YAMAHA GT-750
NATURAL SOUND MANUAL PLAYER ¥69,800
1984年に,ヤマハが発売したプレーヤーシステム。1982年に発売された重量級プレーヤー
GT-2000を
トップに抱く「GTシリーズ」の末弟に当たる機種で,前年の1983年発売の
GT-1000に近い内容を持ちなが
ら,手頃な価格を実現し,よりコストパフォーマンスの高い1台となっていました。
ターンテーブルは,アルミダイキャスト製,直径36cm,厚さ30mm,重量3kgのクラスの常識を大きく越えた
大型・重量級のものが搭載され,慣性質量は600kg・cm2にも達し,高い周波数での負荷変動に強い安定し
た回転が実現されていました。このターンテーブルは,上級機GT-1000と同一のものでした。
ターンテーブルを駆動するモーターは,DC4相8極大型コアレスホールモーターが搭載されていました。起動
トルクは,GT-1000と同じ1.2kg・cmで,クォーツPLL方式とあいまって,SN比82dB以上(DIN-B),ワウ
フラッター0.006%以下(FG直読)という,静かで高精度な回転が実現されていました。
キャビネットは,18mm厚の高密度パーティクルボードを使用し,ヤマハ自慢の木工技術で強固にくみ上げら
れた88mm厚のものでした。これは,上級機のGT-1000のキャビネットと縦・横の寸法は同一で厚さのみ27
mm薄いという,高剛性・高比重を実現した,クラスを越えた堂々たるものでした。表面仕上げは,
NS-1000M
やGT-2000と共通の精悍な黒色塗装仕上げとなっていました。
このキャビネットを支える脚部には,スプリングとラバーを複合させて広い周波数範囲にわたって不要振動を吸
収する大型のインシュレーターが装備され,ダストカバーには,3.5mm厚の厚く重いしっかりしたものが装備さ
れていました。
トーンアームは,実効長262mmのS字型ロングアームが搭載されていました。アームの材質はアルミ製で,ロ
ングアームであるため,S字のうねりが小さく抑えられ,水平トラッキングエラーも−1°〜+2°という狭い範囲
となっていました。アームの支持機構は,
ピボットをアンギュラーコンタクトベアリングで受け,そのベアリングは
ゴムブッシュで支えるという精密な仮想一点支持シンバルサポートが採用され,水平・垂直とも7mgという初動
感度が確保されていました。このアームは,亜鉛ダイキャスト製の重量級アームベース,真ちゅう削り出しの直
径27mmの極太支柱によりしっかりと支えられていました。さらに,有害振動を防ぐためのアルミダイキャスト製
ヘッドシェル,0.25gステップの糸吊式アンチスケート機構,16mmのアーム高さ調整機構なども装備されてお
り,アーム部自体は,上級機GT-1000と全く同一のものでした。
「GTシリーズ」のプレーヤーシステムには,オプションパーツがいろいろと用意されていました。そのうちの多く
は,GT-750にも使えるようになっていました。フルインテグレートストレートアームYSA-1(¥40,000),ピュ
アストレートアームYSA-2(¥60,000),ディスクスタビライザYDS-1(¥60,000),オートリフタYAL-1
(¥9,000)など,GT-750を使いこなしがいのある1台とするものでした。
以上のように,GT-750は,上級機GT-1000の多くの部分を受け継ぎつつ,より価格を抑えられたコストパ
フォーマンスの高い本格的マニュアルプレーヤーでした。当時としても,価格を超えた内容を持っていました。
現在ではとうていこの価格でこれだけの内容のプレーヤーは難しいかと思います。