徴は，おそらく民生用のプレーヤーシステムでは史上最も大きい直径を持つ，大型の
ターンテーブルにありました。回転変動をその大きな慣性質量によりおさえるという方法に徹底したものとい
えました。アルミダイキャスト製，直径４０cm，重量５．２ｋｇにも及ぶターンテーブルは，外周部に重量を集め
て慣性質量を高めた設計により，慣性質量は１，５００ｋｇ・ｃｍ2にも達していました。さすがに起動には数秒
の時間がかかりましたが，滑らかな回転を誇りました。
モーターは，クォーツによるＰＬＬサーボによるＦＧサーボＤＣモーターを搭載していました。高精度な水晶発振
器との位相比較により，回転数偏差０．００２％オーダーに達し，重量級ターンテーブルとともに安定した回転
を実現していました。
モーターの軸受けは，重量級ターンテーブルを支えることから，シャフトを守るために，僅かながら摩耗しやす
い材料を採用し，軸受けは交換式として初期性能を維持するというものでした。
プレーヤーベースは１２ｋｇにも達する重量を持つもので，パーチクルボードと鉛板による三重構成で，重量級
ターンテーブルの回転エネルギーに負けず，ハウリングにも強い設計となっていました。また，フォノモーター
アームベースなどのホールカットも最小限に抑えた剛性を重視した設計になっていました。
この重量級キャビネットをキャビネットからはみ出すほど外側いっぱいに配された大型のインシュレーターが支
える構造となっていました。
トーンアームは，ダイナミックバランス方式を採用し，単売もされていたＭＡ-５０５のロングタイプを搭載していま
した。精密なスプリングを使用し，０．２５ｇ〜３．０ｇの針圧をリニアに印加できるようになっており，演奏中にも
針圧調整が可能となっていました。ヘッドシェルはマグネシウム製の一体型・軽量・堅牢なものを採用していま
した。
アームベースには，カートリッジロード切換が搭載され，抵抗とコンデンサーそれぞれ３つのポジション，組み合
わせで９通りの変化が可能となっていました。また，ダイレクトにすることで，解除することもできました。
また，サブアームベースもオプションで用意され，キャビネットのサイドに取り付けられるようになっていました。
電源ＯＮ／ＯＦＦ，回転切換，±６％のピッチコントロール，クォーツロックのＯＮ／ＯＦＦは，独立したコントロール
ボックスで行うようになっていました。これは，キャビネットへの必要以上のホールカットを避けるためと，電源部
を独立させて，パワートランスからのプレーヤー本体への影響を抑えるための設計でした。このことにより，重量
級ターンテーブルを駆動するため，余裕あるパワートランスの搭載も行われていました。
以上のように，ＤＤ-１００は，マイクロらしい正攻法の設計で，しっかりと物量を投入した重量級プレーヤーシステ
ムでした。そして実にマイクロらしいＤＤプレーヤーとして印象的な１台です。
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
