PRA-2000の写真
DENON PRA-2000
STEREO PRE AMPLIFIER ¥200,000

1979年に,デンオン(現デノン)が発売したプリアンプ。デンオンが1980年代の主力プリアンプとして開発
したモデルで,アナログプレーヤーやカートリッジの分野に強いデンオンらしく,フォノ系統の充実が図られて
ることが大きな特徴でした。そしてこの後,同社の中核機として人気のロングセラーモデルとなっていきました。

PRA-2000の全体の構成は,イコライザーアンプ,フラットアンプ,MCヘッドアンプからなり,不要な色づ
けを避け,クオリティの高い信号をパワーアンプに送るように,信号経路はシンプル化が図られていました。
フォノ入力は,イコライザーアンプから,バッファーアンプを通らずにダイレクトにフラットアンプに送られる設
計でした。フォノ入力は3系統装備されていますが,フォノ1,2は,MMカートリッジ専用で,イコライザーア
ンプからそのままフラットアンプへつながり,フォノ3は,MCカートリッジ専用で,MCヘッドアンプにに直結
され,できるだけスイッチ等の接点も少なくなるように設計されていました。それに対して,AUX,TUNER
TAPE(1.2)はファンクション切替えによって自動的にバッファーアンプに接続されるようになっていました。
TUNER,TAPEのインピーダンスマッチング用,サブソニックフィルター用のバッファーアンプは,新開発の
対称型コンプリメンタリーFET・DC構成で,カスコードブートストラップ回路が採用され,高調波歪みの発生
を防ぎ,高S/Nを確保していました。また,ファンクションの切替えスイッチは,軽いタッチで変わる電子回路
採用のソフトプッシュ式が採用され,経年変化の少ないリードリレーを,オーディオ信号の引き回しの影響を
抑える位置に配置し,音質の劣化を防いでいました。この切替えスイッチは,一時的にミューティングがかか
るような操作性,信頼性を考えた設計になっていました。また,信号経路のシンプル化のためにトーンコント
ロール回路も搭載されていませんでした。

PRA-2000のシーリングパネル

PRA-2000のイコライザ−・アンプは,「リアルタイム・イコライザー・アンプ」と称するもので,当時デンオン
は,NF形よりもCR形にメリットを見出し,その問題点を改善し,CR形をさらに発展させたものでした。従来
CR形はNF形に比べて,周波数特性にすぐれるものの,許容入力,S/N,歪率の点で問題点がありました。
「リアルタイム・イコライザー・アンプ」の構成は,新開発ローノイズFETによるDCリニア・アンプ2段と段間の
CR形イコライジング・フィルターというものでした。初段のFETはパラレル差動とし,S/Nを改善しながら高域
における特性の劣化を防ぐカスコード・ブート・ストラップ回路が採用されていました。さらに,入力結合コンデ
ンサーを排除してコンデンサーによる音の色づけをなくし,Pc800mW・fT120MHzという高出力・高速トラ
ンジスターによる150V高電圧電源オペレーションによって,47Vの高出力と広ダイナミックレンジが実現さ
れていました。また,CR形イコライジング・フィルターの低インピーダンス化によって86dBという高S/Nを実
現し,さらにCR素子は,ポリプロピレン形コンデンサーと±1%級金属皮膜抵抗を使用していました。以上の
ような「リアルタイム・イコライザー・アンプ」は,RIAA偏差20Hz〜100kHzという驚異的な広帯域特性を実
現していました。

MCヘッドアンプは,22石構成で,当時デンオンが単売していたヘッドアンプの最高級機であったHA-1000
(¥65,000)と同等のローノイズNPNトランジスター4個並列接続回路・カレントミラー回路・ダーリントン・コ
ンプリメンタリー・プッシュプル回路という構成がとられていました。さらに,専用MCヘッドアンプとしての性能
を十分に確保するために,供給電源を増大させるブースターを備えた±15Vの安定化電源をヘッドアンプ基
板内に搭載し,電源インピーダンスを低く抑え,入力換算雑音−157dBVという高S/N化,そしてハイスピー
ド化が図られていました。

