PC-10の写真
TEAC  PC-10
PORTBLE CASSETTE RECORDER ¥125,00

1976年にティアックが発売した可搬型カセットデッキ。ソニーが先鞭を付けた本格的オーディオ
用カセットデッキの性能を持った可搬型カセットデッキの分野でも,この頃からいくつかのメーカー
の製品が見られるようになっていました。テープデッキの分野で高い技術を持つティアックが満を
持して発売した可搬型カセットデッキがPC-10でした。

ティアックは,オープンリールデッキの時代からテープデッキに高い技術を持ち,すぐれた製品を
送り出していました。そして,そのメカニズムについての高度な技術を生かして車両振動や地震
などを記録する計測器などの業務用データレコーダーにもすぐれた製品を出していたことはよ
く知られていると思います。振動やほこり,温度変化の中でも正確な記録を要求されるこれらの
機器の開発で得られた技術も投入され,移動を前提とした可搬型カセットデッキとして,小型化し
つつ,耐振構造が徹底され,安定した録音性能と高い耐久性が確保されていました。

テープの走行系には,定速走行用と早巻き用のモーターを独立させ,操作性や耐久性において
有利な2モータ方式が採用されていました。
定速走行用には,PLLサーボ機構で制御されたコアレスDCモーターがキャプスタンに直結され
た,ダイレクトキャプスタン方式が採用され,フライホイールを無くし,メカニズムのポータブル化
を図っていました。このコアレスDCモーターは慣性がきわめて小さく,起動トルクが大きいという
特性を持つため,立ち上がりが早く,高い周波数の外乱(フラッター領域)までサーボが素早く応
答できるというメリットをもたらしていました。さらにコッキングが殆どなく,貴金属ブラシを使用し
ているため長寿命も実現していました。そして,ダイレクトドライブ方式の採用とあいまって,ローリ
ングや振動にも強いという,ポータブルレコーダーにとって重要な特性も実現していました。
また,早巻き用(リール用)には,メカニカルガバナー(遠心力を利用して回転数の制御を行う仕
組み。多くのモーターやエンジンに搭載され,単純ながら信頼性が高い。)DCモーターが搭載さ
れていました。

DDキャプスタンモーター

ヘッドは,録音/再生と消去の2ヘッド構成で,録音/再生ヘッドには,耐摩耗性にすぐれたHD(ハイ
デンシティ)フェライトヘッドが搭載され,ポータブルタイプのデッキながら周波数特性30〜16,000Hz
(クローム),SN比58dBという,オーディオ用カセットデッキ並の特性を実現していました。さらに,テ
ープヒスを抑えるドルビーNRも搭載されていました。
テープセレクターはバイアス,イコライザー独立の2段階切換で,当時発売されていたnormal,CrO2,
Fe-Crの全てのタイプのテープに対応していました。

テープ走行の操作系は,スライドレバーとプッシュボタンを組み合わせたもので,操作レバーを定速走
行用と早巻き用に分離した形になっており,手元を見なくても素早い操作が可能な設計となっていまし
た。
生録に対応した機能として,不意の過大入力に対応して自動的にリミッターが働くリミッタースイッチ,0
15,30dBの3段切換のマイクアッテネータースイッチ,口径9cmのモニタースピーカーが装備されてい
ました。

筐体は,当時の技術で可能な限りの小型化が図られ,百科事典程度の幅と手でつかめる厚さに設計さ
れ,頑丈な構造のダイキャストボディーが採用されていました。重量は当時のテープデッキとしては軽量
の5kg(乾電池を含む)に抑えられていました。

以上のように,PC-10は,ティアックの伝統的なすぐれたテープデッキ技術,メカ技術が結集された高性
能な可搬型カセットデッキでした。ソニーのデンスケシリーズなどの陰に隠れあまり目立つ存在にはなり
ませんでしたが,知る人ぞ知る実力機でした。


以下に,当時のカタログの一部を御所介します。



ポータブルカセットに集約された
高密度メカニズム


◎DDプラスPLLサーボ機構を採用した
 新しい耐振メカニズム
◎ポータブル機能を追求
◎操作性,耐久性にすぐれた
 「小形2モーターシステム」
◎音源を目で追えるレバー&プッシュ
 オペレーション
◎過大入力によるひずみを防ぐリミッター
◎テープヒスを減少させるドルビーシステム
◎マイクアンプのひずみをふせぐ
 3段切換(0,15,30dB)のマイクアッテネーター
◎リニアリティ,耐振性にすぐれた
 外磁形VUメーター
◎直径90cm,丸型のモニタースピーカー
◎テープとメカニズムを保護し,電池の消耗を防ぐ
 オートエンドストップ機構
◎夜間でもメーター監視ができるメーターランプ
◎ステレオシステムに直結できる
 高性能メカニズム
◎電池の寿命を チェックする「バッテリーチェック」
◎メカニカル方式の軽快なポーズ機構
◎ドルビー効果をフルに発揮させる
 マイク/ライン入力切換機構
◎連続使用時間SUM-1乾電池にて2時間(アルカリ
 乾電池にて7時間)
◎ショルダーベルト,ACアダプター(PA-2)標準付属
◎キャリングケースPA-8C ¥6,500(別売)




●PC-10の仕様●

トラック形式 4トラック2チャンネル
ヘッド構成 消去,録音/再生
2ヘッド
使用カセットテープ C−60,C−90
カセットテープ
モーター ダイレクトドライブ
PLLサーボDCコアレスモーター 
(キャプスタン用×1) 
メカニカルガバナー方式DCモーター 
(リール用)×1
ワウ・フラッター(WRMS) 0.07%
早巻時間 90秒以内(C−60)
総合周波数特性 30〜16,000Hz(クロームテープ)
SN比(3%THDレベル,WTD) 58dB 
(ドルビーシステムにより録音・再生において
 1kHzで5dB,5kHz以上で10dBの雑音低減が可能)
入力 マイク:0.25mV/−72dB 
    (適合インピーダンス600Ω以上) 
ライン:60mV 
    (入力インピーダンス50kΩ)
出力 ライン:0.775V 
    (負荷インピーダンス50kΩ以上) 
ヘッドホン:8Ω
外形寸法(幅×高さ×奥行mm) 292×91×232
重量 約5kg(乾電池を含む)
ヘッド HD(ハイデンシティ)フェライトヘッド
テープセレクター
バイアス/イコライザー独立切換
主な機能 マイク/ライン入力切換,ポーズ機構 
ドルビーシステム,VUメーター,
ピークレベルインジケーター
マイクアッテネーター,リミッター
オートエンドストップ


※本ページに掲載したPC-10の写真,仕様表等は1977年3月の
  TEACのカタログより抜粋したもので,ティアック株式会社に
 著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載
 ・引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

   
 
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