YAMAHA
GT-1000
NATURAL SOUND MANUAL PLAYER ¥99,800
1983年に,ヤマハが発売したプレーヤーシステム。前年の1982年に発売された重量級プレーヤー
GT-2000の弟機とし
て発売されたモデルで,GT-2000同様,クラスを超えた物量の投入が特徴でし
た。しっかりしたプレーヤーを求めるユーザーにとってコストパフォーマンスのすぐれた1台となっていま
した。
ターンテーブルは,アルミダイキャスト製,直径36cm,厚さ30mm,重量3kgのクラスの常識を越えた
大型・重量級のものが搭載され,慣性質量は600kg・cm2にも 達し,高い周波数での負荷変動に強い
安定した回転が実現されていました。
この重量級ターンテーブルを駆動するモーターは,起動トルク1.2kg・cmの強力なDCコアレスホール
モーターで,ダイレクトドライブ方式が採用されていました。さらに,クォーツPLL方式の採用で,水晶発
振レベルの回転精度20ppm以下を実現し,低い周波数での負荷変動に対して安定精密な回転が実
現されていました。ターンテーブルを支えるモーターシャフトには,10mm径という極太のものが用いら
れ,安定した支持力が得られていました。
重量級のターンテーブルをさせるキャビネットもクラスを超えた,重量級のしっかりしたものになっていま
した。20mm厚の底板1枚を含む高密度パーティクルボード5層積層構造を用いた115mm厚,自重が
13.4kgという堂々としたもので,高剛性・高比重を実現したGTシリーズらしいキャビネットでした。表面
仕上げは,
NS-1000Mや
GT-2000と共通の精悍な黒色塗装仕上げとなっていました。
アームは,実効長262mmのS字型ロングアームが搭載されていました。アームの材質はアルミ製で,ロ
ングアームであるため,S字のうねりが小さく抑えられ,水平トラッキングエラーも−1°〜+2°という狭
い範囲となっていました。アームの支持機構は,仮想一点支持シンバルサポートが採用されていました。
ピボットをアンギュラーコンタクトベアリングで受け,そのベアリングはゴムブッシュで支える精密な構造で
水平・垂直とも7mgという初動感度が確保されていました。アンチスケート機構は,糸吊り式が搭載され
0.25gステップの精密な調整が可能となっていました。
GT-1000は,GT-2000の多くのオプションがほとんど使えるようになっていました。オートリフタYAL−1
(¥9,000),電動ポンプ式のレコード吸着システムYDS−1(¥60,000),本体重量に32kgの重量を
更に加え,総重量54kgにまで高めてしまうアンカーブロックYAB−1(¥90,000)などがありました。1番
上の写真は,これらすべてを装備した状態です。(このときの総価格は¥244,800!)GT-2000同様に
マニアックな要求にも応えるプレーヤーシステムでした。
以上のように,GT-1000は,人気モデルの上級機GT-2000の基本的な部分を受け継ぐ弟機として,しっ
かりと物量が投入され,価格を超えた重量級のしっかりしたプレーヤーでした。正攻法に作られた重厚な使
い勝手は,アナログを楽しめる1台となっていました。