Technics SL-1300
DIRECT DRIVE AUTOMATIC PLAYER SYSTEM ¥69,800
1974年に,テクニクスが発売したプレーヤーシステム。1970年に世界初のD.D.(ダイレクト・ドライブ)方式の
ターンテーブルSP-10を開発したテクニクスは,
DDプレーヤーのオリジネーターとして,より使いやすくコンパ
クトなプレーヤーとして,1972年にSL-1200を発売し,バランスのとれた設計は高い評価を受け,その後改
良を受けながらロングセラーモデルとなっていきました。このSL-1200の基本レイアウトをベースに,よりコン
パクト化(薄型化)を図り,日本で初めてDDプレーヤーにフルオート機構を搭載した画期的な1台でした。

モーターは,テクニクスがD.D.方式のために開発した「超低速電子整流子モーター」と称するDCモーターを搭
載していました。SN比60dB,ワウ・フラッター0.03%の性能を半永久的に持続できると,テクニクスはその
性能の安定性の高さを誇っていました。SL-1300では,モーターの回転部をターンテーブルと一体構造とし,
固定部をケースと一体構造としていました。これにより,ケース,モーター,ターンテーブルの積み重ね構造が
不要となり,薄型化が実現されるとともに,信頼性,性能の向上も実現されていました。
速度切換は電子式で,33・1/3,45rpmそれぞれで10%の範囲で速度の微調整ができるようになっていまし
た。



ターンテーブルは,直径33cm,重量1.65kgの大型のもので,精密に重量バランスがとられ,慣性質量
により,トルク変動の影響を抑え,滑らかな回転を実現していました。ターンテーブルのエッジには傾斜角
がつけられ,傾斜面にストロボを刻んだそのデザインは,当時のテクニクスのプレーヤーに共通する一つ
の特徴となっていました。このターンテーブル脇のストロボイルミネーターにより,回転数の微調整が正確
に行えるようになっていました。また,このエッジ部の傾斜角により,レコードの着脱が容易になるという利
点もありました。

トーンアームは,スタティックバランス方式のユニバーサルS字型トーンアームで,トーンアーム軸受部には
精密ピボットベアリングを用いた高感度ジンバルサスペンション方式を採用していました。適切な実効質量
の設定やオート機構の精密・軽量化により,高いトレーシング性能が確保されていました。ヘッドシェルに
は,ダイカスト製ヘッドシェルを搭載し,端子は金メッキ処理が施されていました。

フルオートプレーヤーであるSL-1300は,レバーの操作だけで,スタート,ストップが可能で,オート,マ
ニュアルの切り換えも不要で,併用できるようになっていました。オートスタート機構は,レコードサイズを
セットしてスタートすると,静かにレコードの導入溝に針先が降下し,安全に気を遣わずに使えるプレー
ヤーとなっていました。ツマミの数字に合わせて1~5回と無限回,自動的に反復演奏できるメモリピート
機構も搭載していました。また,演奏途中で,アームのアップ・ダウンがマニュアルでできる,オイルダンプ
式のキューイングレバーも装備されていました。

コンパクトで,より薄型化されたアルミダイカスト製のキャビネットは堅牢で,脚部のインシュレーターに施
された振動対策により,高い耐振性を備えていました。ダストカバーは着脱自在で,どの角度でも止まる
フリーストップ式になっていました。

以上のように,SL-1300は,コンパクトな筐体にバランスのとれた設計が収められたプレーヤーシステ
ムでした。大げさでないコンパクトなプレーヤーが,安定した再生性能と使いやすさを併せ持っていたの
も,D.D.プレーヤーのオリジネーターテクニクスの高い技術力を示すものでした。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



