TRIO KA-6000
SOLID STATE STEREO AMPLIFIER ¥67,600
1969年に,トリオ(現JVCケンウッド)が発売したプリメインアンプ。トリオは,管球式アンプの
時代からすぐれた回路技術を発揮し,ステレオアンプの時代になって存在感を示していました。
そして,トランジスタアンプの時代になると,いち早く全アンプをトランジスタアンプのラインナップ
とするなど,より存在感を示していました。そうしたトリオのトランジスタアンプの評価を大きく高
めたのがKA-6000でした。

日本のオーディオアンプは,1950年代よりステレオアンプが登場し始め,当初はチューナー内
蔵のレシーバーが主流でしたが,1960年代に入り,次第にプリメインアンプへと移行していき
ました。1960年代当時のアンプの増幅素子は真空管が主流で,トランジスタが登場してからも
トランジスタを増幅素子としたいわゆる「ソリッドステートアンプ」はなかなか評価を得られない状
態でした。そうした中,トリオは,量産型トランジスタープリメインアンプTW-61,マルチチャンネ
ル・プリメインアンプ・サプリーム1を発売し,高い評価を得るなど,早くからソリッドステートアン
プに意欲的なブランドで,いち早く全アンプラインナップをソリッドステート化したブランドでもあり
ました。そうした流れの中で,意欲作として発売されたのがKA-6000でした。

KA-6000の大きな特徴は,実効出力でチャンネルあたり70W,ミュージックパワーでトータル
160W(8Ω),180W(4Ω)を実現していたことでした。しかも,通常の音楽鑑賞領域に近い
中出力時の20W/20Wで,全高調波歪率0.05%以下,混変調歪率0.08%以下,そして,
さらに小出力時にも0.1%以下というすぐれた歪み特性を確保し,大出力と低レベル時の再
生音の両立を図っていました。

プリアンプからメインアンプまで,当時最新の良質のシリコントランジスタを使用し,周波数特性
出力帯域特性ともに,すぐれた高域の特性を確保し,周波数特性10Hz~60,000Hz(±0.5
dB),出力帯域幅10~35,000Hz(0.5%歪)の広帯域においてほとんどフラットな特性を実
現していました。

プリアンプ部は,直結3段増幅とし,しっかりとNFをかけて,低域におけるダイナミックレンジを
大きく改善していました。イコライザーカーブにおいても,標準カーブに対して偏差±0.2dB以
内という正確でフラットな特性を実現していました。1台ごとにRIAA,NABに合わせて完全に調
整して出荷されていました。
さらに,プリアンプ部には,PHONO入力1に,低出力型MCカートリッジにも対応したヘッドアン
プも搭載されていました。感度は,50μVで最大出力が得られるように設計されており,その他
に500μV,2mVの計3段階にリアパネルのスイッチで切り換えられるようになっていました。

パネル面のデザインは,中央に大型のボリュームを配置した特徴的なもので,この後のトリオ,
あるいは他社のアンプのデザインにも影響が見られる機能的なものでした。
機能的にはオーソドックスにまとめられ,必要な機能はしっかり搭載されていました。トーンコン
トロールは,BASS,TREBLE独立型で,11接点のロータリースイッチにより1ステップ2dBず
つの変化が正確にできる精度の高い素子を使ったものになっていました。さらに,トーンモード
スイッチが装備されており,BASS,TREBLEをそれぞれ単独で働かせるようになっていました。
OFFにすると20~50,000Hzがフラットな状態になり,TREBLE・BASS双方とも働かせる,
BASS,TREBLEどちらか一方だけを働かせて片方をフラットの状態にするなどができるように
OFF/BASS&TREBLE/BASS/TREBLEのポジションが設けられていました。
フィルターは,LOW=40および80Hz・-12dB/oct,HIGH=8kHz・-12dB/octが装備され
ていました。
その他に,-20dBのミューティングスイッチ,ラウドネススイッチなども装備されていました。また

