アカイが1981年に発売したオープンリールデッキ。従来のオープンリールデッキのイメージを大きく変えたデザインとAKAI GX−77
リバース録再オープンデッキ ¥128,000
EEポジション対応とオートリバース機構により,高音質長時間録音でカセットデッキに対抗しようとしたアカイの意欲作
でした。GX-77の最大の特徴はEEポジション対応であることでした。このホームページではティアックのX-2000RもEEポジ
ション対応型でしたが,このEEポジションはEXTRA EFFICIENCYの略で,カセットデッキのハイポジションにあたる
テープを使用し,本来高性能なオープンデッキをより高性能化してカセットデッキに対抗しようとした新規格でした。専用
のEEテープを使用することにより,19cm/sのテープ速度で従来の38cm/s以上の性能を発揮し,9.5cm/sでも
従来の19cm/s以上の性能を発揮するといううたい文句でした。実際,19cm/sで25〜33,000Hz±3dBの周波
数特性を誇り,9.5cm/sでも25〜25,000Hzというワイドレンジを誇りました。アカイはこの高性能テープを高密度
記録EEテープとうたい,「オープンは今新時代へ」と,高らかにカセットテープデッキへの挑戦をうたったのでした。カセットへの挑戦者として登場したGX-77の2つ目の大きな特徴は,オープンリールデッキで初めて0.4秒のクイック
リバースを実現していたことでした。この機能により,最大7号リールまでの小型ボディ(と言っても大きいが・・。)にも
かかわらず,最大3時間の往復録音がほとんど音切れなしで可能となっていました。ローディング機構は独創的な「Λローディング」を搭載していました。この方式は,カセットの扱いやすさに少しでも近づけ
るためにテープローディングの手間を少しでも軽減しようと工夫されたものでした。テープをヘッドハウジングの下にまっす
ぐ水平に通し,再生または録音ボタンを押すだけで自動的に中央のローディングローラーが作動し,テープを走行状態に
セットしてくれるという優れものでした。ただ,テープをつないだりして編集をするには向いていなかったため,マニアには
やや不評でもありました。しかし,メタルテープを武器に付けたカセットデッキに対抗できるオープンリールデッキを開発し
ようとしたアカイの熱意が感じられる部分でした。走行系に余裕のあるオープンリールらしく往復それぞれ専用に3ヘッドを配した6ヘッド構成で,往復の特性をそろえるた
め,Λローディングとあいまって左右対称配置となっていました。録音ヘッドと再生ヘッドにはアカイ自慢のGXヘッドをさら
に改良したニューGXヘッドを搭載していました。EEテープに対応するためにより特性を磨き,コンターエフェクトによる低
域のうねりを解消するためにヘッドコア先端の形状を複合R型に加工し,トラック間のシールドの強化も図っていました。
また,消去ヘッドは,ダブルギャップ消去ヘッドとして,より高い磁束密度を持つEEテープの消去に対応していました。
走行系は,3モータDD方式で,キャプスタン駆動用には,FGサーボDCモータ,リール駆動用にはDCモーターを搭載し
ていました。デュアルキャプスタンではありませんでしたが,テープテンションはテンションサーボによって一定に保たれ
高精度のキャプスタン表面の特殊仕上げとともに高精度なテープ走行を確保していました。ワウ・フラッターは0.03%
以下(WRMS・19cm/s)を誇りました。
機能的には,電子式デジタルのリアルタイムカウンター,留守録に対応したタイマースタート機構,ノーマルポジション用
のバイアス微調整機構など実質的なものが搭載されていました。アカイは,長時間高音質録音の性能を全面に打ち出し
てFMエアチャックのマスター機として位置づけようとしていたようで,それに合わせた機能が搭載されていたといえるでし
ょう。音質的には,やはりカセットデッキでは得られない余裕が感じられる音が印象的でした。現在のデジタル録音機では
得られないアナログならではのワイドレンジ感のある音は魅力的だったと思います。操作性もオープンリールデッキとして
は使いやすくある意味でカセットデッキ的な使いやすさが追求されていたので,カセットデッキしか使っていなかった私にと
っても親しみやすさを感じさせてくれたものでした。当時,FMエアチャックのマスター機として本気で欲しいなと思った1台
