NS-1200の写真
YAMAHA NS-1200classics
SPEAKER SYSTEM ¥180,000

1987年に,ヤマハが発売したスピーカーシステム。1987年頃といえば,「598戦争」に代表されるように,国産
スピーカーシステムは,強靱で重量級のキャビネットに,金属系,セラミック系などのハード系素材を中心に新素材
を投入した強力なユニットを装備したスピーカーシステムが主流でした。そんな中,ソフトドームユニットなど,ハイテ
クを駆使した新素材を用いず,毛色の異なるスピーカーシステムとして登場したのがNS-1200classicsでした。

ウーファーは30cm口径のコーン型で,当時主流であったクロスカーボン等の新素材ではなく,オーソドックスなパ
ルプコーンを使用していました。ヤマハらしく,スプルース材が原素材として用いられていました。スプルース材は,ピ
アノの響板に使われることの多い素材で,音の響きの美しい木材といわれています。ヤマハは,世界のいろいろな
樹木の中からこのスプルースを選びオリジナルの100%スプルースパルプによるコーンを苦心の末,同社の名機
NS-690Vで 1980年に完成しました。NS-1200classicsのウーファーは,その技術を受け継いだものでした。
そして,ウーファーを駆動する磁気回路には,アルニコマグネットが使用されていました。さらに,ユニットのセンター
ポール下にマグネットを配置し,ヨークで取り囲む内磁型が採用され,漏洩磁束がきわめて低く抑えられていました。

スコーカーは8cmのソフトドーム型ユニットが搭載されていました。このソフトドームユニットは,基材に綿を使用し
フェノール樹脂を含浸させ熱成型したもので,アコースティック楽器の再現性にすぐれた美しい中域再生を実現して
いました。スコーカーの磁気回路は,ウーファー同様に,アルニコマグネットによる内磁型が採用されていました。
トゥイーターは,3cmのソフトドーム型ユニットが搭載されていました。スコーカー同様の素材によるものでした。
さらに,磁気回路も,ウーファー,スコーカート同様に,アルニコマグネットによる内磁型が採用されていました。

キャビネットは,密閉型で,重量級のしっかりしたもので,ユニットを含めた総重量は42kgにも達していました。し
かし,外装仕上げは重量級を意識させるものではなく,裏面を除く5面ともアメリカンウォルナットの天然付き板仕
上げで,ウレタン艶出し塗装による鏡面仕上げが施され,美しい落ち着いた外観デザインとなっていました。
また,専用のスピーカースタンドSPS-1200が別売で用意され,組み合わせると音や外観上のバランスがとれる
ようになっていました。SPS-1200は,厚手のアメリカンパドックをボルトジョイントした重量11.5kgにおよぶしっ
かりしたスタンドで,仕上げも全面ウレタンオープンポアの落ち着いたものとなっていました。

SPS-1200
SPS-1200
SPEAKER STAND ¥60,000(2台1組)

以上のように,NS-1200classicsは,スペックや見た目の派手さを求めず,オーソドックスに仕上げられたス
ピーカーシステムでした。同社の名機NS-1000Mとは対極にあるかのようなスピーカーで,classicsの名の通
りアコースティック系の音楽をバランス良く聴かせてくれる1台でした。同時期に発売されたNS-1classicsの上
級機とも考えられますが,サイズの大きさもあり,堂々とした中低音に,自然に広がる中高域という音で,弦楽器
等を中心としたソースには実にいい感じにマッチしました。しかし,高価格に対して派手さのない作りのためか,
大きく話題にならず,同社のスピーカーの中では地味な存在で,知る人ぞ知る1台といえるのはでないでしょうか。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



音楽が内に秘めた叙情性豊かな世界へ。
ポスト・ハイテック・モダンな
3ウェイスピーカー。


音楽をリリカルに彩る
豊饒なハーモニーの逸品です。


◎ スプルースコーン型ウーファ
◎綿製ソフトドーム型スコーカ/ツィータ
◎アルニコ内磁形マグネット採用
◎アメリカウォルナット。艶出し化粧仕上げ



●NS-1200クラシックス主な規格●

形式 3ウェイ密閉型
スピーカ
30cmコーン型ウーファ
8cmソフトドーム型スコーカ
3cmソフトドーム型ツイータ
クロスオーバ周波数
400Hz(12dB/oct)
4kHz(12dB/oct)
再生周波数帯域
40Hz〜30kHz
インピーダンス
6Ω
許容入力
75W
ミュージック許容入力
150W
出力音圧レベル
88dB/W/m
外形寸法
375W×740H×380Dmm
重量
42kg

※本ページに掲載したNS-1200の写真,仕様表等は1987年
 10月のYAMAHAのカタログより抜粋したもので,ヤマハ株式
 会社に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で
 転載,引用等をすることは法律で禁じられていますのでご注意
 ください。

                        
 

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