イコライザーアンプからの信号を受けるフラットアンプ部の大きな特徴としては,低インピーダンスボリューム
回路とダイレクトDCサーボがありました。
低インピーダンスボリューム回路は,ボリューム回路の抵抗が高い場合の多くのデメリット(高抵抗熱雑音に
よるS/Nの劣化,トランジスターによるミラー効果とからむ歪みの増大,高抵抗と配線の浮遊容量などによる
ハイカットフィルターの形成からくる高域特性の劣化,スルーレイト,ライズタイムの悪化)を抑えるために,10
kΩという低いインピーダンスのボリューム回路としたもので,フラットアンプ部の高性能化に寄与していました。
ダイレクトDCサーボは,カップリングコンデンサーを排除するためのDCサーボをさらに見直し,新開発された
回路でした。一般的なDCサーボアンプと異なり,別系統のサーボアンプを持たず,初段で発生し終段まで影
響するドリフトは初段で解決するというものでした。初段FET差動アンプのパラレル構成と,サーボ専用アンプ
に代わるサーボ帰還回路によって,本来のサーボ動作に加え,歪みは1/2に,S/Nは3dBの改善が行われ
サーボ動作により基本性能を犠牲にせずむしろ向上させるというすぐれた効果を実現していました。PRE OUT
の出力インピーダンスも,100Ωで周波数平坦形となり,伝送特性の劣化が起こりにくく,インピーダンスの高い
パワーアンプに対しても特性の劣化を生じにくくなっていました。このフラットアンプ部を,デンオンは「リアルタイ
ム・フラットアンプ」と称していました。

PRA-2000の内部


内部レイアウトは,各部の左右チャンネルを対等に配置し,信号ユニットと電源部は明確に分離した設
計で,左右の性能のアンバランスや相互干渉を抑える内部構造になっていました。アンプ部上部基板と
下部基板間にはきちんと鉄板が張られたシールドが行われ,特にMCヘッドアンプとイコライザーアンプ
は,磁性材による磁気歪みをも防ぐために,アルミ材使用の2段構造がとられていました。
また,電源部は,電源変動に強く,磁束漏洩の少ない5重シールドの大型トロイダルトランスが搭載され
ていました。PRA-2000に搭載されたトロイダルトランスは,捲線径1.2mm,容量50VAの強力なもの
が採用されていました。その他,パーツの面では,高音質のΛコンデンサー等も数多く使用するなど,しっ
かりと物量が投入されていました。

以上のように,PRA-2000は,フォノ入力を中心に,同社の中核モデルとして力の入った設計がなされ
そのしっかりした中身と躍動感のあるクリアな音が高い評価を受けました。故長岡鉄男氏も,プリアンプ
としてPRA-2000を使っていたことは有名ですが,そのことも評価を高めたと言われています。また,充
実したフォノ系統の回路は,現在のアンプにはあまり見られないほどのもので,フォノイコライザーとして
入手し使われる方も少なくないようです。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



’80年代への対応・・・・・・・・
無帰還形リアルタイム・イコライザー
アンプ搭載!!
これからのオーディオシーンを予見する
美しくシンプルなデザイン。


◎驚異のRIAA偏差を実現した
 DCリニアアンプ2段による高性能
 リアルタイム・イコライザー・アンプ
◎入力換算ノイズレベル−157dB(v)
 HA-1000相当の高性能>
 MCヘッドアンプ内蔵>
◎10kΩボリウームの採用。T.I.M歪み
 0.003%,I.M歪み0.002%を実現した
 ダイレクトDCサーボ方式の新鋭
 リアルタイム・フラットアンプを搭載>
◎操作性と音質を重視した
 電子式ファンクション・スイッチ
◎クオリティの高い再生を求めた
 高安定,高性能 トロイダルトランス
 搭載の強力電源部
◎DENONが自負する
 ”SIMPLE IS BEST”設計
◎音質を徹底追求した内部コンストラクション

●音質への影響を除去するREC-OFF機能を装備
●異常時にパワーアンプの素子を保護する
 エマージェンシィ・プロテクター回路を内蔵
●レコードのソリなどによるひずみを防ぐ12dB/octの
 サブソニックフィルター
●−∞(PRE OUT-OFF),−20dBの2段ミューティング
●ラムダコンデンサーを始めとした,オーディオ用に厳選した
 高級パーツを使用




