KX-1100Gの写真
KENWOOD KX-1100G(B)
3HEAD SUPER TLLE
STEREO CASSETTE DECK ¥99,800

ケンウッドが1985年に発売した3ヘッドカセットデッキ。優れたテープ走行性能を持つ高剛性メカニズムで好評を得ていた
KX-880シリーズの設計を受け継ぎ,3ヘッド化を図ったモデルで,ケンウッドらしい高解像度なクリアな音を実現した高性
能デッキでした。

KX-1100Gの最大の特徴は,ケンウッド自慢の「高剛性メカニズム」でした。KX-1100Gでは,3ヘッド化と同時に,新た
にクローズドループ・デュアルキャプスタン方式を採用していました。この基本的に優れた方式をさらに「高剛性メカニズム」
が支えていました。「高剛性メカニズム」は,テープの安定走行を確保するために,メカニズムをしっかりした剛性を持たせる
という実に基本に徹したものでした。そのために,ヘッドベースに高剛性ダイキャスト,シャーシやヘッドパネルにも板厚の厚
い高剛性メタルを使い,さらに,キャプスタンのスラストガタを防ぐために新開発の「マグネチック・スラスト・アブソーバー」を搭
載していました。これらの相乗効果により,テープ走行の波打や位相ずれなどを抑えていました。

この「マグネチック・スラスト・アブソーバー」は,送り側キャプスタンの前後のガタを防ぐためのものでした。DDモーターのため
ガタのない巻き取り側のキャプスタンに比べ,従来送り側のキャプスタンは単なる送り側ということでそれほど管理されず前後
のガタが残っていました。そのため,前後の振動が不規則に発生してテープ自体を振れさせ,ヘッドタッチを劣化させ,アジマ
スずれにもつながっていたということで,これを防ぐものでした。具体的には,キャプスタンを常にマグネットにより一定方向に引
き寄せ前後の振れを発生させないといったものでした。

KX-1100Gのモーターとキャプスタンニューアモルファスコンビネーションヘッド

録再ヘッドには,ニューアモルファスコンビネーションヘッドが搭載されていました。KX-880で高性能を誇っていたアモルファ
スヘッドを3ヘッド化したもので,再生側巻線には無酸素銅線使用していました。アモルファスという優れた素材により,広帯域
の録音再生性能と高い耐摩耗性を誇りました。
さらに,ケンウッド自慢の定電流駆動回路「スーパーTLLE」により,3ヘッドの優れた性能を発揮させるようにしていました。こ
の「スーパーTLLE」は,ヘッド駆動用と利得制御用の2つのループを持ち,±2電源で録音ヘッドとDC直結したもので,録音ヘ
ッドの駆動力は大きく向上していました。3ヘッドデッキでは,録音ヘッドにインピーダンスが通常の2ヘッドに比べ低くなるため
駆動電流が多く必要となりますが,「スーパーTLLE」の録音ヘッド駆動能力がそれに応える性能を発揮し,低歪みを実現して
いました。

3ヘッドの録再同時モニターのメリットを生かして,録再レベル,バイアスのキャリブレーションが搭載され,内蔵の発振器の信
号により微調整ができました。この機能は,2ヘッド機のKX-880Gにも搭載されていましたが,やはり3ヘッド機の本機の方が
調整が容易でした。また,3ヘッド化に対応して,新ICを採用し,2系統のドルビー回路を持つ「ニューダブルドルビーシステム」
が搭載されていました。新ICでは,ダイナミックスタビライザー回路搭載して,動特性に優れたドルビーの動作を実現していまし
た。

以上のように,KX-1100Gは,大きく目立つ存在ではありませんでしたが,2ヘッドの名機KX-880で培った技術やノウハウを
生かし,さらに3ヘッド化でより高性能を追求したケンウッドの力作でした。KX-880シリーズの音をよりシャープにしたような高
解像度の音はすばらしいものでした。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
 



ナミのテープパス性能では,
3ヘッドを語りたくなかった。

 ◎高剛性メカニズム
 ◎キャプスタンのスラストガタを防ぐ
  マグネチック・スラスト・アブソーバー
 ◎録音特性を大幅に改善した
  3ヘッド用スーパーTLLE
 ◎レックキャリブレーション
 ◎バイアス・キャリブレーション
 ◎無酸素銅巻線を使用した
  高性能ニューアモルファスコンビネーションヘッド
 ◎独自の回路によるニューダブルドルビーシステム
 ◎多彩なテーププレイを可能にした
  ダイレクト・コントロールシステム
 ◎4桁デジタルリニアテープカウンター
 ◎タイマー連動のMPXフィルター
 ◎金メッキ入出力端子
 ◎L・R独立プリセットボリューム+録音マスターボリューム
 ◎オートテープセレクター
 ◎マイク入力
 

●SPECIFICATIONS●


 
トラック形式 ステレオ
録音形式 交流バイアス(105kHz)
ヘッド 録音(アモルファスアロイヘッド)×1(コンビネーション)
再生(アモルファスアロイヘッド)×1(コンビネーション)
消去(ダブルギャップフェライトヘッド)×1
モーター キャプスタンモーター(FGサーボDDモーター)×1 
リールモーター(DCモーター)×1 
メカ駆動用モーター(DCモーター)×1
ワウ・フラッター ±0.04%W・Peak(EIAJ) 
0.025%(WRMS)
早巻時間 約70秒(C−60)
周波数特性 ノーマルテープ 20〜18,000Hz ±3dB 
クロームテープ 20〜19,000Hz ±3dB 
メタルテープ   20〜22,000Hz ±3dB
ひずみ率 0.4%(1kHz,3次高調波ひずみ率,メタルテープ)
SN比 EIAJメタルテープ   57dB 
Dolby Ctype ON 75dB 
Dolby Btype ON 68dB 
Dolby NR OFF  60dB
入力端子 マイク 0.3mV(適合インピーダンス600Ω) 
ライン 77.5mV(適合インピーダンス50kΩ)
出力端子 ライン 0.49V(出力インピーダンス2kΩ) 
ヘッドホーン 0.85mW(出力負荷インピーダンス8Ω) 
電源 100V AC 50Hz/60Hz
消費電力 AC 28W(電気用品取締法に基づく表示)
最大外形寸法 幅440×高さ111×奥行322mm
重量 6.2kg
※本ページに掲載したKX-1100Gの写真,仕様表等は1985年11月のKENWOODの
カタログより抜粋したもので,KENWOOD株式会社に著作権があります。したがって,
これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意く 
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