P-102の写真
Accuphase P-102
STEREO POWER AMPLIFIER ¥235,000

1987年に,アキュフェーズが発売したパワーアンプ。プリアンプC-202とのペアを想定された,同社のセパレート
アンプP-500の弟機で,エントリーモデルといった存在で,あまり目立たないモデルでしたが,実は,同社初の純A
級パワーアンプでもありました。

P-102の回路構成は,全段プッシュプル・パワーアンプをブリッジ接続した完全バランス方式で,片チャンネル2台
左右合計で4台のアンプを搭載しているというものになっていました。このため,原理的に外部雑音はキャンセルさ
れると同時に,アンプで発生する歪も出力回路でキャンセルされるなど,理想的な信号伝送が可能となっていました。
さらに,C-202とバランス接続することで全信号系が完全バランス回路となり,ここでも,理想的な信号伝送が実現
するようになっていました。

入力増幅回路は,A級カスコード差動プッシュプル回路で,高周波増幅用として使われる回路であるため,広い周波
数帯域にわたって動作が安定で,入力において高いリニアリティが確保されていました。
P-102では,出力段もスイッチング歪のないA級ドライブ方式が採用されていました。出力段はコレクター損失(Pc)
80Wの広帯域電力増幅用トランジスタによるパラレルプッシュプルで構成されており,片側のユニットアンプのPcは
合計320Wに達し,この電力容量で8Ω定格出力50Wの半分,25Wを受け持つという,余裕十分な回路となって
いました。このため,低インピーダンス駆動にも対応でき,2Ω負荷・70W/chの出力が実現されていました。
この出力段に信号を送り込むドライブ段には,パワーMOS FETプッシュプル・ドライブが採用され,スイッチング歪
のない十分な信号電圧を送り込めるドライブ段となっていました。そして,直流成分をカットし,温度変化によるDCド
リフトを抑えるDCサーボ方式による直結アンプ(DCアンプ)となっていました。

P-102の内部

内部レイアウトは,写真のようにアキュフェーズらしく整然としたもので,電源部から左右独立した,2つのモノフォニッ
クアンプによって構成されたツインモノ構成となっていました。もともと電源部から供給される電力がほぼ一定のA級ア
ンプであることとあわせ,左右の干渉はほぼ皆無となっていました。

天然パーシモンのサイドウッドとアナログ・パワーメーターをシンメトリーに配置した落ち着いた豪華な外観は,アキュ
フェーズらしさを表現したもので,上位モデルと比べて薄型となるため,むしろスマートさもありました。下部のシーリン
グパネル内には,左右独立のレベルコントロール,UNBALANCED/BALANCEDの入力切替,メーターのON/OFF
のスイッチが設けられていました。

以上のように,P-102は,同社のエントリークラスのパワーアンプながら,純A級,完全バランス構成など,意欲的な設
計が行われていました。アキュフェーズに共通するS/N感のすぐれた歪み感のないバランスのとれた音は,スピーカー
の特徴を生かすものとなっていました。そして,10年にわたって販売されたロングセラーモデルともなりました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



全段プッシュプル完全バランス方式,
信号は全経路にわたり平衡伝送可能。
A級パラレル・プッシュプル出力段で
50W/ch(8Ω),
低負荷インピーダンス対応設計により
2Ω負荷70W/chの充実パワー。


◎全段プッシュプル・パワーユニット2台をブリッジ構成
 にした完全バランス型パワーアンプ
◎スイッチングひずみを皆無にしたパラレル・プッシュ
 プルA級ドライブで50W/ch(8Ω),70W/ch(2Ω)の
 充実パワー,全段はMOS FET・PPの理想駆動
◎小出力時のクオリティと高域安定性を改善した
 「カスコードPP差動入力段」
◎左右の電源を独立させた完全モノフォニック・アンプ
 2台によるツイン・モノ構成
◎DCサーボ方式直結アンプ構成
◎入力インピーダンス40kΩの平衡入力の他に
 20kΩ不平衡入力も装備
◎−40dB〜+3dB間のピークパワーを直読する
 アナログ式大型メーター
◎サブパネルにファンクションを収納した重厚で
 シンプルなレイアウト
◎天然パーシモンのサイドボード




●P-102保証特性●

連続平均出力
(20〜20,000Hz,ひずみ率0.02%,
             両チャンネル同時動作)
70W/ch  2Ω負荷
80W/ch  4Ω負荷 
50W/ch  8Ω負荷 
25W/ch 16Ω負荷 
全高調波ひずみ率
(20〜20,000Hz,両チャンネル同時動作)
0.02% 2〜4Ω負荷 
0.01% 8〜16Ω負荷0
IMひずみ率 0.003%
周波数特性 20〜20,000Hz +0,−0.2dB 
(連続平均出力時,レベル・コントロールMAX) 
0.5〜150,000Hz +0,−3.0dB 
(1W出力時,レベル・コントロールMAX) 
0.5〜80,000Hz +0,−3.0dB 
(1W出力時,レベル・コントロール−6dB)
利得
28.0dB
負荷インピーダンス 2〜16Ω 
ダンピング・ファクター(EIA 50Hz) 70 
入力感度(8Ω負荷)  0.8V(連続平均出力時) 
 0.11V(1W出力時) 
入力インピーダンス 40kΩ 平衡
20kΩ 不平衡
S/N(A補正) 120dB 平衡入力
112dB  不平衡入力
(連続平均出力時,入力ショート) 
 100dB 平衡入力
  96dB 不平衡入力
(1W出力時 入力1kΩ)
出力メーター 対数圧縮型 −40dBから+3dB及び 
出力直読目盛
使用半導体 81Tr,16FET,8IC,89Di
電源及び消費電力 100V,17V,220V,240V 50/60Hz 
消費電力  245W   無入力時 
        255W  電気用品取締法 
        300W 8Ω負荷定格出力時 
寸法・重量 幅475mm×高さ170mm(脚含む)×奥行408mm
22kg


※本ページに掲載したP-102の写真,仕様表等は1987年のAccuphase
 のカタログより抜粋したもので,アキュフェーズ株式会社に著作権があります。
 したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられ
 ていますのでご注意ください。

  
 
 
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