QL-A7の写真
Victor  QL-A7
D・D PLAYER SYSTEM ¥85,000

1978年に,ビクターが発売したプレーヤーシステム。1976年発売のQL-7Rの上級機,あるい は後継機とも
いえるプレーヤーで,アームのオートアップ機構が追加されているなど,使い勝手も含めて,完成度が高められ
ていました。

ターンテーブル部には,同社の単体製品としても発売されているターンテーブルユニットTT-71(¥42,800)が
搭載されていました。TT-71は,クォーツロックを搭載したDD方式のターンテーブルで,モーターには,1kg-cm
以上の強いトルクをもつDCモーターで,リングマグネットと180スロットの磁性円盤(FGヨーク),180個分の発
電プリントコイル(FG基板)からなる全周積分検出方式のFGサーボシステムを搭載し ていました。ターンテーブ
ルは総重量2.2kgのヘビーウェイトで,慣性質量による安定した回転を実現していました。さらに,水晶発振周
波数をもとにしたクォーツロックは,サンプルホールド型の位相比較回路によってサーボ応答の正確化と敏速化
が図られていました。さらに,システムとしての一体性を高めるために,ターンテーブルユニッ トのスチール製ボト
ムボードに特殊防振コーティングを施し,キャビネットとの結合がいっそう強化されていました。

QL-A7のモーターTT-71ターンテーブルユニット

トーンアームは,一点支持方式の感度とジンバルサポート方式をしのぐ安定性を追求したという「ニュー・ジンバ
ルサポート方式」のトーンアームが搭載されていました。この「ニュー・ジンバルサポート方式」は,仮想一点支
持構造で,4個のベアリングが仮想中心点から等距離に配置され,どの回転方向に対しても各ベアリングにか
かる力と回転角が等しく,一点支持と同様な性能が得られるというものでした。ベース周りが強化され,アーム
高さもゲージが付けられて,より性能が高められていました。

QL-A7のアーム操作部とアーム部

QL-A7には,レコード演奏が終わるとアームが上がり,自動的にターンテーブルがストップする,オート・ストッ
プ・アップ機構が新たに搭載されていました。針先がレコードの内周リード溝に入ると電素子がその位置をキャ
ッチして電磁ソレノイドを駆動し,アームをリフトさせるとともにターンテーブルの回転を止めるようになっていま
した。アームに側圧をかけないフォト・キネティック方式であるため,アームやカートリッジ,レコードに悪影響を
与えない仕組みとなっていました。

ストロボの電源にも水晶の安定した発振周波 数を利用して,正確な速度監視を可能にしていました。また1つ
のパターンで331/3と45回転の両方を見ることができるようになっていました。回転数の切換スイッチと ストッ
プスイッチは,触れるだけで動作するタッチ・センサー方式が採用され,ストップスイッチには,電磁ソレノイ ドを
利用したブレーキ機構が連動し,速やかにかつ滑らかに停止するようになっていました。

QL-A7のキャビネット内部

キャビネットは,ビクター自慢のソリッド積 層構造で,50mm厚のしっかりしたものでした。表面は,鏡面研磨仕
上げのローズウッド調で,美しい仕上げとなっていました。さらに,アーム取付部の空間にNR(Non Resona
-nce)アイアンバーを配して,無共振・無振動設計が徹底されていました。フットは,新構造のドーム・アイソレー
ターで,高さ調整機構が搭載されていました。

以上のように,QL-A7は,単体パーツを 組み合わせた作りのQL-7Rを,さらに改良し,完成度を高めたプレー
ヤーシステムといえるもので,より使いやすく,性能も高められた実力機でした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹 介します。



高性能クォーツに快適な使用感をプラス,
透き通る音質とオート・ストップ・アップ機構


◎全周積分検出方式FGサーボの
 クォーツロックTT-71型搭載。
◎オート・ストップ・アップ機構。
◎タッチ・センサー・コントロールと>
 クィック・ストップ・システム。
◎ミラー仕上げのソリッド積層キャビネット。
◎高感度・高安定ニュー・ジンバル
 サポート・トーンアーム。



●QL-A7型規格●

駆動方式 FG検出クォーツロックDCサーボ・ダイレクト・ドライブ
回転数 331/3,45rpm(タッチ・センサー電子式切換)
ワウ・フラッター 0.025%(WRMS),0.013%(回転部K&K測定法による)
SN比 73dB(DIN-B)
起動特性 1.4sec 1/2回転以内
負荷特性 針圧120gまで0%
ドリフト 0.0001%/h,0.00005%/℃
トーンアーム型式 ニュー・ジンバルサポート・TH方式スタティック・バランス(有効長245mm)
針圧可変範囲 0〜3g(0.25gステップ)直読式
取付けカートリッジ重量 14.5g〜23.5g(シェルを含む)
アーム高さ可変範囲 42.5〜49.5mm
キャビネット仕上げ ミラー仕上げローズウッド調
寸法 481W×169H×398Dmm
重量 14.0kg


※ 本ページに掲載したQL-A7の写真・仕様表等は1979年5月の
 Victorのカタログより抜粋したもので,日本ビクター株式会社に
 著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引
 用等をすることは法律で禁じられていますので,ご注意ください。

 
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