OPTONICA RT-9
ELECTRONIC TAPE PROCESSOR ¥220,0001979年にシャープがオプトニカブランドで発売した,高級カセットデッキ。シャープ得意のマイコン
制御を取り入れた先進的な操作性を持ち,ヘッド,走行系にも本格的な音質重視の内容を盛り込
んだオプトニカブランドの最上級機でした。走行系は,クローズドループデュアルキャプスタン方式が採用され,キャプスタン用にはクォーツロ
ックドPLLサーボモーターが搭載され,リール用にはFGサーボモーターが搭載されていました。
ワウ・フラッター0.038%(WRMS・JIS)の安定したテープ走行性能を実現していました。
また,操作系には,LSIフルロジックコントロールが採用され,通常のICを搭載したICロジック回路
に比べて複雑で多くの動作モードに対応できるようになっていました。
ヘッドは,録音・再生用に,録/再コンビネーションDS(デュアルセンダスト)ヘッドが搭載され,耐摩
耗性,高域周波数特性,ダイナミックレンジにすぐれたこのヘッドにより,周波数特性20〜22,000Hz
(メタル),SN比70dB(ドルビーON)を実現していました。
消去ヘッドには,消去性能76dB以上(1kHz)の高精度小窓ダブルギャップフェライトヘッドを搭載して
いました。さらに,第4のヘッドとして,自動選曲専用フェライトヘッドが装備され,いわば4ヘッド構成と
なっていました。ノイズリダクションとしては,ドルビー(Bタイプ)が搭載されていました。また,テープセレクターは,normal
Fe-Cr,CrO2,metalテープの4ポジションが搭載され,特性の微妙な差に応じるため,録音感度,バイ
アスのファインキャリブレーション(微調整ツマミ)が装備されていました。
レベルメーターは,当時はまだ少なかったピークホールド付きのFL方式ピークレベルメーターが搭載され
ていました。RT-9では,それまでのカセットデッキに比べてシャープ得意のマイコン制御を大幅に取り入れたLSIロジ
ックコントロールにより,テープ走行制御,誤動作警告,テープ位置合わせ,テープタルミ除去などのはた
らきが統合的に制御されるようになっていました。また,15曲ランダムに演奏できる自動選曲APMSや
テープカウンターを利用して任意の2点間を記憶させ,取り出し,繰り返し演奏ができるTCMなどの機能
も搭載されていました。
また,当時のデッキとしては珍しい赤外線方式のリモコンが標準装備され,選曲動作を含め,メカニズム
部の操作がリモコンでできるようになっていました。さらに,オーディオプログラムタイマーAD-200T(別
売¥39,800)を組み合わせると,予約した時間に録音やメモリーした曲順での自動演奏,また,テープ
カウンターと並行してテープの再生経過時間,テープの残量時間が秒単位で表示できるようになっていま
した。
以上のように,RT-9は,先進的な内容を持つ高級カセットデッキでした。50個以上の操作スイッチ,ノブ
が並ぶそのフロントパネルには,シャープのこのデッキにかけた熱意が感じられたものでした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
◎テープ走行を安定させ音質を高める
クローズドループデュアルキャプスタン方式
◎軽快,確実に動作するLSIフルロジックコントロール
◎ハイクオリティな音質を実現した
コンビネーションDSヘッド採用の4ヘッドシステム
◎使用テープのバラツキを補正する
録音ファインキャリブレーションシステム
◎15曲ランダムに演奏できる自動選曲装置APMS
◎聞きたい部分だけ聞ける
テープカウンターメモリーTCM
◎APMS,TCM表示に液晶(LCD)ディスプレイ
◎録音/再生の各回路に,ダブルドルビー回路
◎ピークホールドができるFL方式ピークレベルメーター
◎テープ装着時,テープのタルミを一瞬に除去し
ヘッドタッチをよくするテープタルミ取り装置
◎入力オーバーによる生録音の失敗を防ぐ
リミッタースイッチ
◎無信号部分がつくれるオートスペースポーズボタン
◎プログラミングが確認できるキーサウンド方式
◎録音も離れた所からできる赤外線方式リモコン
◎オーディオプログラムタイマーAD-200T(別売)と
シンクロコントロール
トラック方式 | 4トラック2チャンネルステレオ |
録音方式 | 交流バイアス(105kHz) |
消去方式 | 交流消去(105kHz) |
ヘッド | 録音ヘッド(センダスト)
再生ヘッド(センダスト) 以上コンビタイプDSヘッド 消去ヘッド(ダブルギャップフェライト) APMSセンシングヘッド |
モーター | クォーツロックPLLサーボモーター(定速)
2スピードFGサーボモーター(高速) |
テープ速度 | 4.8cm/sec |
早送り時間 | 120秒(C-60) |
巻戻し時間 | 120秒(C-60) |
ワウ・フラッター | 0.038%(WRMS・JIS) |
周波数特性 | 20〜22,000Hz(メタル)
20〜20,000Hz(Fe-Cr) 20〜20,000Hz(クローム) 20〜18,000Hz(ノーマル) |
SN比 | 70dB(ドルビーON・Fe-Cr)5kHz以上
60dB(ドルビーOFF・Fe-Cr) |
歪率 | 1.0% |
入力端子 | マイク:最小入力レベル0.28mV/6.8kΩ
ライン:最小入力レベル70mV/50kΩ AUX:最小入力レベル70mV/50kΩ |
出力端子 | ライン:出力レベル1,000mV/50kΩ
ヘッドホン:出力レベル125mV/8Ω |
録音・再生DIN端子 | 規定入力:0.1mV/10kΩ
規定出力:1,000mV/50kΩ |
使用半導体 | IC:9個,トランジスタ:137石,ダイオード:99個
LED:15個,LSI:1個 |
電源電圧 | AC100V 50/60Hz |
消費電力 | 43W |
外形寸法 | 430W×371D×144Hmm |
重量 | 12.5kg |
※本ページに掲載したRT-9の写真,仕様表等は1979年11月
のOPTONICAのカタログより抜粋したもので,シャープ株式会社
に著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載・
引用等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。
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