ＤＥＮＯＮ ＤＰ-５９Ｌ
ＡＵＴＯ ＬＩＦＴ ＰＬＡＹＥＲ ￥８９，８００（カートリッジ別）
ＤＰ-５９Ｍ
ＭＡＮＵＡＬ ＰＬＡＹＥＲ ￥７９，８００（カートリッジ別）
デンオンが１９８４年に発売したアナログプレーヤー。それまでデンオンが培ってきた伝統の技術を受け継ぎ
つつ，電子制御アームなどの新しい技術を投入し，それまでのデンオンのプレーヤーと少し異なる印象の
風格あるデザインにまとめ上げられていた使いやすい高性能プレーヤーでした。
ターンテーブルは，直径３２．５ｃｍ，肉厚７mm，重量２．２ｋｇの重量感あふれるもので，それまでのデンオン
の外周がスラントしたフレームに囲まれた形のものが多かったのに対し，厚みのあるターンテーブルが見え
る形のデザインになり，どこかパイオニアやビクターなどのプレーヤにも似たオーソドックスなイメージになりま
した。
モーターはデンオン伝統の交流方式のＡＣサーボモーターを搭載していました。構造がシンプルで故障が少
なく，原理的にトルクムラが少ない滑らかな回転を持ったモーターでした。シャフトは１０mmという太い直径が
与えられ，重量級のターンテーブルを下部からがっちり支える構造になっていました。また，モーター自体が
シャフト部に対して充分な長さを持つ低重心設計となっており，シャフトのふれの少ないどっしりした回転を
実現していました。
ターンテーブルの回転制御はデンオン自慢のＤＥＮＯＮクォーツを搭載していました。「磁気記録検出方式」
と「水晶発振による位相制御」による高精度な制御系で，ターンテーブルの外周に付いている１０００個の
磁気パルスを検出ヘッドで検出し，１秒間に５５５．５５回（３３・１／３回転時）もチェックするという高精度な
スピード検出を行い，水晶発振による位相制御で回転速度の小刻みなバラツキを抑え，回転偏差０．００２％
という回転精度を実現していました。また，このＤＥＮＯＮクォーツのサーボは両方向サーボになっており，回
転の遅れだけでなく，早すぎた場合にも確実に対応し，４５回転→３３・１／３回転への変更時や電子ブレー
キによる制動時にも迅速にかつ有効に働くようになっていました。ＤＰ-５９Ｌにはピッチコントロールが装備さ
れ，液晶表示カウンターの表示を見ながら０．１％ピッチで±９．９％までスピード可変ができるようになって
いました。
アームは，デンオン版電子制御アーム「Ｄｙｎａｍｉｃ Ｓｅｒｖｏ Ｔｒａｃｅｒ（ダイナミック・サーボ・トレーサー）」を
搭載していました。アナログレコードのソリや偏芯が生み出す超低周波雑音を抑えるため従来のオイルダ
ンプ等に代えて，当時，各社から電子制御アームが出されていました。低周波雑音は約６Ｈｚ以下である
ため，軽質量アームとすることで低域共振周波数を（約１０Ｈｚ）設定して雑音の発生を抑え，さらに，レコ
ードのソリや偏芯によるアームやカートリッジの振動を逆の信号を与えて打ち消す電子Ｑダンプ機構によ
り完全に排除するという２段構えになっていました。
標準のアームは軽質量のストレートアームで，従来のものよりも支点の精度を高め，軽量ながら１．３倍
の太さを持たせていました。また，パイプ内のリード線には無酸素銅線を１１本より合わせたリッツ線を採
用し，従来比３〜４倍の断面積を持ち内部抵抗を低く抑えてクリアーな高域再生を実現していました。
ＤＰ-５９Ｌには，光学式位置検出と磁気特性利用の速度検出の２方式を組み合わせたレコードエンド検
出による，無接触構造のオートリフト機構を搭載されていました。
キャビネットはカイザー・ローズ調の鏡面仕上げの美しいもので，高さ１１cmの重量級のもので，堂々とし
た重厚な外観となっていました。
以上のように，ＤＰ-５９Ｌはオーソドックスな外観の中にデンオンの培ってきたアナログプレーヤーの技術
と新しい技術を搭載した，高性能プレーヤーでした。
以下に，当時のカタログの一部をご紹介します。
