LUXMAN PD121A
DIRECT DRIVE TURNTABLE ¥145,000
1979年に,ラックスが発売したターンテーブルシステム。(写真ではアームが付いていますが,トーンアームは
付属していませんでした。)1970年に,テクニクスがSP-10を発売し,ダイレクトドライブ方式のターンテーブル
が各社から登場し始めました。そんな中,ラックスは,1973年にSP-10のDDモーターを搭載したPD121を
発売し,そのバランスのとれたデザインと使いやすさで人気を獲得していました。その後継機として発売された
のがPD121Aでした。



PD121Aは,上述のようにダイレクトドライブ方式のターンテーブルで,駆動モーターには,新たにラックスが独
自開発した”LOAD FREE SPINDLE”方式のモーターが搭載されていました。この方式は,基本的には,クォー
ツロックのダイレクトドライブ方式で,軸受けにかかるターンテーブルの負荷を軽減するために,独自の構造を採
用していました。「ロード・スピンドル方式」では,モーター自身のマグネットのもつ反発力を利用してターンテーブル
を浮かせる構造となっており,マグネフロート方式とは異なり,特別なマグネットを必要とせず,磁界による影響も
抑えられるという方式でした。



ターンテーブルは,直径30cm,重量2.5kgの重量級のアルミダイキャスト製で,慣性質量340kg・cmというも
のが搭載されていました。さらに,駆動用モーターの軸受けとの関係,ターンテーブル自身の共振,強度の問題
などに十分に検討を加え,リブの形状,厚さ,バランスなども決定されていました。
ターンテーブル裏面にはストロボスコープ用のパターンが貼り付けられおり,ターンテーブル前面に設けられたス
トロボ表示窓は,ターンテーブルが1回転すると楕円形のマークが1回転するという,ブラックライトを利用したユ
ニークな速度表示となっていました。


ターンテーブルには,高密度ゴムをベースにしてターンテーブル自身を強力にダンプするはたらきをもたせると
ともに,表面の材質に特殊合成皮革を用いて,レコードととの密着性を高め,レコード盤の不要な共振を吸収し
て確実にダンプするようになっていました。



構造的には,無骨ともいえる強固なアルミダイキャスト・シャーシが特徴的でした。モーター部とアーム取り付
け部を強固に一体化し,リブの配置,全体の強度,モーターの取り付け方法,重量バランスなどもしっかり検
討されたものでした。シャーシの上をカバーし,表に見える上面は,3mm厚のアルミ板にヘアーライン仕上げ
を施した化粧パネルとなっており,優美なデザインにもつながるものでした。このアルミ板が,ダンプ効果を持
たせた木枠とゴムを介してしっかり固定され,このパネル全体をダイキャストフレームに10本以上のビスで
完全に固定し,不要な共振を抑えていました。

全体を支えるインシュレーターは,低fo2段階制動式インシュレーターが搭載されていました。一般的にイン
シュレーターは,fo(最低共振周波数)が低く,Q(共振の鋭さ)を高くするほどすぐれた遮断特性が得られま
すが,単純にそういう設定にするとfo付近での大振幅振動(操作時のショックなど)弱くなり,操作がしにくく
なってしまう恐れがあります。低fo2段階制動式インシュレーターは,スプリング,ネオプレーンゴム,シリコン
グリスの3種類の制動材を巧みに組み合わせた構造で,ハウリングの原因となる微小振幅振動に対しては
インシュレーターのシャフトを支えるネオプレーンゴムが働き,プレーヤー操作時などの大振幅振動に対して
は,シリコングリスを塗布したネオプレーンゴムの粘性制動とスプリングによって対処する構造になっており,
遮断特性と操作性を両立させていました。

PD121Aは,アームレスのターンテーブルシステムでしたので,様々なアームをマウントするために何種類
ものアームベースが別売で用意されていました。カメラのレンズマウントにも使われる精巧なバヨネット・マウン
ト方式となっており,着脱も容易で,ダイキャストフレームと一体化することができるようになっていました。

以上のように,PD121Aは,人気モデルのPD121をベースに,クォーツロック化など強化を行った内容をも
ち,完成度が高められていました。そのバランスのとれた美しいプロポーションは,一説には瀬川冬樹氏の
デザインともいわれていましたが,今見ても魅力的ではないでしょうか。


以下に,当時の方ロブの一部をご紹介します。



◎独自のロード・フリー・スピンドル・モーター
◎ダイナミック・バランスにすぐれた
 重量級ターンテーブル
◎強固なアルミダイキャスト・シャーシ
◎foの低い2段階制動式インシュレーター
◎ダンプ効果のすぐれた
 特殊合成皮革プラッターマット
◎高級感あふれるアクリル・ダストカバー
◎ワンタッチで着脱できる精巧な
 バヨネット式アームベース




●SPECIFICATIONS●


■フォノモーター部■

駆動方式 ダイレクトドライブ方式 
モーター  水晶制御扁平型ブラシレス・ロードフリー
・スピンドルDCサーボモーター 
ターンテーブル  30cmアルミダイキャスト製  重量2.5kg
回転数  331/3rpm・45rpm 
回転数偏差  0.002%以内 
ワウ&フラッター  0.025%(W.R.M.S.) 
SN比 63dB以上(JIS) 
   


■付属装置■

アクリルカバー  4mm厚貼り合わせ
脱着可能,セミフリーストップヒンジ付 
インシュレーター  スプリング・ゴム・グリスによる低fo2段階制動式
高さ調整可能(10mm) 
ミラー式ストロボ  ブラックライト採用による速度表示式 


■電源そのほか■

電源  AC100V 50Hz/60Hz 
消費電力  常時16W 
外形寸法  472W×160H×372Dmm 
重量  14kg 
※本ページに掲載したPD121Aの写真・仕様表等は1979年10月
 のLUXMANのカタログより抜粋したもので,ラックス株式会社に
 著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引
 用等をすることは法律で禁じられていますので,ご注意ください。

 
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