ALPINE/LUXMAN K-109
MANUAL CALIBRATION CASSETTE DECK ¥160,000
アルプス電気とラックスが作ったニューブランドALPINE/LUXMANが1986年に発売した発売したカセットデッ
キ。ラックスは,ドコーダーの工場を買収し,1970年代後半にカセットデッキ分野に参入し音質重視の高性能な
カセットデッキを発売しました。残念ながらあまり大ヒットはしませんでしたが,マニア向けの凝った作りのデッキと
して評価されました。そんなラックスは,1983年に,新開発の「G.T.transport」などの凝ったメカニズム部と持ち
前のアンプ技術を合体したカセットデッキK-05K-04,K-03というシリーズを発売しました。その後継機ともい
えるのがK-109でした。



走行系は,「G.T.transport」が継承されていました。これは, 厚肉の合金ダイキャスト製のモーター・フレーム・
シャーシと2組のキャプスタン軸受けを堅固に一体成形しキャプスタン軸とピンチローラー軸の厳密な垂直性と,
相互の軸の完璧な平行性を確保したもので,見るからにごついメカニズムでした。この高精度なデュアルキャプ
スタン構造を正確なテープタッチの基本とし,2本のキャプスタンの周速に差を持たせて相互の共振を防止して
いました。

キャプスタン駆動用DDモーター,リール用モーター,アシスト用モーターとそれぞれ独立にモーターを搭載した3
モーター構成で,駆動構造をシンプルにして,メカニズムの複雑化による音質の劣化を避けていました。メカニズ
ム駆動にはソレノイドを使わずモーターを使用したサイレントメカニズムとして,動作モード切替時の振動やショッ
クをなくし,メカニズムに狂いが生じにくく初期性能を維持できるような設計としていました。このような高度なメカ
ニズム部の設計により,0.022%以下という低ワウ・フラッターを実現していました。



ヘッド周りも継承され,録音ヘッドは,最大飽和磁束密度が高く歪率の良いセンダスト材を3枚ラミネート構造にし
たもので,録音減磁の低減と低歪率を実現し,ギャップ幅は3μとしていました。再生ヘッドは,高い再生出力と
高域特性を両立させるために,高域周波数特性にすぐれたHIP(Hot Isostatic Press)フェライトを採用し,0.8
μと,極端に狭いヘッドギャップをとらずにすぐれた高域特性を確保し,ギャップ幅を狭めると高域特性は向上す
るが,再生出力は低下するという2律背反を解消し,高域特性と高い再生出力を両立させていました。また,形
状の改善により,低域を歪ませるコンター現象を解消していました。
消去ヘッドは,消去効率の高い金属磁性体と発熱量の少ないフェライトコアの利点を併せ持たせるために,フェ
ライト/センダスト結合ヘッドを開発して搭載し,発熱を抑えながら消去効率の向上を実現していました。また,消え
残りをなくすために,2カ所のヘッドギャップの幅の異なる非対称デュアルギャップという凝った構造がとられてい
ました。

当時,音質重視型のテープデッキには,テープの特性に合わせてチューニングするチューニング機構が搭載され
ることが多くなっていました。マイクロプロセッサーによる自動タイプも増えていましたが,オシレーターや聴感でマ
ニュアル調整する機構も広く搭載されるようになっていました。
K-109には,K-04を継承し,録音感度を調整するREC CALと高域特性に関わるバイアスのマニュアル・キャリ
ブレーションが搭載されていました。それぞれ専用のオシレーターが搭載されており,微妙な調整が可能で,特性
を追い込めるようになっていました。

K-109のデザインは,ALPINE/LUXMANのブランドイメージに合わせたものとなり,それまでのラックスのテー
プデッキとはがらりとイメージを変えたものとなっていました。ブラックパネルでフラットなデザインとなり,レベルメー
ターもFL式のものとなり,ある意味ラックスらしい個性は薄れたものとなりました。
機能の面でも,TAPE/SOURCEが自動切替えの「オート・モニター」,テープポジションは「オート・テープセレク
ター」,頭出し機構の「ミュージック・サーチ」,「タイム・メモリー」など,マイクロプロセッサーを利用したオート機構
が搭載され,それまでのラックスのテープデッキとは大きく異なっていました。
また,テープセレクターは上述のようにオートでしたが,特徴的な機能として,メタル50μsポジションが搭載され
ていました。メタルテープ使用時に,イコライザーを通常の70μsに加え50μsを選ぶことができるもので,これ
により,中高域のノイズを約3dB減少させることが可能となる独自の新装備でした。

以上のように,K-109は,ALPINE/LUXMANブランドのカセットデッキの最上級機として,すぐれた機能性と性
能を実現していました。カセットデッキの分野では実績の少ないブランド故かむしろ知る人ぞ知るという1台でした
が,実力派の中身の濃い高級デッキでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



デッキが成熟したら,こんなカタチ。
究極のマニュアル・デッキ。

◎テープの走りを極めた。「GTトランスポート」
◎音質も特性も抜群。「高性能3ヘッド」
◎デッキの本質をとらえた。「オート機構」
◎テープに合わせて音が追い込める。
 「マニュアル・キャリブレーション」
◎メタル・テープが一段と冴える。「METAL50」




●K-109 SPECIFICATIONS●

トラック型式 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式
ヘッド構成 録再:3μギャップセンダスト/0.8μギャップフェライト・コンビ録再ヘッド 
消去:デュアルギャップ・センダスト/フェライト接合ヘッド
テープ速度 4.75cm/sec
モータ構成 キャプスタン用:DD FG SERVO DC×1 
リール用:DC×1 
ヘッドハウジングリフタ用:DC×1
操作方式 ソフトタッチ・ロジック・コントロール方式
ワウ&フラッタ 0.022%以下(W.R.M.S)
周波数特性 20~21kHz(ノーマル)
20~21kHz(クローム) 
20~23kHz(メタル)
総合歪率 0.7%以下
SN比 73dB以上(ドルビーC,メタル) 
73dB以上(ドルビーC,クローム) 
71dB以上(ドルビーC,ノーマル)
出力 550mV/10kΩ
外形寸法 438W×124H×346Dmm
重量  9.3kg 
※本ページに掲載したK-109の写真,仕様表等は1986年4月の
ALPINE/LUXMANのカタログ
より抜粋したもので,ラックス株式
会社に著作権があります。したがって,これらの写真等
を無断で転
載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。     
 

  
 
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