RX-5000/RY-5500の写真

MICRO RX-5000/RY-5500
HIGH  FIDELITY TURNTABLE SYSTEM
RX-5000 TURNTABLE UNIT ¥300,000
RY-5500 MOTOR UNIT     ¥130,000

1979年にマイクロが発売したアームレスプレーヤーシステム(あるいはターンテーブルシステム)。
一時DDX-1000DQX-1000DD-100などダイレクトドライブ方式のプレーヤーにも力を入れ
ていたマイクロが,再びベルトドライブ等のリモートドライブ方式に回帰し,持ち前の精密金属加工
技術を生かして作り上げた重量級のシステムで,後のSX-8000シリーズ等の超弩級機の原型と
なったともいえる1台でした。
この時期,アナログプレーヤーの主流はダイレクトドライブ方式となり,クォーツロックをはじめとする
高精度な電子制御技術ともあいまって,特性上,限界的とも言える正確な回転が実現されていまし
た。しかし,ワウ・フラッター等の数値で表された特性とは別に,重量のあるターンテーブルを回転さ
せたときの回転エネルギーの大きさ=慣性モーメントによる自然な回転エネルギーが静かでクリー
ンな再生音につながることも知られており,ターンテーブルの慣性質量を重視したプレーヤーも登場
し始めていました。マイクロはそういった方向性を持った最右翼ともいえるブランドで,その方向性を
具現化したのがRX-5000/RY-5500のペアでした。
ターンテーブルは,直径31cm,厚さ5.5cmという堂々たるもので,比重が大きく内部損失の大きい
砲金(銅85%,錫15%の合金)製のものが搭載されていました。重量は16kgに及び,慣性モーメント
2,700kg・cm2という巨大ともいえる回転エネルギーの蓄積が実現されていました。
ターンテーブルは,高精度な機械加工が行われ,構造的にレコードをダイレクトに置くようになってい
ました。ゴムシートなどを介在させず,カートリッジの針先の応答性を高めようという設計でした。
RX-5000/RY-5500の分解写真

重量級のターンテーブルを支える軸受けには,16mm径のステンレスシャフトが搭載されていました。
ステンレスシャフトは硬化熱処理,研磨を経たあと軸受けとの一対による組み合わせでラッピングを
行い鏡面仕上げが行われていました。シャフト表面に接する軸受け側は特殊合金ベアリングを採用
していました。このベアリングは,シャフトの回転にともなって油膜に鉛の分子が均一に析出され非常
に円滑な回転が持続する新素材で,SN比の飛躍的な改善がなされていました。シャフト末端には,
金属より硬度が大きく耐摩耗性にすぐれたセラミックボールが使用され,支点としての高い機械的強
度・精度が実現されていました。シャフトとベアリングの間はオイルによって充満されたオイルバス方
式となっており,油切れもなく,ターンテーブルの回転にともなう共振に対してのダンプ作用もあり,こ
こでもSN比の向上が実現していました。シャフトメカニズムは,真鍮材でできた重量4kgの大型ハウ
ジングに収納され,重量級のターンテーブルをしっかりと支える構造となっていました。フレームへの
ハウジングの取り付けには,巨大ナット(M70)と4本のビスを併用して締め付ける方法がとられ,フ
レームとの一体化が図られていました。
重量級の回転メカニズムを支えるフレームは素材に亜鉛を使用し,構造上強度の高い設計となって
いました。脚部は真鍮製で,フレームと脚部を合わせた総重量は22.2kgにも達していました。また,
フレームの水平設置のため,4本の各脚は高さ13mmの範囲で調整ができるようになっていました。
モーターは,FGサーボのDCモーターが搭載されていました。重量級ターンテーブルの回転エネルギー
に対応した質量とするために,重量級の亜鉛フレームを採用し,駆動モーター,プーリーを堅牢に固定
した構造となっており,モーター部の総重量は12kgに達していました。
モーターの回転は,33・1/3回転時666rpm,45回転時900rpmと20倍速に設定されており,±6%
のピッチコントロールも装備されていました。
ターンテーブルに回転を伝えるための糸には,引っ張り強度が非常に高く,破断時伸度も小さいなど物
性的にドライブ糸用に適したアラミッドが使用されていました。従って,初期特性が長く持続し,回転伝
達上のロスも極めて少なく抑えられていました。ドライブ用糸の構造は,12.1μの繊維を134本撚り
合わせたもので,24.5kgもの引っ張り強度を実現していました。
以上のように,RX-5000/RY-5500は,まさに超弩級のターンテーブルシステムとして,マニアの要
求に応えた1台でした。その重量級でしっかりとした精度の高い作りはマイクロならではのもので,そ
のメカニズムの性能がもたらした安定化と情報量の溢れるような再生能力は凄いものでした。そして,
この後,SX-8000SZ-1にいたる歩みのひとつのスタート 地点ともいえる名機でした。

以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



慣性モーメント2,700kg・cm2
ハイリアリティ再生への確かな始動

◎厖大な慣性モーメントを誇る
 ターンテーブル
◎極太・高剛性の
 ターンテーブルシャフト
◎回転メカニズムを支える
 亜鉛製フレーム




●主な規格●



●ターンテーブルユニット/RX-5000●

ターンテーブル 砲金製16kg,直径310mm,厚55mm
ターンテーブルシャフトアセンブリー 4.14kg
フレーム 亜鉛製22.2kg
312mm×312mm
重量 42.34kg



●モーターユニット/RY-5500●

電源 AC100V(50/60Hz)
消費電力 12W
モーター FGサーボDCモーター
モーター回転数 33・1/3rpm時666
45rpm時900
回転数調整範囲 ±6%
寸法 180W×240D×114Hmm
重量 12kg
※本ページに掲載したRX-5000/RY-5500の写真・ 仕様表等
は1981年のMICROのカタログより抜粋したもので, マイクロ精
機株式会社に著作権があります。 したがって,これらの写真等
を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じられていますので,
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