●PRA-2000の主な仕様●




■MCヘッドアンプ部(PHONO-3 IN〜REC OUT)■

入力感度/入力インピーダンス
0.125mV/100Ω
最大許容入力
19mV(1kHz)
全高調波歪率
0.003%以下(20Hz〜20kHz)
周波数特性(RIAA偏差)
20Hz〜100kHz±0.2dB
SN比
79dB(IHF-Aウェイト)
  入力換算ノイズレベル−157dBV
セパレーション
70dB以上(20Hz〜20kHz)
ゲイン(ヘッドアンプ部のみ)
26dB




■イコライザーアンプ部(PHONO1,2 IN〜REC OUT)■

入力感度/入力インピーダンス
2.5mV/50kΩ
PHONO-2は100Ωに切替え可能
最大許容入力
380mV(1kHz)
最大出力/定格出力
23V/150mV
全高調波ひずみ
0.002%以下(20Hz〜20kHz,4V出力)
RIAA偏差
20Hz〜100kHz±0.2dB
SN比
86dB(IHF-Aウェイト)
セパレーション
20Hz〜1kHz 100dB以上
20kHz       90dB以上
ゲイン
35.6dB(1kHz)




■フラットアンプ部(AUX IN〜PRE OUT)■

入力感度/入力インピーダンス
TUNER,AUX&TAPE(PB-1,2)
 150mV/50kΩ
最大許容入力
23V
最大出力/定格出力
25V/1.5V
全高調波ひずみ率
0.002%以下(20Hz〜20kHz,3V出力)
周波数特性
10Hz〜100kHz+0,−0.1dB
10Hz〜500kHz+0,  −1dB
SN比
105dB以上(IHF-Aウェイト)
セパレーション
VOL・最大時  :100dB以上
VOL・−20dB時: 80dB以上
           (20Hz〜20kHz)
ゲイン
20dB
ミューティング
−20dB&−∞
サブソニック・フィルター
16Hz,12dB/oct
T.I.Mひずみ率
0.003%以下
I.Mひずみ率
0.002%以下




■その他■

主な使用部品
FET14個,トランジスター149個,ダイオード68個
IC1個,整流スタック3個,リードリレー7個,リレー2個,LED6個
ACアウトレット
電源スイッチ連動2個
       非連動1個
電源/消費電力
AC100V 50/60Hz/38W
外形寸法
(つまみ類,ゴム足を含む)/重量
455W×132H×357Dmm/10.5kg


PRA-2000Zの写真
DENON PRA-2000Z
STEREO PRE-AMPLIFIER ¥250,000

1983年,PRA-2000は,PRA-2000Zへとモデルチェンジを受けました。鏡面仕上げの美しい
ウッドキャビネット仕上げは受け継がれ,フロントパネルのイメージがやや変わっていました。また
内部の回路等はフォノ系統を中心にかなりの変更が行われ,全面的なモデルチェンジといった感
じでした。

PRA-2000Zに搭載された新しいフォノ系統は,「ニューリアルタイム・イコライザーアンプ・システ
ム」と称され,MCカートリッジへの対応が特に強化された構成となっていました。PRA-2000では
増幅特性のないCR形イコライザーを2つのフラットアンプで挟み,フォノ3では,その前段にMC専
用のヘッドアンプを配置するという形になっていましたが,「ニューリアルタイム・イコライザーアンプ
・システム」では,CR形イコライザーの前段に,フォノ3系統それぞれ違った増幅率の前段アンプ
(デンオンはこれをヘッドアンプと称していた)を置き,CR形イコライザーの後段は従来通りフラット
アンプが置かれるという形になっていました。前段アンプ(ヘッドアンプ)は,初段に極ローノイズ特性
のFET4本により構成される差動アンプと,極ローノイズ特性のバイポーラトランジスターのカレント
ミラー回路により高S/Nを達成し,カートリッジのインピーダンス変化による歪みの発生を抑えるた
めにブートストラップ回路が付加されていました。また,ハイスピード伝送を重視し,プリドライブ段
エミッタフォロワー段にはfT250MHzの高速トランジスターを使用していました。そして,150Vの
高電圧でドライブすることで,MM:500mV,MC:20mV/24mVといった大きな許容入力(前
モデルPRA-2000に対し,約30%アップ)を実現していました。
フォノ1は,MCカートリッジ用で,ワイドレンジ・低歪みの昇圧トランスに直結し,その後に中増幅率
の前段アンプ,そしてCR形イコライザーに入るようになっていました。昇圧トランスのコアには,低
音域まですぐれた透磁率をもち,全帯域にわたって高い飽和磁束密度をそなえた特殊形状のパー
マロイ薄板積層を使用し,少ない捲線で十分な低域特性を確保していました。
フォノ2もMCカートリッジ用で,高増幅率の前段アンプ直結として,その後CR形イコライザーに入る
ようになっていました。フォノ3は,MMカートリッジ用で,標準的な増幅率の前段アンプに入り,その
後CR形イコライザーという構成になっていました。
CR形イコライザーの後段のフラットアンプは,極ローノイズ特性のFET4本により構成される差動ア
ンプをベースに差動2段増幅とし,ファイナル・エミッタフォロワー段にはPc25W級の大容量トランジ
スターを使用した電力増幅段を構成して,高S/N,高出力を実現していました。

