DMA-X1の写真
STAX  DMA-X1
MONAURAL POWER AMPLIFIER ¥1,480,000

1987年にスタックスが発売したパワーアンプ。1938年に昭和光音工業として創立されたスタックスは
現在「イヤースピーカー」と称されるコンデンサー型ヘッドホンで有名なブランドですが,コンデンサー型
スピーカーにもすぐれた製品を送り出していきました。そんなスタックスはアンプでも正攻法のすぐれた
製品を出してきました。パワーアンプの分野でも,1974年のピュアDC,AクラスのDA-300をはじめ
その後より小型化されたDA-80,DA-80M,1980年のDA-100M,1981年のDA-50Mなど数々
の力作を発売してきました。そして,1987年に2年の歳月をかけて完成され,満を持して発売された
超弩級機がDMA-X1でした。

DMA-X1の内部

同社が発売しているコンデンサー型スピーカーは,元来インピーダンスが低く,パワーアンプにとって
は,非常にやっかいなスピーカーにあたります。DMA-X1は,コンデンサー型スピーカーをも完全に
ドライブできるように徹底的に電源部にこだわった設計になっていました。
1760VAもの大容量のトロイダルトランスを+用,−用それぞれに1個ずつ,計2個搭載し,そのうえ
にチョークを2個搭載していました。さらに,平滑コンデンサーとして100,000μFのケミコンを4個
搭載しているという超弩級・世界のパワーアンプにも例を見ないものとなっていました。そして,DMA
-X1は,これだけの電源部を備えたモノラルのパワーアンプでした。

出力段は,MOS FETが搭載され,コンデンサー型スピーカーの繊細な再生能力にも対応できるよ
うになっていました。選別されたMOS FET12個による6パラレルプッシュプルの出力段は,強力な
電源部により,300W/8Ω,580W/4Ω,1030W/2Ω,1530W/1Ωという驚異的な出力値を
実現し,かつ繊細な再生能力ももっていました。

入力は,バランスとアンバランスが備えられ,切り換えられるようになっていました。また,アッテネー
ターも備えられ,付属のワイヤードリモコンでの操作も可能になっており,大型のスピーカーの傍も
置いて使う際の利便性も考えられていました。
パワーインジケーターは,8Ω換算の出力を表示するだけでなく,電流と電圧を換算して実効値を
表示するアクチュアル・ピークインジケーターが装備されていました。

以上のように,DMA-X1は,当時,いや現在でも他に類を見ないほどの超弩級ともいえるパワー
アンプでした。その外観も,とてもパワーアンプとは思えないほどの巨大さで,当時「ヒーターかエア
コンのようだ。」と評され,重量も91kgにも達していました。スピーカーを何気なく鳴らす余裕と繊細
さを併せ持った実力派の1台でした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



大きい。
パワーアンプの究極の姿。

●主な仕様●

最大出力
300W/8Ω,580W/4Ω,1030W/2Ω,1530W/1Ω(at 1kHz)
f特
0.5Hz〜300kHz at 1W/8Ω
入力インピーダンス
50kΩ(バランス,アンバランス共通)
入力換算ノイズ
−123dB
出力インピーダンス
1mΩ以下 at 1kHz
ダンピングファクター
1000以上 at 1Ω
歪率
0.002%/8Ω,250W
0.002%/4Ω,500W
0.002%/2Ω,700W
0.003%/1Ω,1kW
IM歪
0.01% at 5W
TIM歪
0.02%以下
入力感度
1.17V/8Ω,300W出力
ゲイン
32.4dB
消費電力
500VA/無信号時
寸法
280W×600D×660Hmm
重量
91kg


※本ページに掲載したDMA-X1の写真,仕様表等は1987年の
 STAXのカタログより抜粋したもので,有限会社スタックスに著
 作権があります。したがってこれらの写真等を無断で転載,引用
 等をすることは法律で禁じられていますのでご注意ください。

 
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