でした。前面のダストカバーを閉じた姿もかっこうがよく今でも印象に残っています。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
2トラ38を超える驚異的なクオリティ。
EEテープ対応など数々の新機構で
エアチェック新時代を宣言。ザ・マスター77の出現が,
エアチェックの理想的フォーメーションを
完成させた。
2倍密度で録るか。
19cm/秒では38を超えるクオリティ
2倍時間を録るか。
9.5cm/秒では従来の19cm/秒のクオリティで3時間録再FM,レコードなど録音ソースのクオリティ向上。メタルテープ登場によるカセットのレベルアップ。オーディオシーンは
めざましい進展を遂げつつあります。そんな中,これからのオープンリールはどうあるべきなのか。オープンの主流を
歩むアカイが出した,ひとつの結論。ザ・マスター77。トップブランドとしての自信と,持てる技術を一挙に開花させた
これはまぎれもないオープンの革命児です。
まず,新しい高密度記録EEテープ対応による,スーパーなクオリティに驚かれることでしょう。その圧倒的なダイナミ
ックレンジは,2トラ38をもしのぐほど。さらにオープンで初めての0.4秒クイックリバース。テープ装着性を革新した
Λ(ラムダ)ローディング。エアチェックマスターとしてのニーズに応えた数々の機能。これからこうなる,との予言と確
信をこめてアカイが世に問います。ザ・マスター77。オープンは,いま新時代へ。
◎38を超えるスーパークオリティ。EEテープ対応。
●オープンの歴史は,ここから変わる。
●新再生イコライザー時定数の設定。
●19cm/秒なら38を超えるスーパークオリティ。
●9.5cm/秒でも十分なハイクオリティ。
◎アカイの独創,Λローディング。
●オープンのイメージを変えたクイックローディング。
●左右対称のヘッド配置。
●クオリティをさらに向上させるローディングローラー。
◎基本性能のすばらしさにも,ご注目。
●EEテープ対応,高性能ニューGXヘッド。
●新設計,ダブルギャップ消去ヘッド。
●往復とも安定走行を生む,3モーターDDシステム。
●テンションサーボによる滑らかな走行メカニズム。
◎オープンでは初めての0.4秒クイックリバース。
●音切れのない0.4秒リバース。
●片道録再,往復録再,エンドレス再生も可能。
◎エアチェックマスターとして必要かつ十分な装備。
●リアルタイム表示,電子デジタルカウンター。
●使いやすいハーフターンマスターボリューム。
●留守録もタイマースタート機構でワンタッチ。
●離れて録音・再生ができるリモートコントロール機構。
●編集に便利なキュー/レビュー機構。
●マックスホールド付き2色16セグメントLEDバーメーター。
●ヘッドホンの出力も調節できるアウトプットボリューム。
●バイアス調整ボリューム。
●GX-77の主要な規格●
トラック方式 | 4トラック2チャンネルステレオ |
リール | 17型(7号) |
テープ速度 | 19cm/秒(±0.8%) 9.5cm/秒(±1.0%) |
ワウ・フラッター | 0.03%WRMS(19cm/秒) 0.04%WRMS(9.5cm/秒) |
周波数特性 | 25〜33,000Hz±3dB(19cm/秒)
25〜25,000Hz±3dB(9.5cm/秒) |
歪率 | 1kHz 3次高調波歪み率 0.5% |
SN比 | 63dB(19cm/秒) |
ヘッド | GX録音ヘッド×2 GX再生ヘッド×2 消去ヘッド×2 |
モーター | FGサーボDCキャプスタンモーター×1 DCリールモーター×2 |
早送り巻き戻し時間 | 約80秒(7号リール360mテープ使用時) |
入力(レベル) | ライン:70mV |
出力(レベル) | ライン:0.775V ヘッドホン:1.3mW |
電源 | AC100V 50/60Hz |
消費電力 | AC28W |
外形寸法 | 440W×244H×227Dmm |
重量 | 17.0kg |
※本ページに掲載したGX−77の写真,仕様表等は1981年10月のAKAIのカタ
ログより抜粋したもので,赤井電機株式会社に著作権があります。したがって,こ
れらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注
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