フラットアンプは,新たに「無帰還フラットアンプ」が搭載されていました。この頃,アンプ技術におい
て負帰還(NFB)の問題点(動的歪み,応答速度など)が多く語られるようになり,NFBに頼らない
歪み低減技術が各社から出てきました。デンオンも「無帰還」と謳って,フラットアンプにオールオー
バーの負帰還をかけず,最終段の入力と出力を比較 して歪み成分のみを検出し,これを逆相にし
て入力に戻して歪みを打ち消す「ダイレクトディストーションサーボ回路」が搭載され,ハイスルーレ
イト±500V/μsecを達成しつつ,低歪みが実現されていました。
さらに,PRA-2000Zには,新たにトーンコントロールが搭載されていました。しかし,クオリティの
劣化を抑えるために,トーン素子を,ダイレクト・ディストーションサーボ回路内に組み込んだ「リア
ルタイムトーンコントロール」が採用されていました。この方式により,トーンコントロールの使用時
にも,主信号系には変化がなく,安定した動作が確保されていました。

プリアウト段には,パワーアンプのインピーダンスの変化による影響を抑えるために「無帰還バッ
ファーアンプ」を採用するとともに,fT500MHzと150MHzの高速トランジスターによるコンプリメ
ンターリー・ダーリントン回路という,パワーアンプ並の構成がとられていました。これにより,安定
したパワーアンプをドライブする力が確保されていました。

また,電源部が大幅に強化され,従来の約2倍にあたる90VAのトロイダルトランスが搭載され,
引き出し用リード線に非磁性の銅線が使用された2000μFのブロックコンデンサーにより構成さ
れていました。整流器には,スイッチング歪みを抑える4A級ファストリカバリーダイオードを採用し
ていました。さらに高圧の定電圧電源には,Pc70Wの制御用大型トランジスターとfT250MHz
の高速トランジスターによる誤差補正増幅部を,低圧の定電圧電源には,高性能なIC化回路を
搭載するなど重装備の定電圧回路としていました。また,左右チャンネル間には無酸素銅板の
バスバーをシンメトリカルに配置してアース回路のインピーダンスを下げ,電源コードのプラグに
は,極性を表示した新開発のキャプタイヤタイプの大容量電源コードを採用していました。

入力系には,新たにCD等に対応したDAD入力端子が追加されていました。また,微細な入力
信号を内部で引き回すことを避けるために,アンプ背面パネルに設置されたプリント基板に金
メッキ入力端子を固定する形がとられ,アンプの配線基板に直結するようになっていました。機
能的には,従来のサブソニックフィルター(ローフィルター)に加え,ハイフィルターも装備されまし
た。配線基板のプリント基板には,従来の素材に比べて誘電率が約30%低く,絶縁抵抗が約
1000倍という,高周波信号の伝送特性によりすぐれたものを採用していました。その他パーツ
の面では,Λコンデンサーが10個使用されていたのに対して,UΛコンデンサー4個へと変更さ
れているなど,見直しが行われていました。

