JA-S9の写真
Victor  JA-S9
INTEGRATED STEREO AMPLIFIER ¥89,500 (発売時)
                            ¥99,800 (1975年当時)


1972年に,ビクターが発売したプリメインアンプ。この年よりビクターが展開していたプリメインアンプの「JA-Sシ
リーズ」の1台で,当初展開された「JA-S1桁シリーズ」の中の最上位機でした。この後,「JA-Sシリーズ」は広く
展開されていくことになりました。

パワー部は,増幅段間にカップリングコンデンサーを使用しない直結回路が採用されていました。出力トランジス
ターにもPNPとNPNを使用した出力コンデンサーレス,プラスマイナス2電源による,完全直結,完全コンプリメ ン
タリー方式で,いわゆるピュアコンOCL回路が搭載されていました。直流域から数百kHzに及ぶ負帰還をかけて
安定した動作が確保され,55W+55W(両ch動作時・8Ω)の出力が余裕を持って確保されていました。
イコライザー部は,容量誤差の少ない素子を厳選して使用し,RIAA偏差±0.5dBを実現していました。さらに,
厳選された低雑音PNPシリコン・トランジスターを,初段と2段目に使用し,終段は250Vにも耐えうる,高耐圧・
低雑音NPNシリコン・トランジスターを用いて,85Vの高圧を印加した,混成C-E型帰還3段直結型とすることで
300mVの高耐入力特性を確保していました。

JA-S9の写真2
機能的に特徴的なところとして,ビクター自慢の7素子のSEA(Sound Effect Amplifier,グラ フィックイコラ
イザー)回路が搭載されていました。通常の音質調整の他,録音回路にスイッチひとつで挿入することもでき,録音
出力の音質調整も可能でした。レベルチェックやスピーカーの位相チェックなどにも用いることができるピンクノイズ
発生回路も内蔵されていました。

ボリュームには,相互偏差1dB以内という,精密な超連動4連ボリュームが搭載されていました。他の2chアンプを
加えると4chのマスターボリュームとしても使うことができるようになっており,ラウドネス・コントロールや−20dBの
アッテネーターも4ch分装備されていました。そして,4chにシステムアップするためのリア用入・出力端子も装備さ
れていました。
その他,ローカットフィルタ−,ハイカットフィルターも装備され,背面には,カートリッジの負荷抵抗(3段階)切り替
えや,PHONO1及びAUX1のレベルアジャストボリューム,プリメイン分離端子等が装備されていました。

JA-S9の内部
以上のように,JA-S9は,非常に多機能で,発展性もあり使いこなしがいのあるプリメインアンプでした。ビクター
らしい明るくやさしい,聴きやすい音をもっていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



ハイ・クラスなコンポーネントのための
最高級プリメイン・アンプ
JA-S9は,ぜい沢な内容をもつ最高級
の2CHプリメイン・アンプです。


◎過渡応答重視の設計で,安定した高性能。
◎大入力にも強く,しかも正確なイコライザー。
◎全段直結ピュア・コンプリメンタリーOCL回
 路で,余裕あるパワー。
◎録音回路にも働く,7素子SEAを内蔵。
◎応答の早い自動復帰型保護回路。
◎チェックに便利な,ピンクノイズ発生器の内蔵。
◎シャープなロー・カットとハイ・カット・フィルター。
◎4CH時にも使える,超連動4連ボリューム。
◎そのほかにも多くの機能が完備。




●JA-S9 規格●


■パワーアンプ部■

回路方式
全段直結ピュアコンプリメンタリーOCL
ミュージックパワー(IHF) 4Ω:220W(110W+110W)
8Ω1kHz:170W(85W+85W)
実効出力
両ch駆動8Ω1kHz:110W(55W+55W)
片ch駆動8Ω1kHz:120W(60W+60W)
20Hz〜20kHz両ch動作8Ω:100W(50W+50W)
高調波歪率
0.05%以下(実効出力時1kHz)
混変調歪率
0.4%(1W出力時)
パワーバンド・ウィズス
10Hz〜30,000Hz(両ch8Ω,50W,THD0.25%)
周波数特性
5Hz〜450,000Hz(−3dBポイント1W出力時)
ダンピング・ファクター
50(8Ω負荷)
負荷インピーダンス
4〜16Ω
入力感度
1V



■プリアンプ部■

周波数特性
20〜50,000Hz±0.5dB
トーンコントロール
SEA中心周波数:40,150,400,1000,2400, 6000,15000Hz
SEA可変範囲:±12dB
入力感度/インピーダンス
PHONO:2.5mV/47KΩ
AUX:200mV/100kΩ
TAPE PLAY:200mV/100kΩ
SN比
PHONO:91dB(IHF)/63dB(RMS)
AUX:101dB(IHF)/86dB(RMS)
イコライザー特性(RIAA偏差)
±0.5dB
PHONO最大許容入力
840mV・P-P/300mV・RMS
カートリッジ負荷抵抗切替え
33,47,100kΩ
録音出力レベル
PIN JACK:180mV
DIN:30mV
フィルター
SUBSONIC:12dB/OCT 18Hz
HIGH:−12dB/OCT 9kHz
ミューティング
−20dB
ラウドネス(−30dBポイント)
50Hz +11dB,1kHz+1.5dB,40kHz +4dB



■その他■

消費電力
135W
電源
AC100V 50/60Hz
寸法
420W×138H×333Dmm
重量
11.5kg


※本ページに掲載したJA-S9の写真,仕様表等は,1973年 10月の
 Victorのカタログより抜粋したもので,日本ビクター株式会社に著作
 権があります。したがってこれらの写真等を無断で転載・引用等する
 ことは法律で禁じられていますのでご注意ください。

 

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