YAMAHA K-9
NATURAL SOUND STEREO CASSETTE DECK 
                             ¥75,000
1981年に,ヤマハが発売したカセットデッキ。ヤマハのカセットデッキは,1970年代のTC
の型番をもつシリーズからスタートし,独自の魅力を放っていました。そして,1978年のK-1
そしてK-2を手始めとして,1979年には,K-3K-6と,Kから始まる型番のカセットデッキ
を展開していきました。そして,K-3の後継機として登場したのがK-9でした。

録再ヘッドには,ヤマハ自慢のピュアセンダスト・ローインピーダンスヘッドを搭載していました。
このヘッドは,センダストの純度にこだわり,超高純度のコア材を製造して使用していました。
99. 999999%~99.9% という超高純度のセンダストを高真空のカプセル内で溶かし,同
じカプセル内にセットされた高速回転(18,000rpm)するセラミックの鋳型の中に流し込んで
鋳造するとことで,結晶方向の揃った超高純度のローインピーダンスのセンダストコアが形成
されていました。そして,メタルテープ対応のため,さらに,巻線数も減少させるなどの改良で,
ヘッド自体のインピーダンスを1/4に低減したローインピーダンス設計になっていました。



録音再生アンプは,高集積度1パッケージ・プリアンプICを±2電源でドライブし,録音スイッチ
は電子式にして内蔵され,高ダイナミックレンジと高信頼性を実現していました。
さらに,ノイズリダクションとしてドルビーNR(Bタイプ)に加え,新たにdbxが搭載されていまし
た。録音時に入力信号を広い範囲のレベルにわたって,デシベルで1/2にリニアに圧縮(エ
ンコード)して録音系に送り,再生時には,再生信号をデシベルで2倍に伸長(デコード)して元
の信号に戻すdbxにより,91dBという高SN比とダイナミックレンジ110dBという特性を実現し
ていました。そして,dbxシステムのエンコーダ・デコーダの特性を厳密に合わせて高い精度で
の動作を確保するために,入力信号のレベルを検出するR.M.S.レベルセンサーと,それから
の信号によって精密に動作するVCA(VOLTAGECONTROLLED AMPLIFIER & ATTEN-
UATOR)をFET入力の高性能オペアンプと高精度部品で構成し,dbxノイズリダクションを通
したときの音質劣化を抑えていました。

走行系は,1ウェイ・シングルキャプスタンのオーソドックスなものでした。キャプスタン駆動用に
ロードリフトDCモーター,リール駆動用にフラットトルクDCモーターを持つ2モーターセパレート
ドライブメカニズムが新たに採用され,これによりキャプスタンモーターは,キャプスタンフライ
ホイールを回す本来の役割以外の負荷は一切かからず,ワウ・フラッターの改善が実現してい
ました。そして,キャプスタンは,真円度0.1ミクロン以下という高精度キャプスタンが搭載され
外径59mm,慣性質量約1000g・cm2という,精密にダイナミックバランスがとられた大型フラ
イホイールが安定したテープ走行を確保していました。

高集積度のロジックICと2つのソレノイドプランジャによるICロジックコントロールが搭載され,
操作ボタンを押してから動作するまでの時間が非常に短く,どのモードからどのモードへのダイ
レクトチェンジがテープに無理な力をかけずに可能となっていました。動作の立ち上がりが非常
に速く,ポーズボタンも不要なシンプルな操作部が実現され,ソフトタッチの操作スイッチと合わ
せ,快適な操作感を実現していました。また,別売のリモートコントロールユニット(RS-10,
¥6,000)でリモコン操作も可能となっていました。

以上のように,K-9は,オーソドックスにまとめられた2ヘッドデッキとして,しっかりと基本性能
が確保され,機能的にも厳選された完成度の高められたカセットデッキでした。針式VUメーター
を配した,シンプルで洗練されたデザインもヤマハらしさあふれる魅力のひとつでした。