以上のように,PRA-2000Zは,PRA-2000を大幅に改良し,内容が強化されていました。音
の面でも,従来の元気でクリアな音に,さらに低域の支えが強化され,音の量感や豊かさが増し
ていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介し ます。



洗練・発展の「Z」。
ハイスピード&ハイクオリティ伝送の
頂点を進むPURE DYNAMIC
最新のテクノロジーとデバイスを結集,
鮮烈リファインPRA-2000Z


◎スーパーアナログ再生に万全を期す,
 画期的な2タイプMC入力
「ニューリアルタイム・イコライザーアンプ・
 システム」(特許出願中)
◎MC入力@/昇圧トランス
◎MC入力A/MCダイレクト入力
◎MM入力(PHONOB)
◎極低ノイズ・高出力リニアアンプ
◎ハイスルーレイト±500V/μsec,
 極低ひずみ率で,ハイレベルなデジタル・
 クオリティを獲得した無帰還フラットアンプ。
◎クオリティ劣化のない
 リアルタイム・トーンコントロール
◎低入力インピーダンス・パワーアンプでも
 安定ドライブする無帰還バッファーアンプ。
◎大容量90VA級の大型トロイダルトランス
 による高速応答・強力電源部
◎操作フィーリングを快適にした
 ソフトタッチオペレーション
◎すべての入力ソースをアンプ入力回路に
 直結した,合理的コンストラクション。
◎CDプレーヤーやHi-Fiビデオの
 ダイレクト接続端子を装備
◎信号伝達ロスを極小にした
 ハイグレードプリント基板
◎高信頼性を象徴する
 あたたかさと重厚さをもつ木製キャビネット




●PRA-2000Zの主な仕様●



■イコライザーアンプ部(PHONO IN〜REC OUT)■

入力感度/入力インピーダンス
PHONO-1 MC:0.1mV/40Ω
PHONO-2 MC:0.12mV/100Ω
PHONO-3 MM:2.5mV/47kΩ
最大許容入力
PHONO-1 MC:20mV(1kHZ)
PHONO-2 MC:24mV(1kHz)
PHONO-3 MM:500mV(1kHz)
最大出力/定格出力
30V/150mV
全高調波ひずみ
0.001%  1kHz 20V出力時(PHONO-1)
0.0015%以下 20Hz〜20kHz,3V出力時(PHONO-2&3)
RIAA偏差
PHONO-1 MC:20Hz〜100kHz±0.2dB
PHONO-2 MC:20Hz〜100kHz±0.2dB
PHONO-3 MM:10Hz〜100kHz±0.2dB
SN比
PHONO-1 MC:80dB(入力0.25mV時,Aカーブ・ウェ イティング)
PHONO-2 MC:75dB(入力0.25mV時,Aカーブ・ウェイティング)
PHONO-3 MM:90dB(Aカーブ・ウェイティング)
セパレーション
20Hz〜1kHz  80dB以上
20kHz       70dB以上



■ハイレベルアンプ部(AUX IN〜PRE OUT)■

入力感度/入力インピーダンス
TUNER,DAD,AUX,TAPE(PB-1,2)
 150mV/47kΩ
最大出力/定格出力
12V/1.0V
全高調波ひずみ率
0.0015%以下(20Hz〜20kHz,4V出力時)
周波数特性
1Hz〜300kHz+0,−3dB
10Hz〜100kHz+0,−0.3dB
SN比
105dB以上(Aカーブ・ウェイティング)
セパレーション
20Hz:100dB,1kHz:75dB
20kHz:65dB
ゲイン
16.5dB
ミューティング
−20dB(LED点灯指示)
プリアウト・オフ
−∞(LED点滅指示)
フィルター
HIGH:7kHz,6dB/oct
LOW(サブソニック)16Hz,6dB/oct
トーンコントロール
TREBLE:±8dB/10kHz
BASS  :±8dB/100Hz



■その他■

ACアウトレット
電源スイッチ連動3個(Total 210W)
       非連動2個(Total 700W)
電源/消費電力
AC100V 50/60Hz/63W
外形寸法
(つまみ類,ゴム足を含む)/重量
462W×145H×385Dmm/10.6kg


