KENWOOD DP-8020
COMPACT DISC PLAYER ¥80,000
1989年に,ケンウッドが発売したCDプレーヤー。ロングセラーモデルであったDP-1100シリーズを受けつ
いで1988年に発売されたDP-8010の後継機で,DAC,筐体構造など各部を改良強化した同社の主力モデ
ルでした。

DP-8010,DP-8020が発売されたこの頃,CDプレーヤーのD/Aコンバーターは,16ビットから18ビット,
さらに20ビット,デジタルフィルターも,2倍オーバーサンプリングから4倍,さらに8倍へというふうに,ハイビッ
ト,ハイサンプリングの流れがありました。そうした中,ケンウッドも前年に発売したDP-8010が18ビットであ
り,DP-8020では,20ビット化されたことが大きな特徴でした。

D/Aコンバーター部には,新たに8倍オーバーサンプリング(サンプリング周波数352.8kHz)の20ビットデジ
タルフィルターが搭載され,よりハイビット化されていました。D/Aコンバーターもハイビット化され20ビットとされ
ていました。しかし,当時多く使用されているモノリシックICでは18ビットのものまでしかなく,20ビットを標榜し
ていたCDプレーヤーでも,ディスクリート素子を使って2ビット分を追加して20ビット化が行われていました。こ
の方法では,温度特性等がICとディスクリート素子で揃わなかったり,グラウンド処理の難しさがあるなど,理論
通りの性能を確保するのはかなり難しいものがありました。DP-8020では,18ビットのモノリシックICに,オリ
ジナルのハイブリッドICによる2ビットD/Aコンバーターを追加する方式で,18+2=20ビットのD/Aコンバー
ターとし,上述の問題点を回避していました。
このD/Aコンバーターは,DP-1100SG以来の「リアルステップ・フルビットD/Aコンバーター」が採用されており
誤差による影響を受けやすい最大のビット(MSB)とその半分の大きさにあたるビット(2SB)の歪み補正を行
い,全体の直線性を高め,より高精度なD/A変換が実現されていました。

さらに,高精度なD/A変換のために,DP-8010で開発された「D.P.A.C.(デジタルパルス・アクシスコントロー
ル)」を改良した「New D.P.A.C.」が搭載されていました。「D.P.A.C.」では,時間軸の高精度化に取り組み,D/A
コンバーターでアナログ変換される直前までのマスタークロックのジッターを除去することに成功していました。
「New D.P.A.C.」は,ジッターを含むI-V変換回路の出力をジッターのないマスタークロックから生成したサンプ
リングクロックでサンプリングホールドすることにより完全にジッター除去されたアナログ信号を得ようというもの
でした。D/Aコンバーターの直前でデジタル信号のジッターを抑え,アナログ信号に変換後にジッターを除去す
るD.D.T.B.C.(デュアルデジタルタイムベースコレクター)採用により,瞬時の微分直線性も改善し,微小レベル
までの正確な再生が可能となっていました。



DP-8020では,前年に発売されたCDトランスポート・DP-X9010でケンウッドとして初採用されたセンター
レイアウトのコンストラクションが採用されていました。メカニズムの重心とCDプレーヤー全体の重心を一致
させることにより外部振動に対して一段と強くなるだけでなく,CDからのデジタルデータを処理するデジタル部
とメカニズムのサーボ系を含むアナログ部を機構上も分離することができていました。電源部も,デジタル・
サーボ系とオーディオ系のそれぞれに独立して給電する専用の電源回路を使用し,トランスの捲き線を分け
デジタルとアナログの基板を左右に完全に分離した設計とともに,磁束による結合などの相互干渉を一切排
除することができていました。

ピックアップ部の駆動には,高精度なリニアモーターメカニズムを採用していました。センサーコイルとドライブ
コイルをもち,トラッキング方向にのみ動くマウントにピックアップが取り付けられたリニアモーター方式でした。
また,ピックアップのサーボコントロールは,伝統の「オプティマムサーボコントロール」を改良した「スーパー
オプティマムサーボコントロール」が搭載されていました。あらかじめ設定されたエラー電圧をサーボ系に与え,
ディスクに傷があると瞬間的にピックアップに余分な力を与えない状態で通過させ,その後にサーボコントロー
ルを効かせてビットを正確にトレースするというシステムで,キズや汚れ,音圧振動に強くエラーの発生を抑え,
ミクロン単位のピット列のトレースの安定性を向上させ,高精度な信号ピックアップが実現されていました。さら
に,ディスクの偏芯に対して,もトラッキングアクチュエーターに代わってリニアモーターメカニズムでピックアッ
プ全体が追従し,アクチュエーターは常にセンターで動作するという偏心吸収機構も搭載されていました。そし
てこれらのメカニズムを駆動するドライブアンプは,BTL構造で,アースを介してのノイズの発生を抑えていま
した。



