ALPINE/LUXMAN S-105
3WAY SPEAKER SYSTEM ¥90,000
アルプス電気とラックスが1986年に作ったニューブランドALPINE/LUXMANが同年に発売したスピーカー
システム。オーソドックスな3ウェイのブックシェルフ型で,デジタルオーディオ時代に対応し,ユニットやエンク
ロージャー等にしっかり新しい技術や物量を投入したスピーカーでした。

ウーファーは,32cm口径のコーン型で,カーボン繊維をパルプに混抄した軽量で剛性の高いカーボングラファ
イトコーンを採用していました。駆動系には,38cm口径のユニットに匹敵する大型のマグネットを使用し,ダン
ピングの効いたしっかりした低域レスポンスを実現していました。

ミッドレンジは,6.5cm口径のドーム型で,振動板(ダイアフラム)には「α-Pチタン」が使用されていました。
「α-Pチタン」という名称から,α相(最密立方晶)の純チタンといったものと考えられ,室温状態での純度の高
いチタンの通常の結晶構造で,ヤング率が高く,熱による変性も少ないというチタンの特性が生かされていたと
考えられます。さらに,ダイアフラムとボビンが一体化された構造で,エネルギー損失の少ないすぐれたトラン
ジェント特性を実現していました。



トゥイーターは,2.5cm口径のドーム型で,ミッドレンジ同様に振動板(ダイアフラム)には「α-Pチタン」が使
用され,ダイアフラムとボビンが一体化された構造となっていました。
各ユニットのマグネットは,防磁処理マグネットが採用され,画面に影響を与えず,AV用途にも対応していま
した。


ネットワークは,エンクロージャー内にキャビティ(気密室)を設け,そこにアルミダイキャストフレームにしっか
りと固定して設置されていました。これを「アイソレーテッド・ネットワーク」と称し,スピーカーの音圧からネット
ワークを完全遮断して,音圧・振動がネットワークに与える悪影響を抑えると同時に,ネットワークコイルとス
ピーカーマグネット間の磁気の相互干渉の最も少ない位置に設置されていました。


エンクロージャーは,密閉型で,コーナーRカットをつけたラウンドバッフル型が採用され,音の回析効果に
よる低音域のバッフル・サイド附近での音の乱れを抑えていました。内部補強および各部の材質も厳選して
エンクロージャー特有の音色を抑えていました。さらに,アイソレーテッド・ネットワークによるエンクロージャー
構造がキャビネット内の定在波の発生も抑えていました。

以上のように,S-105は,オーソドックスな3ウェイのブックシェルフ型スピーカーとして,しっかりとした作り
を実現していました。スピーカーではあまり製品を発表していないラックスの中では珍しい本格的スピーカー
システムでした。外観のハードなイメージ同様に,低域から高域までクリアなメリハリのある音をもっていまし
た。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



音楽と映像のスケールが変わる。
プロ気分のサウンド・モニター。

◎あらゆるミュージック・ソースを表現しきる。
 「アイソレーテッドネットワーク」
◎CD再生に威力を発揮。「高耐入力・高能率ユニット」
◎音質重視の入念なデザイン。
 「ラウンド・バッフル・エンクロージャー」
◎すぐ横でAV画像うつくしい。
 「防磁処理マグネット採用」




●仕様●

形式  密閉型3WAY,防磁タイプ 
周波数特性 30Hz~30kHz 
最大入力  100W 
出力音圧レベル  92dB/W/m 
インピーダンス  6Ω 
クロスオーバー周波数  600Hz,5kHz 
ユニット構成  32cmカーボングラファイト・コーン形ウーファー
6.5cmα-pチタンドーム形スコーカー
2.5cmα-pチタンドーム形ツィーター 
外形寸法 380W×690H×320Dmm 
重量  28.0kg 
※本ページに掲載したS-105の写真,仕様表等は1986年4月
 のALPINE/LUXMANのカタログより抜粋したもので,ラックス
 株式会社,アルパイン株式会社に著作権があります。したがって
 これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じら
 れていますのでご注意ください。

                        
 

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