PRA-2000ZRの写真
DENON PRA-2000ZR
STEREO PRE-AMPLIFIER ¥250,000

1986年に,PRA-2000ZはPRA-2000ZRにモデルチェンジされました。PRA-2000Zで全
面的にモデルチェンジされていたのに対し,PRA-2000ZRでは,細かな改良によるマイナー
チェンジといった感じでした。外観は入力切替のDADの表示がCDになったくらいで,ほとんど
見分けがつかないほど変化はありませんでした。
内容的には,搭載されたコンデンサーや抵抗類が変わっているなど,パーツ等の面で細かな見
直しが行われていましたが,回路等は同一ともいえるものでした。
音的には,PRA-2000Zに近いものでしたがフラットアンプを通したときの音のクオリティがアッ
プしていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介 します。



デジタルソースに対応。
鮮烈にリファイン


今日のデジタル時代を先見し,DENONがいち早く
確立した”Real Time Audio Technology!”技術の
傑作モデルPRA-2000Zを本格的デジタル時代に対応し
鮮烈にリファイン。


■PRA-2000ZRの主な特長■
1.DENON独自の無帰還回路技術を駆使し,
 高品位ハイクオリティ伝送の頂点を達成。
2.ハイスルーレイト±500V/μsec極低ひずみ率の
 CD再生用無帰還フラットアンプ。
3.LC-OFC線昇圧トランスとダイレクトの
 ハイクオリティMC入力
4.プリアウト段は無帰還バッファーアンプ併用により
 極限までのハイスピード伝送と出力インピーダンスの
 低減を実現。
5.高速,強力90VA大型トロイダルトランス採用の
 強力電源部。




●PRA-2000ZRの主な仕様●



■ハイレベルアンプ部(AUX IN〜PRE OUT)■

入力感度/入力インピーダンス
TUNER,CD,AUX,TAPE(PB-1,2)
 150mV/47kΩ
最大出力/定格出力
12V/1.0V
全高調波ひずみ率
0.0015%以下(20Hz〜20kHz,4V出力時)
周波数特性
1Hz〜300kHz+0,−3dB
10Hz〜100kHz+0,−0.3dB
SN比
105dB以上(Aカーブ・ウェイティング)
セパレーション
20Hz:100dB,1kHz:75dB
20kHz:65dB
ゲイン
16.5dB
ミューティング
−20dB(LED点灯指示)
プリアウト・オフ
−∞(LED点滅指示)
フィルター
HIGH:7kHz,6dB/oct
LOW(サブソニック)16Hz,6dB/oct
トーンコントロール
TREBLE:±8dB/10kHz
BASS  :±8dB/100Hz



■イコライザーアンプ部(PHONO IN〜REC OUT)■

入力感度/入力インピーダンス
PHONO-1 MC:0.1mV/40Ω
PHONO-2 MC:0.12mV/100Ω
PHONO-3 MM:2.5mV/47kΩ
最大許容入力
PHONO-1 MC:20mV(1kHZ)
PHONO-2 MC:24mV(1kHz)
PHONO-3 MM:500mV(1kHz)
最大出力/定格出力
30V/150mV
全高調波ひずみ
0.001%  1kHz 20V出力時(PHONO-1)
0.0015%以下 20Hz〜20kHz,3V出力時(PHONO-2&3)
RIAA偏差
PHONO-1 MC:20Hz〜100kHz±0.2dB
PHONO-2 MC:20Hz〜100kHz±0.2dB
PHONO-3 MM:10Hz〜100kHz±0.2dB
SN比
PHONO-1 MC:80dB(入力0.25mV時,Aカーブ・ウェイティング)
PHONO-2 MC:75dB(入力0.25mV時,Aカーブ・ウェイティング)
PHONO-3 MM:90dB(Aカーブ・ウェイティング)
セパレーション
20Hz〜1kHz  80dB以上
20kHz       70dB以上



■その他■

ACアウトレット
電源スイッチ連動3個(Total 210W)
       非連動2個(Total 700W)
電源/消費電力
AC100V 50/60Hz/63W
外形寸法
(つまみ類,ゴム足を含む)/重量
462W×145H×385Dmm/10.6kg


