Technics SB-6000
2WAY SPEAKER SYSTEM ¥65,000
1976年に,テクニクス(現パナソニック)が発売したスピーカーシステム。テクニクスは,松下電器の社
内ブランドで,1965年に「テクニクス1」からスタートし,もともとスピーカーでスタートしたブランドでした。
それだけに,それ以降も,技術的にも個性的なスピーカーを発売していきました。そうした中,1975年
には,位相特性にメスを入れたリニアフェイズスピーカー,テクニクス7(SB-7000)を発売し,注目を
集めました。その直系の弟機として発売されたのがSB-6000でした。

SB-6000の最大の特徴は,「リニアフェイズ=平坦な位相」の名の通り,音圧周波数特性の平坦化
だけでなく,従来きわめて困難とされていた位相周波数特性の平坦化を図った「リニアフェイズ設計ス
ピーカー」であることでした。テクニクスは,B.B.D.素子を用いた遅延装置により,従来非常に困難で
あったスピーカーユニットのみの位相周波数特性の測定を行い,これにもとづいて,スピーカーユニット
及びネットワークの改善とともに,ユニークな階段状のスピーカー配置により平坦な位相特性を実現し
ていました。SB-6000では,クロスオーバーが1箇所だけという2ウェイ構成が採用され,音のつなが
り,バランスなどシンプルさを生かした構成となっていました。

使用ユニットには,非常に広帯域のものを使用し,それぞれのユニットの音圧特性,位相特性がフラッ
トで低歪な部分だけを使用することで,システム全体の音圧,周波数特性の平坦化が図られていまし
た。
ウーファーは,30cm口径のコーン型で,コーン紙にはアラミド繊維を混抄してピストンモーション域を
拡大し,中高音域の歪が低減されていました。
トゥイーターは,3.2cm口径のドーム型で,ダイアフラムはシルククロスをベースに発砲ウレタンを加
熱成型したもので,低歪を実現していました。さらに音波の反射回析作用を利用したディフラクションイ
コライザーを設け,高音域における音圧周波数特性の一層の平坦化が図られていました。

ネットワークは,ネットワーク単体の位相周波数特性の平坦化だけでなく,ネットワークに接続される
スピーカーユニットを含んだシステム全体の位相周波数特性の平坦化が図られたものが搭載されて
いました。ウーファーに-12dB/oct,トゥイーターに誘導m形と-12dB/octを組み合わせたフィル
ター2回路を用いたネットワークが採用されていました。

ユニットの配置は,各ユニットの音響中心が側面から見て同一線上に並ぶように配し,さらに補正の
ために多少位置を調整して配置され,これが外観上の個性となっていました。また,各ユニットを縦
一列に配列し,水平方向の指向特性を整え,そして,各ユニットをできる限り近接配置させ,垂直方
向の指向特性も改善させ,リスニング位置による音質変化を極力抑えていました。

エンクロージャーは,フロアタイプのバスレフ形で,スリット型バスレフ動作のウーファーと,高能率トゥ
イーターで93dB/W(1m)の高能率と,瞬間最大入力100Wの高耐入力設計で,アンプに広く対応
できるシステムとして設計されていました。

以上のようにSB-6000は,名器「テクニクス7」直系のリニアフェイズスピーカーとして,また2ウェイ
のシンプルな良さを生かした設計で,別の魅力を持ったスピーカーシステムとなっていました。見た目
のモニター調から想像するよりもキツさや癖の少ない音で,暖かめの音を持つ1台でした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



SB-6000は,Technics7の開発設計
ポリシーを受けつぐとともに,クロスオーバ
が1箇所だけという特長をフルに生かした,
30cmウーハとドーム形ツイータの2ウェイ
システムです。原音直接比較法による音質
検討を経て,音のつながり,バランスのす
ぐれたシステムが完成しました。




●SB-6000主な定格●

インピーダンス 6Ω
瞬間最大入力 100W
出力音圧レベル 93dB/W(1.0m)
使用スピーカ ウーハ:30cmコーン形
ツイータ:3.2cmφドーム形
クロスオーバ周波数 1.5kHz
外形寸法 425W×846H×340Dmm(ネット付)
重量 28.0kg(ネット付)
※本ページに掲載したSB-6000の写真,仕様表等は1976年12月
 のTechnicsのカタログより抜粋したもので,パナソニック株式会社
 に著作権があります。したがってこれらの写真等を無断で
転載,引用
 等をすることは法律で禁じられていますのでご注意
ください。
                        
 

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