グランドラインの表面積を拡大し,表皮効果による高域インピーダンスの低減と,グランドラインの直流抵抗を
低減するために両面基板によるグランドプレーン構造を採用していました。ラジエーションの影響を受けにくく,
また自らのラジエーションの発生も抑えていました。
ピックアップをメカニズムインシュレーターとハイブリッドインシュレーターで防振し,さらにPCBインシュレーター
で基板を安定させ,シャーシを二重構造で高剛性化していました。さらに,全体を特殊弾性樹脂を組み込んだ
大型インシュレーターでガッチリと支えるマルチインシュレーションシステムを採用し,ピックアップに影響を与え
る様々な振動に対処していました。

デジタル出力として,オプティカル(光出力)端子を備え,当時各社から出ていたD/Aコンバーター内蔵型アンプ
や,単体D/Aコンバーターとの接続が可能となっていました。また,アナログ出力は固定と可変の端子を備え,
可変端子からの出力は,モーター付きボリュームによりリモコンでも可変できるようになっていました。
プログラム選曲機能として,通常のプログラム選曲以外に,時間枠を指定して,それに収まるように曲順かを自
動的にプログラムして演奏できるNEWランダムプログラムエディット機能も搭載していました。

以上のように,DP-8020は,DP-8010の後継機として,DP-1100シリーズ以来の技術を受けつぎ,さらに
改良を重ねた,しっかりした内容を持ったコストパフォーマンスの高い1台となっていました。各部をしっかり検
討した作りからくる,すっきりとしてクリアな音は,ケンウッドらしさをもつ音でもありました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



感動へのあくなきアプローチから生れた
DPシリーズの最高級機,DP-8020

センターレイアウトの新鮮な表情のなかに,
先端のテクノロジーをふんだんに投入したDP-8020。
プレーヤーとしての信号ピックアップ能力と変換器としての
D/A変換能力を限界まで追求しています。

◎アナログ信号の忠実な再現のために時間軸と量子化軸に注目
◎量子化軸の精度を向上させた20ビット左右独立D/Aコンバーター
◎時間軸の精度を向上させた
 NEW D.P.A.C.(デジタル・パルス・アクシス・コントロール)
◎ラダー抵抗の誤差を抑えるリアルステップフルビットD/Aコンバーター
◎プレーヤーとしての精度を向上させた
 センターレイアウトBTLドライブリニアモーターメカニズム
◎高音質設計グランドプレーン構造PCB採用
◎高剛性,高耐振性を高めたニューマルチインシュレーションシステム
◎デジタル・アナログ電源回路分離

●スーパーオプティマムサーボ回路&偏心吸収機構
●モータードライブリモコンアウトプットボリューム
●ニューランダムプログラムエディット
●オプティカルデジタルアウトプット
●ディスプレイON/OFF機能
●金メッキピンジャックの出力端子(固定&可変)
●極太電源コード
●自照式プレイキーを採用
●電源トランスカバー




●定格●

型式  コンパクト・ディスク・デジタルオーディオシステム 
読み取り方式 非接触光学式読み取り(半導体レーザー) 
チャンネル数  2チャンネルステレオ 
回転数  約200rpm~500rpm(CLV) 
エラー訂正方式  クロスインターリーブ・リードソロモン 
周波数特性 2Hz~20kHz(EIAJ)
SN比 113dB以上(EIAJ)
ダイナミックレンジ 100dB以上(EIAJ)
全高調波ひずみ率 0.0013%以下(EIAJ)
チャンネルセパレーション 110dB以上(EIAJ)
ワウ・フラッター 測定限界(±0.001%WPeak)以下(EIAJ)
出力レベル 固定出力:2.0Vrms(EIAJ)
可変出力:0~2.0Vrms(EIAJ)6
ヘッドホン出力 20mW(8Ω)
オプティカルデジタル出力 -15dBm~-21dBm(発光波長660nm)
最大外形寸法 440W×132H×381Dmm
重量 10.1kg
電源電圧・電源周波数・消費電力 AC100V 50・60Hz 17W
消費電力 20W
※ 本ページに掲載したDP-8020の写真・仕様表等は1989年
 12月のKEWOODのカタログより抜粋したもので,JVCケンウッ
 ド株式会社に著作権があります。したがってこれらの写真等を
 無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられていますので,
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