PRA-2000RGの写真
DENON PRA-2000RG
STEREO PRE-AMPLIFIER ¥330,000

1990年に,PRA-2000ZRはPRA-2000RGへとモデルチェンジされました。重量も価格も
大幅にアップしたことに表れているように,物量もしっかり投入され,バランス入出力への対応
など,技術的にも改良が加えられていました。
外観デザインは,PRA-2000ZRから基本的に継承されていましたが,ウッドキャビネットの厚
みが増し,サイド部分にRが設けられ,天板の放熱口はアルミ製のメッシュになるなど,印象は
少し変わり,やや高級感がアップした感じでした。

1980年代後半より,高級セパレートアンプを中心にバランス入力,出力が搭載されることが多
くなってきた流れの中,PRA-2000シリーズにもPRA-2000RGではじめてバランス伝送方式
が導入され,「インバーテッドΣバランス回路」搭載のバランス出力が搭載されていました。
PRA-2000RGのバランス出力は,一般的にICによるオペアンプで構成されることが多いのに
対し,増幅素子,すべてを高品質なパーツによるディスクリート構成とし,電源電圧を従来の約
3倍の±47Vと高電圧化するとともに,無帰還技術をさらに発展させた歪み除去回路方式を搭
載していました。

PRA-2000RGの全体の構成は,イコライザーアンプ,フラットアンプの基本的なアンプに,MC
昇圧トランスとバランス入力トランス,バランス出力アンプが組み合わされた形になっていました。
全段に,信号伝達が速く,入力インピーダンスが大きく,出力回路への影響の少ないFETを使用
したFET入力方式が採用されていました。

イコライザーアンプは,出力段にMOS POWER FET(Pc30W)を採用し,最大許容入力は
500mV(1kHz)を確保しつつ,低負荷ドライブ特性も向上させていました。入力段には,ローノ
イズFETを選別して使用し,カスコードブートストラップ構成としていました。また,PHONO入力
を使用しないときには,回路及び電源が他のアンプ回路と完全に遮断され,影響を防ぐための
イコライザーアンプOFFスイッチが新たに設けられていました。PHONO入力はMM/MC各1の
2系統となり,MC入力に対しては,昇圧比1:20のLC-OFC巻線のMCトランスが搭載されてい
ました。

フラットアンプは,増幅素子を全てFETで構成したオールFETとなっていました。初段は,極ロー
ノイズFETの差動増幅とし,カスコードブートストラップ方式が採用されていました。プリドライバー
段は,MOS FET(Pc30W)が使用され,初段と同様にカスコードブートストラップ,P-P方式が
採用されていました。終段もMOS FET(Pc30W)が使用され,ソースフォロワー回路で構成さ
れることで,高入力インピーダンスと低負荷ドライブ特性の両立が図られていました。

入力には,CD入力が2系統に増やされ,新しいCD-2入力は,バランス入力となっていました。
CD-2バランス入力は,広帯域LC-OFC巻線のバランス入力トランスを採用し,ICオペアンプ
方式よりも自然でなめらかな特性を確保していました。

PRA-2000RGの内部

電源部も改良され,デジタル機器等の雑音を遮断するために,大型チョークコイルによるLC-π型
電源回路を中心とした高品質な電源回路が搭載されていました。LC-π型電源の後段の3つを含
めたユニット別4定電圧電源で構成し,イコライザーアンプ,フラットアンプ,バランスアンプ,コント
ロール回路それぞれに,最短コースで電流を供給し,相互の干渉を抑えていました。パーツの面で
も,大型トロイダルトランス,ファストリカバリーダイオード,極性表示付き極太電源コード,高音質
電解コンデンサー等が搭載されていました。

全体のパーツ,コンストラクションも充実が図られていました。ボリュームには,L・Rチャンネル各
2連の高精度4連ボリューム搭載され,ボリュームノブには,南地中海沿岸に育つツツジ科の植
物「ホワイトヒース」の根からハンドメイドで作られたプライヤー使用のものが使用されていました。
プリント基板には,強度,電気的性能,耐振性にすぐれたエポキシ系ガラス複合基板が採用され
ていました。シャーシは厚板使用の高剛性のものが採用され,フロントシャーシには銅メッキが採
用され,シャーシを支えるフットには,焼結金属ベースの大型のものが採用されていました。

