TEAC R-666X
AUTO REVERSE STEREO CASSETTE DECK ¥79,800
1984年に,ティアックが発売したカセットデッキ。ティアックは,回転系メカニズムを伴う機器,特に
テープデッキにおいてすぐれた技術をもつブランドとして,高い評価を受けていました。オープンリー
ルデッキ時代から多くの機種を発売し,カセットデッキにおいても,数多くのすぐれた機種を展開して
いました。そんなティアックは1984年に,R-999Xを頂点とするオートリバースデッキのシリーズ「R
シリーズ」を展開し,その中の中級機にあたる機種がR-666Xでした。

R-666Xは,基本的に2ヘッド構成の録再オートリバースデッキで,録再ヘッドは高硬度パーマロイ
ヘッドで,消去ヘッドには,ダブルギャップフェライトヘッドが搭載されていました。
オートリバース機構は,フォワード側,リバース側とも同一のヘッドを使用するヘッド回転式のメカニ
ズムを採用し,このオートリバースメカニズムをA.R.H.S.(Acculign Rotating Head System)
と称していました。



R-666XのA.R.H.S.は,録/再ヘッド・消去ヘッド一体回転式で,本来ミクロンオーダーの精度で固
定すべきヘッドを回転させるために,ティアックのメカ技術が投入されていました。回転軸に,摩擦
係数にすぐれたテフロンコーティングをほどこすことで,高耐久性を確保し,精密アジマス調整スク
リューで,両方向のアジマスを高精度に調整し,両方向の走行特性の均一化を図っていました。そ
して,A・B両面を1つのヘッドで録音・再生することで,A・B両面の音質差を最小限に抑えていまし
た。また,テープエンドの検出センサーには,透過式I.R.(赤外線)センサーを搭載し,高性能メカ駆
動DCモーターとのコンビネーションで,リーダーテープ検出と同時にクイックリバースを行うように
なっていました。オートリバースは,オートコントロール・リバースモードが備えられており,録音時に
はA面→B面のオートリバース,再生時には,A→B→A・・・とリピート動作に自動的に切り換わる合
理的設計となっていました。



走行メカニズムは,キャプスタン専用の高精度DCサーボモーターと,リール専用のDCモーターの,
2モーター構成で,その上にメカ駆動用およびヘッド回転用にDCモーターを搭載した,2+1モー
ターという構成になっていました。完全に独立した3つのモーターにより,回転精度が一段と向上し,
安定したテープ走行を実現するとともに,ソレノイドを使用しないメカ駆動系により,動作音は抑え
られ,ソフト・スムーズ・サイレントの3Sメカニズムとしていました。録音は,RECボタンを押すだけ
のワンプッシュ・レコーディング機構となっており,ワンプッシュで自動的に約4.5秒の無録音部分
を作れるREC MUTEも装備されていました。

ノイズリダクションとして,ドルビーBタイプに加えて,20dBのノイズ低減効果を持つドルビーCタイ
プが搭載され,さらに,dbxが搭載された3NRシステムとなっていました。dbxは,30dB~40dBも
のノイズ低減効果をもち,110dBというダイナミックレンジを実現していました。さらに,dbxエンコー
ドされたレコードに対応したdbxDISCポジションも装備されていました。
テープセレクターは,NORMAL,CrO2,METALに対応し,カセットを装着するだけで自動検出す
るオートテープセレクターとなっていました。
録音レベル調整は,L・R独立のプリセットボリュームが装備され,事前にL・Rのバランス等を調整
しておけば,スライド式のマスターコントロールで調整でき,組み合わせでシビアなレベルセッティン
グも可能で,フェードイン/フェードアウトもしやすくなっていました。

R-666Xのメカニズム・コントロール系は,専用にプログラムされたLSIを2個搭載したマルチCPU
コントロールが搭載されていることが特徴で,リバースデッキならではの多彩な機能を実現していま
した。A・B面を通して両方向に最大15曲も頭出しができるCPS(Computomatic Program Se
-arch),再生中に10秒以上の無信号部分があると自動的に早送りして次の曲から再スタートする
ブランクスキャン,任意の2点間を繰り返し演奏する(A・B両面にわたる2点間も可能)ブロックリピー
ト,曲の頭だけを10秒ずつ再生していくイントロチェックなどの機能を持っていました。



テープカウンターは,4桁のLED表示で,モードスイッチで,テープ走行を分・秒で表示することもで
きるようになっていました。また,CPS操作時には,曲のカウントナンバーを表示するマルチカウン
ターになっていました。レベルメーターは,LEDによる13DOTの-∞~+8dBのワイドレンジ・ピー
クレベルメーターが搭載されていました。

