YAMAHA NS-451
2WAY SPEAKER SYSTEM ¥26,500
1975年に,ヤマハが発売したスピーカーシステム。前年の1974年にNS-1000/NS-1000Mを発売し,ス
ピーカー分野で高い評価を得るようになったヤマハが翌年に発売したモデルで,比較的手頃な価格ながら,新
開発のユニットを投入した力作でした。
NS-451の最大の特徴は,新開発のウーファーにありました。ウーファーは,20cm口径のコーン型で,新しい
白いコーンが搭載されていました。この白いコーンは,外国産の針葉樹系の原材料を,旧来の和紙系統の技術
を加味して特殊処理して製作したものでした。形状は,コニカルタイプのストレートコーンで,しかもシート製法が
採用されていました。通常コーン紙は初めからコーン型に抄き上げる抄き上げコーンが大半を占めていますが,
ここで採用されたシート製法は,1枚のシート状につくられたコーン紙を後からコーン型(円錐形)に成型する方
法で,見た目は,コーンの中に継ぎ目があることでした。こうして作られたシートコーンは,高圧のプレスで作られ
る高密度のシートを素材にしていることで,密度や厚みのムラが少なく,軽量でバインダーの量が少ない強度の
高いコーンを比較的ローコストで作れるという利点がありました。ヤマハが「ストロングなコーン」と称していたよ
うに,腰が強く軽量なコーンとなっていました。
このコーンを駆動するボイスコイルは,占積率のすぐれた銅リボンをエッジワイズ巻きしたもので,ボイスコイルボ
ビンには,軽量で220度の高温で連続使用も可能なデュポン社製のノーメックス#410を使用し,許容入力を高
めていました。磁気回路は,単位面積あたりの磁気エネルギーの大きなアルニコを採用した内磁型で,磁束密度
11,000ガウス,総磁束85,000マクスウェルの強力な磁気回路で,歯切れの良い低音を可能にしていました。
エッジは微小振動から大振幅までリニアに動作する,フレキシブルで温度変化のない熱硬化性樹脂を塗布したハ
イコンプライアンスタイプが採用されていました。

トゥイーターは,5cm口径のコーン型をベースに,口径23mmのドーム型を複合させた構造のラジアルトゥイーター
が搭載されていました。複合構造により,お互いに補強し合って振動モードが明快となっていました。コーン型の
部分は,ウーファーの低音のシャープな立ち上がりに対応して高能率で中高域を充実させ,ドーム型の部分は低
能率ながら,高音域の指向特性を大幅に改善しつつ,クリアさと広帯域を実現していました。振動板は,0.13gと
軽量で,ボイスコイルには,ウーファーと同じくノーメックス#410のボビンにCCAR(銅クラッドアルミリボン線)を
エッジワイズ巻きしたもので,高耐入力設計となっていました。磁気回路には,ウーファーと同じく高性能アルニコ
マグネットによる磁束密度12,000ガウスの強力なものが搭載されていました。これにより,最大入力は優に50W
を実現し,瞬間的には200〜250Wの入力にも耐えるものとなっていました。カットオフ周波数は2kHz,fo(最低
共振周波数)は800Hzと十分低くとられ,ウーファーとのスムーズなつながりが確保されていました。
ネットワークは,専用のケースに収納され整然とブロック化された構造で,MP(メタライズド・ペーパー)コンデンサー
など,パーツの面でもしっかりとしたものが投入されていました。クロスオーバー周波数は2kHz(12dB/oct)で,ネッ
トワーク回路は,歪率やトランジェントの劣化を低く抑えたものでした。その定数は,マルチアンプ方式との瞬時比較
試聴で差がなくなる(最小になる?)まで聴きこんで最終決定されていました。トゥイーターには,−∞〜0dBまでのレ
ベルコントロールが装備されていました。
キャビネットは,高密度パーティクルボード製で,キャビネット内部の空気とダクトによる共振を利用したバスレフ型で,
本格的なチューニングにより,ウーファーのfoより低い周波数までの再生が可能となっていました。バスレフのためコー
ン紙への負荷が小さく,軽量コーンの使用が可能となっており,新開発のコーンとの組み合わせにより,トランジェント
の良い低音再生が実現されていました。
以上のように,NS-451は,比較的コンパクトなエントリーモデルでしたが,新開発のウーファーユニットをはじめ,思
い切った設計により,元気な音で音楽を楽しく聴けるスピーカーとなっていました。特に新開発の白いコーンは,それ
までの当時の多くのスピーカーに見られた重い低音ではなく,軽く反応の良い明るい低音を実現していました。そして
このウーファーの構造等は,あのNS-10シリーズにも継承されていきました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



真新しいコンセプトが音になった
すごい低音とすごい高音の,
のれるスピーカ

白い
コーンの

ストロングでエネルギッシュな
低音

◎シート製法による白いコーンの
 ストロングウーファ
◎コーン型とドーム型の特徴を
 複合した,ラジアルツィータ
◎MPコンデンサを使用するなど
 贅沢な設計のネットワーク
◎高密度パーティクルボードの堅牢な
 バスレフ型キャビネット




●NS-451の規格●

型式 ブックシェルフ・バスレフ型
ユニット 20cmコーン型ウーファ
5cmコーン型ツィータ
再生周波数帯域 50Hz〜20kHz
定格入力(JIS連続入力) 25W
最大入力 50W
出力音圧レベル 92dB/W/m
クロスオーバー周波数 2kHz・12dB/oct
インピーダンス 8Ω
レベルコントロール 連続可変型
寸法 320W×540H×280Dmm
重量 10.3kg
外装 センチュリーウォルナット化粧仕上げ
※ 本ページに掲載したNS-451の写真・仕様表等は,1975年の
 YAMAHAカタログより抜粋したもので,ヤマハ株式会社に著作権
 があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等を
 することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

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