Scepter1001の写真
ONKYO  Scepter1001
3WAY SPEAKER SYSTEM ¥150,000

1993年にオンキョーが発売したブックシェルフ型スピーカーシステム。この時期には既に
珍しくなりつつあった本格的な作りの大型の3ウェイブックシェルフ型システムで,ユニット
キャビネットともしっかりした作りの力作でした。

ウーファーは,30cm口径のコーン型で,振動板には「バイオクロスコーン」を採用していま
した。これは,北極圏に近い高緯度地域で産出された密度の高い木材パルプに,天然セル
ロースの中でも最も結晶化度の高いホヤのセルロースを精製して混抄することで,軽量,高
剛性,高内部損失,高気密性といった振動板として重要な諸特性を高度にバランスさせた
ものでした。エッジ材には,直線性のすぐれたハイ・リニアリティ・エラストマー(常温で弾性を
示す高分子化合物・一種の合成ゴム)を新開発して採用していました。
磁気回路には,オンキョーが提唱していたMDCT(磁気歪低減技術:磁気回路で発生する
磁気歪をポールピースやトッププレートの形状の改善,銅ショートリングや銅キャップの採用
により低減するもの)を採用していました。さらにこれを推し進めて磁気回路を大型化したショ
ートボイスコイルを搭載し,ボイスコイルが常に均一な磁束密度の中で振幅されるように設計
され,通常のロングボイスコイルに比べ,分解能が高く歪の少ない駆動を実現していました。

Scepter1001のスピーカーユニット

スコーカーは,8cm口径のドーム型ユニットで,振動板とボイスコイルを一体構造としたアル
ミニウム・マグネシウム合金ダイヤフラムを採用していました。一体構造としたことで,振動板
とボビンの間に接着剤等が存在しないため,音楽信号に対する追従性が高められ,高剛性と
軽量を両立していました。磁気回路には,ウーファー同様にMDCTの技術が投入されていま
した。
振動板を保護するパンチングネットはそれ自体磁性体であることから,磁気回路の一部になっ
て本来磁気キャップに集中すべき集中すべき磁束が前面に多く飛び出て音楽信号が入力され
たときに発生する交流磁束と干渉を起こして歪を生じさせます。これを防ぐために,パンチング
ネットに小型サマリウムマグネットを取り付け,振動板前面に磁束が通過するのをキャンセルし
ていました。また,このキャンセルマグネットを制振性のある素材でサンドイッチすることで,パン
チングネットの鳴きを抑える働きもしていました。

トゥイーターは,2.5cm口径のドーム型で,スコーカーと同様に,振動板とボイスコイルを一体
構造としたアルミニウム・マグネシウム合金ダイヤフラムを採用していました。
磁気回路には,ウーファー同様に,銅ショートリングを使用したMDCT技術を使用していました。

Scepter1001の内部構造

キャビネットは,重量級の強固なものとなっていました。前面バッフルは,硬度が高く,響きのよい
針葉樹系MDF(ミディアム・デンシティ・ファイバーボード)を使用し,この前面バッフルと側板は,
厚さ50mmという板厚で高剛性なキャビネットを形作っていました。さらに,内部の響棒や補強に
よって響きの適度な調整が施されていました。前面バッフルは50mmという板厚を生かして半径
55mmという大きなラウンドを持たせたラウンドバッフルとなっていました。そして,ユニット間の
相互干渉を抑えるため,前面バッフルの裏面の各ユニット固定部の間にスリットを設けた,アイ
ソレート・マウント方式が採用されていました。また,分厚く強度の高い側面を生かして,底面の
接地は側板のみで前後バッフルと底板は浮かせた状態になっており,接地面には良質なフェル
トが貼られていました。このような強靱な凝ったキャビネットもあり,総重量はこのサイズにして
49.5kgにも達していました。

ネットワークは,大型のコイル,フィルムコンデンサーなど高品質なパーツが投入され,ウーファー
スコーカー,トゥイーターそれぞれの帯域別に3分割配置されて相互誘導が排除されていました。
また,ネットワーク用パーツ,配線材とも防振対策がしっかりと施されていました。

ネットワークのパーツ群スピーカーターミナル

スピーカーターミナルには,バナナプラグ対応の金メッキ真鍮削り出しターミナルが搭載されてい
ました。これを,従来のように,樹脂成形ターミナルベースに取り付けるのではなく,裏板の中でも
強度が高く,振動の影響を受けにくい箇所に直接取り付けられ,振動による音質への影響を抑え
ていました。

以上のように,Scepter1001は,オンキョーが「セプター」の名を冠するだけあって,各部に入念
な設計が施され,このころ既に多くなっていたコンパクトスピーカーとは一線を画す,歪みが少なく
クリアでダイナミックな音を実現し,使いこなしがいのある高性能スピーカーとなっていました。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



Accustic Naturality
朗々たる響きの中から,
音楽のディテールが
浮かび上がる。


すばらしい演奏に出会ったときに湧き起こるあの感動をご家庭でも
味わっていただきたい・・・。これが私たちのスピーカー作りの基本
ポリシーです。音楽は時々刻々と変化しながら,瞬間に現われ,瞬
間に消えていく,時間の芸術といわれますが,その音の中には,演
奏家たちのもてる限りのテクニックを駆使した音楽表現や情感,ホー
ルにいおける雰囲気や音場感など様々な要素が,現在の高度な技
術をもってしても測定し切れないほど膨大な情報として含まれていま
す。この多くの情報を可能な限り再現するため,不必要なものを付け
加えず,必要なものを失わないという思想を貫きました。このような背
景から生まれたScepter1001のアコースティックな自然な響きと表
情豊かなサウンドはきっと聴く人の心に感動と安らぎを与えてくれる
でしょう。




●主要定格●

形式 3ウェイ・バスレフ型
インピーダンス 4Ω
最大入力 250W(EIAJ)
出力音圧レベル 89dB/W/m
再生周波数帯域 25Hz〜40kHz
クロスオーバー周波数 300Hz,3kHz
使用スピーカー 30cmバイオクロスコーン・ウーファー
8cmアルミマグネシウム合金ドーム・スコーカー
2.5cmアルミマグネシウム合金ドー・ツィータ
外形寸法 390W×700H×421Dmm(サランネットを含む)
重量 49.5kg

※本ページに掲載したScepter1001の写真,仕様表等は
 1993年10月の ONKYOのカタログより抜粋したもので,
 オンキョー株式会社に著作権があります。したがってこれら
 の写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で禁じら
 れていますのでご注意ください。

                        
 

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