YAMAHA K-8
NATURAL SOUND STEREO CASSETTE DECK
                            ¥59,800


K-9には,弟機のK-8が発売されていました。基本構成等は同一で,デザインや性能的にも
ほぼ共通するものでした。
dbxが搭載されていないことの他,アンプ系が,オペアンプICによる録音アンプ,2段直結アン
プによる再生アンプという構成になっているなどの違いがありましたが,コストパフォーマンス
にすぐれた1台となっていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



K-9
鮮やかな音像を創るdbx内蔵デッキ

◎ピュアセンダスト・ローインピーダンスヘッド
◎dbxが繊細にしてダイナミックな音を再現します
◎音楽を忠実に録音・再生するための
 安定性に秀れた高精度な走行系
◎メタルテープに余裕をもって対応する
 高性能アンプがピュアな音像を創り上げます


K-8
ピュアな音を創造するシンプルなデッキ

◎ハイコストパフォーマンスを実現
 「メタル」を美しく鳴らす,ピュアセンダストヘッド
◎ワウフラッタ0.04%以下の
 安定した,美しい音を支える走行系
◎ダイナミックレンジの広域化で
 音楽の世界を豊かに広げる高性能アンプ




●SPECIFICATIONS●

   K-9  K-8
テープ速度 4.75cm/sec±1% 4.75cm/sec±1%
ワウ・フラッタ  0.04%以下(JIS-WRMS)
0.15%以下(DIN-4500) 
0.04%以下(JIS-WRMS)
0.15%以下(DIN-4500)  
早送り・巻き戻し時間(C-60) 75sec  75sec 
録再周波数特性  L・H:40~16,000Hz±3dB(-20VU)
CrO:40~18,000±3dB(-20VU)
METAL:40~20,000Hz±3dB(-20VU) 
      40~13,000Hz±3dB(0VU)
L・H:30~16,000Hz±3dB(-20VU)
CrO:30~18,000Hz±3dB(-20VU)
METAL:30~19,000Hz±3dB(-20VU) 
      40~13,000Hz±3dB(0VU)
総合SN比  91dB(dbx IN/METAL) 67dB(dolby IN/METAL)
ダイナミックレンジ 110dB(dbx IN/METAL)   
総合歪率(1kHz)  1%以下  1%以下 
チャンネルセパレーション  40dB  40dB 
入力感度/インピーダンス  MIC:0.3mV/5kΩ
LINE:60mV/80kΩ 
MIC:0.3mV/5kΩ
LINE:60mV/80kΩ 
出力レベル  LINE:340mV(1.7kΩ)
PHONES:1mW(8Ω)
       :5mW(150Ω) 
LINE:340mV(1.7kΩ)
PHONES:1mW(8Ω)
       :5mW(150Ω)  
付属機構  dbx NR/ドルビーNR
テープセレクタスイッチ
2点ピークインジケーター付VUメータ
MPXフィルタ
OUT PUT LEVEL VR
ユニバーサルヘッドホンアンプ
インプットセレクタ
RECミュート
タイマ録音スイッチ
リモコン端子
ドルビーNR・MPXフィルタ
テープセレクタスイッチ
2点ピークインジケーター付VUメータ
ユニバーサルヘッドホンアンプ
インプットセレクタ
RECミュート
クイックオートストップ
左右独立REC LEVEL VR
タイマ録音スイッチ
リモコン端子
定格電源電圧・周波数  100V・50/60Hz  100V・50/60Hz  
定格消費電力 27W  23W 
外形寸法  435W×112H×294Dmm  435W×112H×294Dmm  
重量 6.0kg  5.5kg 
※本ページに掲載したK-9,K-8の写真,仕様表等は1981年
5月のYAMAHAのカタログより抜粋したもので,ヤマハ株式会
社に著作権があります。したがってこれらの写真等を無断で転
載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意くださ
い。

   
 
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