MICRO DQX-1000
QUARTZ LOCK DIRECT DRIVE TURNTABLE SYSTEM
¥150,000(アームレス,アームベース1個付属)
1978年にマイクロが発売したターンテーブルシステム。1976年のDDX-1000のクォーツロック化
モデルともいえそうですが,マイクロが回転メカニズムの「原器」と称したターンテーブルむき出しのそ
のデザインと設計は,まさにアームやカートリッジにこだわりを持ちながらアナログディスク再生を楽し
むマニア向けのものでした。
ターンテーブルは,直径31cm,重量2.9kgのアルミダイカスト製で慣性モーメント600kg・cm2を
誇り,ディスクの再生によって起こるパルシブでトランジェントな機械振幅にも細かな回転変動起こさ
ない安定した回転を実現していました。
ターンテーブルの周囲にはストロボが設けられ,コントロール回路からの発振周波数に同期して規定
速度がチェックできる一条ストロボ方式になっていました。
モーターは,起動トルク1,500g・cmを誇るDCモーター搭載し,ダイレクトドライブ方式によりター
ンテーブルを駆動していました。このころはマイクロもダイレクトドライブ方式に熱心に取り組み,数多
くのDDプレーヤーの名品を出していました。ダイナミックな負荷変動を重量級ターンテーブルの慣性
モーメントで改善すると同時に,スタティックな負荷変動に対しては,PLLクォーツロック方式によるサ
ーボが改善するとうたわれていました。
インシュレーターは,クッションゴムとインシュレーターポールに内蔵されたスプリングによる二重のア
ブソーバー機構になっていました。,支点がインシュレーターの上部に設定され,システム全体を吊っ
た支持構造で,重心が低く,横揺れ,縦揺れに強い設計になっていました。また,インシュレーターは
3点支持で,ガタのない安定した設置を実現していました。
アームマウントベースは,各種・各メーカーのアームに対応して6種類が用意され,購入時にそのう
ち指定した1個が付属するという形になっていました。また,オプションでマウントベースを買い足すこ
ともでき,写真のように最大3個まで同時にアームが使用できる状態にもできたため,アームを使い
分けるマニアには使いやすい設計でした。
以上のように,DQX-1000は,アームやカートリッジを使い分けるなどの様々な使いこなしに応えて
くれるマイクロらしいアナログレコードの楽しみへのこだわりを感じさせる1台でした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
カスタムメードによる
プレーヤーシステムの追求派におくる
回転メカニズムの『原器』。
◎慣性モーメント600kg・cm2,直径31cmターンテーブル
◎モーターはPLLクォーツロック方式DCタイプ
◎音の解像力では定評のゴムシートSE-22
◎インシュレーター
◎ターンテーブルは,アルミダイキャスト製2.9kg
◎マウントベース1個付属
●DQX-1000規格●
駆動方式 | ダイレクトドライブ方式 |
モーター | クォーツロックPLLサーボDCモーター |
回転数 | 331/3,45rpm |
ターンテーブル | アルミ合金製,31cm,2.9kg, 慣性モーメント600kg・cm2(ターンテーブルシート含む) |
回転ムラ | 0.02%以下(WRMS) |
SN比 | 65dB以上(JIS) |
回転数偏差 | 20ppm(0.002%)以下 |
起動トルク | 1500g・cm |
回転数微調整範囲 | 規定速度に対して±6% |
消費電力 | AC100V,6.5W |
外形寸法 | 444W×444D×125Hmm |
重量 | 12kg(コントロールユニット除く) |
MICRO DDX-1000
TURNTABLE SYSTEM ¥138,000
DQX-1000の原型にあたるDDX-1000は1976年に発売されました。ターンテーブルという機能の
原型ともいえるそのデザインは,今見ても精悍で美しいと思わせるものでした。
ターンテーブルは,直径31cmのアルミダイカスト製で,重量2kg,重量配分をターンテーブル外周
部に集め,慣性モーメント330kg・cm2を実現しつつ,軸受け部にかかる負担を抑えていました。
DQX-1000同様にターンテーブル外周部にはストロボが設けられ,専用の発振を内蔵したネオンラ
ンプにより,回転精度のチェックができるようになっていました。ストロボの縞数が33・1/3rpmでも
45rpmでも整数になるように周波数を45Hzに設定し,周波数変動も0.03%以下(家庭用電源周
波数は0.2%)と安定したものとしていました。
モーターは,FG(周波数発電機)サーボのDCモーターが搭載されいました。起動トルクは1.2kg・cm
で,耐負荷特性にもすぐれ,30cm最外周部に針圧3gをかけた場合にも,速度偏差は0.04%以下
に抑えられていました。
全体の3点支持構造,交換が可能で多彩なアームに対応したアームマウント,クッションゴムとインシュ
レーターポールに内蔵されたスプリングによる二重のアブソーバー機構など基本的な構造は同様で,
アナログファンには使い勝手のよい,使いでのある1台でした。
駆動方式 | ダイレクトドライブ方式 |
モーター | FGサーボDCモーター |
回転数 | 331/3,45rpm |
回転数微調整範囲 | ±6% |
ターンテーブル | アルミ合金製,31cm,2kg, 慣性モーメント330kg・cm2 |
回転ムラ | 0.03%以下(WRMS) |
回転数微調整範囲 | ±6% |
SN比 | 62dB以上(JIS) |
起動トルク | 1200g・cm |
消費電力 | 5W |
外形寸法 | 444W×444D×125Hmm |
重量 | 10kg(フォノモーターのみ) |
※本ページに掲載したDQX-1000,DDX -1000の写真・ 仕様表等は
1978年のMICROのカタログより抜粋したもので,マイクロ精機株式会社
に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等
をすることは法律で 禁じられていますので,ご注意ください。
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