Victor QL-Y7
ELECTRO SERVO PLAYER SYSTEM ¥96,0001979年にビクターが発売したプレーヤーシステム。ビクターもソニーと並んで電子制御アームに熱心だった
メーカーで,このQL-Y7は,電子制御アームのプレーヤーの中でも,当時非常に評価の高かった1台でした。QL-Y7の最大の特徴は,電子制御アーム「EDサーボ・トーンアーム」でした。電子制御アームはアームの
振動を純電子的に検出して,フィードバック制御で逆方向に同じ力を加えてうち消すというもので,「ED・サー
ボ・トーンアーム」は,電子フィードバック回路が水平・垂直軸受けに直結された2組のコアレス・リニアモーター
を駆動してアームの動きをリアルタイムに無接触制御するもので,アーム自身の振動を感知して積極的におさ
えこんでしまうというものでした。機械損失を伴わないためにアームの感度はほとんど損なわれず,低域共振
や外乱によるわずかな不要振動もインサイドフォースも的確にキャンセルし,トレース性能を高めているというこ
とでした。
操作性においてもリモコン感覚のソフトタッチの操作を実現し,ゼロバランスをとった後はアームにノータッチで
アームに関する操作ができるようになっていました。キャビネット前縁のスイッチを押すことでアームが右へ左
へ移動し,離すと止まるという動作により,細かい移動もワンタッチプッシュで簡単にでき,レコードの任意の場
所へ安全に針をおろすようになっていました。オートリターンや途中でのリジェクト,マニュアル操作も自由にでき
るようになっていました。また,針圧とアンチスケーティング,foのQダンプはそれぞれ独立したボリュームにより
連続可変でき,レコードを演奏中に音楽を聴きながらチューニングができるようになっていました。回転系には,クォーツロックの安定度を従来の30倍に高めたというダブル・クォーツ回路を搭載していました。モ
ーターには,回転振動の原因となる鉄芯を除去したコアレスタイプの1.2kg・cmのトルクを持ったDCモーターを
搭載していました。ターンテーブルは,アルミダイキャストの本体に亜鉛ダイキャストの防振リングを付加した,複合構造のNR(Non
Resonance)ターンテーブルを搭載し,異種金属の組み合わせで共振をダンプし,慣性質量を高めた構造になっ
ていました。このターンテーブル部は,構造的にもデザイン的にも何となくデンオンのターンテーブルを思わせるも
のがあったと思うのは私だけでしょうか。
キャビネットは,ビクター伝統の積層構造で,ソリッド材による3層構造の重量級となっていました。表面仕上げは
ビクターのすぐれた木工技術を感じさせる美しく丈夫なミラー仕上げのローズウッド調となっていました。以上のように,QL-Y7は,ビクターが培ってきたすぐれたアナログプレーヤーの技術の蓄積の上に電子制御アー
ムを取り入れ,美しいデザインを持つバランスのとれたプレーヤーとなっていました。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
静寂のクォーツロックに
電子制御アームをプラス,
遙かに深く透き通る音の
エレクトロ・サーボ・プレーヤーです。
◎無共振・無振動の思想を超低域へひろげた
電子制御EDサーボ・トーンアーム
◎操作はリモコン感覚の
快いソフトタッチ・オペレーション
◎高安定ダブル・サーボ・クォーツ回路と
コアレスD・Dモーター
◎複合構造のNRターンテーブル
駆動方式 | FG検出ダブル・サーボ・クォーツ・コアレスDC・ダイレクト・ドライブ |
回転数 | 331/3,45rpm |
ワウ・フラッター | 0.01%(WRMS,回転部K&K測定法) |
SN比 | 78dB(DIN-B) |
起動特性 | 1.2sec 1/3回転以内 |
起動トルク | 1.2kg-cm |
負荷特性 | 0%(針圧170gまで) |
ドリフト | 0.0001%/h,0.00005%/℃ |
回転数偏差 | 0.002% |
トーンアーム型式 | エレクトロ・ダイナミック・サーボ |
有効長 | 245mm |
針圧可変範囲 | 0〜3.0g |
取付けカートリッジ重量 | 14.5〜24g(シェルを含む)24〜38g(別売サブウェイトSW-Y7使用時) |
アーム高さ可変範囲 | 基準値±3mm |
キャビネット仕上げ | ローズウッド調ミラー仕上げ |
寸法 | 480W×177H×436Dmm |
重量 | 12.5kg |
※本ページに掲載したQL-Y7の写真・仕様表等は1981年1月のVictorの
カタログより抜粋したもので,日本ビクター株式会社に著作権があります。
したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じ
られていますので,ご注意ください。
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