入力は,PHONO1,PHONO2,TUNER,AUX,TAPEに加え,当時のアンプらしいものとして
TAPE HEAD,MICが設けられていました。TAPE入出力端子は,通常のピン端子以外にDIN
端子も装備されていました。そして,PHONO1にはヘッドアンプが挿入できるようになっていまし
た。また,今のアンプに見られないTAPE HEAD入力は,当時まだ存在した再生アンプをもた
ないテープデッキ(テープトランスポート)をつないで再生するための入力でした。これらの他に,
PRE OUTとMAIN IN端子も装備されていました。
出力は,スピーカー出力2系統に加え,MONO出力端子も装備されていました。

以上のように,KA-6000は,トリオのソリッドステートアンプの評価を決定づけたともいえる1台
で,早くからトランジスタアンプに力を入れていたトリオらしく機能面でも性能的にも完成度を高
めていました。ボリュームを中央に配置した機能的なすっきりしたデザインも,特徴的で,人気
モデルとなりました。トランジスタアンプらしい少し細めながらクリアな音はトリオらしさを印象づ
けるものでもありました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



定評あるトリオのソリッド・ステート回路
技術を駆使して完成した
超低歪率アンプ

◎驚異的な超低歪率特性
◎超広帯域の周波数特性と出力帯域特性
◎直結3段増幅回路を採用したプリアンプ
◎2dBステップ式のトーンコントロール
◎12dB/octのシャープカット・フィルター
◎高感度ヘッドアンプ付
◎たいへん便利なミューティング装置
◎プリアンプとメインアンプが単独で使えます。
◎豊富な入出力端子群
◎パワートランジスタ保護回路




●KA-6000 定格●


使用トランジスター  34石 6ダイオード 
メイン・アンプ 
出力  ミュージックパワー:160W(歪0.5% 8Ω)
            180W(歪0.5% 4Ω)
実効出力:70W/70W(歪0.5% 8Ω)
周波数特性  10Hz~60kHz(±0.5dB)
出力帯域特性  5Hz~60kHz(-3dB 歪0.5%) 
歪率(1kHz 8Ω負荷)  50W/50W 歪0.1%
20W/20W 歪0.05%
300mW/300mW 歪0.1% 
混変調歪率(60Hz:7kHz)  40W/40W 歪0.2%(8Ω負荷)
20W/20W 歪0.08%(8Ω負荷) 
残留雑音 0.5mV 
ダンピングファクター  30(8Ω) 60(16Ω) 
プリアンプ 
入力端子及び感度  PHONO1:50μV(200Ω),500μV(200Ω),2mV(100kΩ)
       (スイッチにて切換)
PHONO2:2mV(100kΩ)
TAPE HD:2mV(100kΩ)
MIC:2mV(100kΩ)
AUX,TUNER,TAPE PLAY:200mV(100kΩ)
トーンコントロール 100Hz +10dB,-10dB(2dBステップ変化)
10kHz +10dB,-10dB(2dBステップ変化) 
ラウドネスコンター  100Hz +6dB,10kHz +2dB 
フィルター  LOWフィルター:40Hz -12dB/oct,80Hz -12dB/oct
HIGHフィルター:8kHz -12dB/oct 
イコライザー  RIAA NAB標準カーブに対して±0.2dB以内 
SN比
(音量最大 TONE FLAT) 
PHONO1:50μV  50dB
       500μV 60dB
       2mV   70dB
PHONO2:70dB
TAPE HD:70dB
MIC:70dB
TUNER,AUX,TAPE PLAY:80dB 
電源電圧 100V/117V 50/60Hz 
消費電力  無信号時 18W,最大出力時200W 
寸法  380W×134H×280Dmm(木枠なし)
410W×134H×280Dmm(木枠付) 
木枠B-11型 ¥1,140
重量  11.5kg 
付属回路  オーディオミューティングスイッチ,PRE-MAINジャンパー回路
DIN規格録再コネクター,トーンコントロール ディフィートスイッチ
12dB/octカットローハイフィルター,テープモニタースイッチ
2スピーカー切換スイッチ,PHONO入力感度切換スイッチ
MONOアウトプット 
※本ページに掲載したKA-6000の写真,仕様表等は1969年2月の
 TRIO(KENWOOD)
のカタログより抜粋したもので,JVCケンウッド
 株式会社に著作権があります。したがって,これ
らの写真等を無断で
 転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

 

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