以上のように,R-666Xは,オートリバースデッキとして,しっかりとしたメカニズムを搭載し,ノイズ
リダクションの充実とプログラムLSIによる多彩な機能を実現した,コストパフォーマンスにすぐれた
1台でした。ティアックのデッキ技術が生かされた使いやすいカセットデッキでした。



TEAC R-555
AUTO REVERSE STEREO CASSETTE DECK ¥64,800


R-666Xには,基本的なメカニズム系など主要な部分が同一の弟機として,R-555が発売されて
いました。そして,R-666Xと比べ,いくつかの点で機能面での簡略化がなされていました。

CPS,ブロックリピートが省略され,テープカウンターは4桁カウンターのみとなり,カウンター0000
まで巻き戻してストップするメモリーストップ機能が搭載されていました。ノイズリダクションは,dbxが
省略されていました。そして,R-555には,ブラックに加えシルバーパネルのモデルもありました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



音楽再生の基本を追求した,
R-666XM,R-555。
ティアックのリバース技術,
さらに高次元へ。

◎110dBダイナミックレンジと
 クリアーサウンドの融合。
 3NRシステム。
(R-666X)
◎高精度なクイックリバースを
 実現する。
 Acculign Rotating Head System
◎信頼性の高い
 安定走行を実現する
 2+1モーター,3Sメカニズム。
◎音楽を最大限に楽しめる,
 高性能LSI使用の
 マルチCPUコントロール。

●CPS(Computomatic Program Search)(R-666X)
●イントロチェック。
●ブロックリピート(R-666X)
●ブランクスキャン。
●オートテープセレクター。
●オートコントロール・リバースモード。

◎さらに操作性を高める
 4桁LEDマルチカウンター。
(R-666X)
◎高精度レベルセッティングが可能な,
 3ボリューム,レベルコントロール。

●PLAY/REC,走行方向が一目でわかる,マルチ
 動作インジケーター。
●カウンター(0000)まで巻き戻してストップする,メモ
 リーストップ。(R-555)
●RECボタンを押すだけの,すばやいレコーディン
 グが可能な,ワンプッシュ・レコーディング機構。
●録音中,ワンプッシュで自動的に約4.5秒の無音ス
 ペースを設定するREC MUTE。押し続ければ,
 必要なだけ無音スペースを設定できます。
●2カラー(グリーン:レッド),13dotフルスケール
 LEDピークレベルインジケーター。
●操作性の高い,大型コントロールスイッチ。
●ハーフ・アンダー・コントロールノブ・タイプの
 OUTPUTボリューム。
●留守録音,目覚まし再生に便利な,タイマースタン
 バイ。




●仕様●

トラック形式 4トラック・2チャンネル・ステレオ
ヘッド構成 録音/再生(高硬度パーマロイ)×1
消去(ダブルギャップフェライト)×1
使用テープ C-60,C-90タイプカセット・テープ
テープ速度 4.8cm/s
モーター構成 キャプスタン:DCサーボ・モーター×1 
リール    :DCモーター×1 
メカニズム :DCモーター×1
ワウ・フラッター 0.04%(WRMS),±0.08%W.Peak(EIAJ)
早巻時間 約80秒(C-60テープ)
周波数特性(総合) 30Hz~20,000Hz(30Hz~19,000Hz ±3dB EIAJ):メタル 
30Hz~20,000Hz(30Hz~18,000Hz ±3dB EIAJ):クローム 
30Hz~19,000Hz(30Hz~17,000Hz ±3dB EIAJ):ノーマル
総合SN比
(メタルテープ)
59dB(NR OUT,3%THDレベル,WTD) 
69dB(ドルビーB-NR IN 5kHz以上) 
79dB(ドルビーC-NR IN 1kHz以上) 
91dB(dbx IN 1kHz)(R-666X)
ダイナミック・レンジ 110dB(dbx NR 1kHz,ピークレベル,メタル・テープ)(R-666X)
入力 マイク:0.5mV(適合インピーダンス200Ω以上)
ライン:50mV(入力インピーダンス50kΩ)
出力 ライン:0.5V(負荷インピーダンス50kΩ以上) 
ヘッドホン:最大7.8mW(8Ω)
電源 100V AC,50/60Hz
消費電力 18W(R-666X),17W(R-555) 
外形寸法 432W×112H×284Dmm
重量 4.4kg
※本ページに掲載したR-666X,R-555の写真,仕様表等は1984年7月
 のTEACのカタログより
抜粋したもので,ティアック株式会社に著作権が
 あります。したがって,これらの写真等を
無断で転載・引用等することは
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