LT-5Vの写真
DIATONE LT-5V
LINEAR TRACKING PLAYER ¥69,800

1980年にダイヤトーンが発売したフルオートプレーヤー。縦型という非常にユニークな方式で注目さ
れました。ダイヤトーンは,当時システムコンポといわれていたセットステレオにもこの方式を採用し
奥行きの浅い薄型システムを「縦コン」という名で発売していました。

LT-5Vの最大の特徴は,上記のように縦型であることでした。アームはリニアトラッキング方式で,ア
ームの軸を上部に置き,重力に沿って垂直にアームを垂らすことで,垂直に回るレコードのトラッキング
が可能になるというものでした。アームは,リニアトラッキングならではの有効長180mmのストレート型
のショートアームで,スタティックバランス方式をとっていました。トーンアームは,前後・上下・左右の3
方向にスタティックバランスがとられ,安定した針圧がかけられる構造になっていました。アームが縦型
で床とカートリッジの振動方向が一致していないために,相互の干渉が起きにくく,ハウリングに強いと
いうメリットがありました。

ターンテーブルは,直径304mm,重量1.3kgのアルミ合金ダイカスト製で,tターンテーブルの背面に
もう一つフライホイールを配して慣性モーメントを向上させたベルトドライブ方式「ダブル・フライホイール・
ドライブ方式」で,安定した回転を実現していました。モーターはPLLサーボ方式のDCモーターが搭載
されていました。

当時のダイヤトーンの他のリニアトラッキングプレーヤーと同様に,制御用のLSIが搭載されたEC(電子
制御)方式のフルオートプレーヤーとなっていました。電子制御により,タッチボタン一つで,スムーズに
アームの動作が行われました。トーンアームの上昇・下降,リピートの有無,回転数などは,LEDで表示
され,再生中にトラッキングエラーが発生したときも,LEDで警告が表示されるようになっていました。

MM-2の写真

LT-5Vは,カートリッジレスタイプでしたが,オルトフォン社製のダイヤトーンブランドで出ていたMMカートリッ
ジMM-2を標準装備したLT-5VC(¥79,800)もありました。

以上のように,LT-5Vは縦型というユニークな構造により,スペースファクターがよい,アームの安定性がよく
床等の振動の影響を受けにくいなどのメリットもあり,ただ奇をてらったのではなく意味のある方式でした。レ
コードのセットなど,やや使いにくい面もあり,オーディオファンにも違和感がぬぐい去れず普及せず消えてい
ってしまいましたが,記憶に残る1台だったと思います。
 
 

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



原音の忠実再生をテーマに,
タテ形リニア・トラッキング。

◎原音に忠実なリニア・トラッキング方式
◎ハウリングに強いタテ形の構造
◎電子制御でスムーズな動作
◎トーンアームの動作はLEDで表示
●LT-5Vの主な定格●
 

■ターンテーブル部■

駆動方式 ダブル・フライホイール・ベルトドライブ
モーター PLL・DCサーボモーター
ターンテーブル 外径304mm,重量1.3kgのアルミ合金ダイカスト
ワウ・フラッター 0.045%(WRMS,JIS)
SN比 76dB以上(DIN-B)

■トーンアーム部■

形式 全長223mm,有効長180mmの
スタティックバランス・ユニバーサル・ストレートパイプ形
オーバーハング 14mm
針圧調整 0〜2.5g(0.1gステップで)
カートリッジ取付可能適正重量範囲 10〜20g

■総合■


電源 AC100V 50/60Hz
消費電力 14W
外形寸法 466W×430H×200Dmm
重量 11.5kg
※本ページに掲載したLT-5Vの写真・仕様表等は1980年11月のDIATONE
カタログより抜粋したもので,三菱電機株式会社に著作権があります。
したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられ
ていますので,ご注意ください。
 
★メニューにもどる
  
   
★アナログプレーヤーPART2のページにもどる
 
 

現在もご使用中の方,また,かつて使っていた方。あるいは,思い出や印象のある方
そのほか,ご意見ご感想などをお寄せください。                     


メールはこちらへk-nisi@niji.or.jp 
inserted by FC2 system