以上のように,PRA-2000RGは,大幅に内容が強化され,総重量16.5kgの堂々たるプリアン
プとなっていました。音の面では,よりシャープでクリアな音が実現されていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



果てしない音楽のロマンを
華麗にひろげる。


◎人にあたたかい,音楽の深淵を表現する
 気品と肌ざわり。
◎高純度な音楽信号をパワーアンプに伝送。
 「INVERTED Σ BALANDCE回路」
 搭載バランス出力装備(特許出願中)>
◎音楽の真髄をピュア&ストレートに伝える。
 全般にFET入力方式採用の高性能アンプ構成
◎音楽の魅力を緻密に伝送する。
 MOS FET出力段採用オールFET構成
 高音質フラットアンプ
◎多彩な音楽の世界を表現しつくす。
 最大許容入力500mV/1kHzの>
 高音質イコライザーアンプ
●PHONO入力MM/MC2系統
●イコライザーアンプ完全分離設計CD再生の極限へ。
 広帯域LC-OFC巻線バランス入力トランス採用

◎高純度な音楽のベーシックを伝える。
 大型コイル使用のLC-π型電源回路


●L,Rチャンネル各2連並列使用の高精度4連
 大型メインボリウム。>
●焼結金属ベースの大型重量級フットと厚板材
 使用の高剛性シャーシ。フロントシャーシには
 銅メッキを採用。
●抵抗,電解コンデンサー,フィルムコンデンサー
 等の音響用高音質部品を採用。
●プリント基材にエポキシ系ガラス複合基板を採用。
 強度,電気的性能耐振性に優れ,音質の劣化を防止。
●入力切換は電子スイッチと高性能リレーによる
 ソフトタッチオペレーション。電源ON時の入力を指定
 できるプリセットスイッチ付。





●PRA-2000RGの主な仕様●



■イコライザーアンプ部(PHONO IN〜REC OUT)■

入力感度/入力インピーダンス
PHONO-MC:0.125μV/40Ω
PHONO-MM:2.5mV/47kΩ
最大許容入力
PHONO-MC:25mV(1kHz)
PHONO-MM:500mV(1kHz)
最大出力/定格出力
30V/150mV
全高調波ひずみ
PHONO-MC−REC OUT:0.01%(10V/1kHz)
PHONO-MM−REC OUT:0.005%(10V/20Hz〜20kHz)
CD-1−PRE OUT-1:0.005%(10V/20Hz〜20kHz)
CD-2−PRE OUT-1:0.005%(10V/1kHz)
RIAA偏差
PHONO-MC:30Hz〜20kHz±0.3dB
PHONO-MM:20Hz〜20kHz±0.2dB
SN比(IHF-A)
PHONO-MC:80dB(250μV Input)
PHONO-MM:90dB(2.5mV Input)
SUBSONIC FILTER
16Hz 6dB/oct



■ハイレベルアンプ部■

入力感度/入力インピーダンス
CD-1,TUNER,AUX-1,AUX-2 150mV/20kΩ
CD-2(BALANCED)         150mV/2kΩ
最大出力/定格出力
10V/2V
全高調波ひずみ率
CD-1,TUNER,AUX-1,AUX-2 0.005%/10V(20Hz〜20kHz)
CD-2(BALANCED)         0.005%/1V(1kHz)
周波数特性
CD-1,TUNER,AUX-1,AUX-2 1Hz〜100kHz+0,−3dB
CD-2(BALANCED)         20Hz〜50kHz+0,−3dB
SN比
105dB(IHF-A)
ミューティング
−∞(LED点滅指示)
トーンコントロール
BASS  :±10dB/100Hz
TREBLE:±10dB/10kHz



■総合■

ACアウトレット
非連動1個(700W)
電源
AC100V 50/60Hz
消費電力
29W(電気用品取締法による)
外形寸法
(つまみ類,足の高さを含む)
476W×144H×388Dmm
重量
16.5kg

※本ページに掲載したPRA-2000,PRA-2000Z,PRA-2000ZR
 PRA-2000RGの写真,仕様表等は1981年3月,1984年3月
 1989年2月のDENONのカタログり抜粋したものでデノン株式会社
 に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用
 等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。



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