D.D.の先駆者テクニクスの
ノウハウを積み重ねて生まれた
オートマチックD.D.プレーヤ。
D.D.の高性能を手軽な操作で
楽しんでいただけます。

◎高性能と信頼性をさらに向上させる独自の一体構造。
◎331/3・45rpm単独で回転速度調整可能です。
◎SN比60dB(IEC179B)
 ワウ・フラッタ0.03%(W.R.M.S.)
◎スタート・カットはレバー操作で可能。自動・手動は
 切換え不要の併用式。操作性にすぐれたフルオート。
◎ツマミの数字に合わせて1~5回と無限回,自動的に
 反復演奏できる(メモリーリピート)機能を備えています。
◎動作表示ランプ兼用のプリズム式ストロボイルミネータ。
◎ハイコンプライアンスカートリッジとの組合わせに,すぐ
 れたトレース性能を発揮するトーンアーム。
◎脚部はオーディオインシュレータを内蔵しています。




●SL-1300主な定格●

ターンテーブル 33cmアルミダイカスト,自重1.65kg
モータ 超低速電子整流子モータ
回転数 331/3および45r.p.m.
回転数微調整範囲 調整範囲10%
ワウ・フラッタ 0.03%(W.R.M.S.)
SN比 60dB(IEC-B),70dB(DIN-B)
トーンアーム ユニバーサルS字形パイプアーム,針圧直読式
スタティックバランス形,ジンバルサスペンション方式
アンチスケーティングフォースコントロール装置
オイルダンプ式キューイングつき
針圧調整範囲 0~3g 直読可変
適用カートリッジ重量 4.0~8.5g
8.5~13g(補助ウェイト使用時)
消費電力 4W
外形寸法 453W×139H×366Dmm 
重量 9.4kg 


Technics SL-1300MK2
DIRECT DRIVE ATUOMATIC PLAYER SYSTEM ¥105,000
1978年に,テクニクスが発売したプレーヤーシステム。その型番が示すとおりSL-1300の2代目
モデルですが,内容的には別モデルといえるほど大きく強化・改良されていました。

最大の強化点は,クォーツロックの採用でした。ターンテーブルをブラシレスDCモーターでダイレク
トドライブするD.D.方式に新たに水晶発振器を基準信号に用いたサーボにより,より高精度な回転
を実現していました。クォーツロックのための3000素子を越える電子回路を4個のICに凝集するな
ど,徹底した回路のIC化で回転数偏差±0.002%という高精度・高信頼性を実現していました。
また,±9.9%まで0.1%刻みの微調整が可能になっており,199ピッチのすべてをクォーツロッ
クできるようになっていました。高精度な回転はそのままで,微調整量が発光ダイオードのデジタル
表示ディスプレイで表示されるようになっていました。
ターンテーブルは,直径33cmで外部にテーパーがある形状は同一ながら,2.5kgとより重量が大
きくされ慣性質量も大きくなっていました。そして,クォーツロックの搭載に伴い,回転精度を見る外
周部のストロボはなくされていました。

トーンアームは,スタティックバランス形S字パイプアームのユニバーサル形であるのは変わりませ
んでしたが,各部に改良が施されていました。水平・垂直回転部の軸心が一点で交差する理想的な
構造・ジンバルサスペンション方式が継承され,改良により初動感度7mgを実現していました。カー
トリッジへのシビアな対応性を高めるために,6mmの高さ調整機構も装備されていました。ダイカス
ト製ヘッドシェルには,オーバーハング調整に便利なカーソルが付けられていました。
フルオート機構は,リピート機構が1~6回まで,無限回へと機能がわずかにアップしていました。

薄型で堅牢なアルミダイカスト製キャビネットは継承され,アームとターンテーブル,モーター部はキャ
ビネットから適切な粘弾性材と金属スプリングによるインシュレーターでバランス良くフローティング
したメインベースに搭載し,さらにキャビネットも防振性にすぐれたインシュレーターで支持するという
ダブルインシュレーター機構を搭載することで,外部振動に対する遮断・吸収特性を追求した構造と
なっており,安定した静かな再生特性を実現していました。

電源スイッチ,スタート,ストップ,回転数切り換え,回転数微調整,表示部などを前面に集中させた
新しいデザインが採用され,使いやすくなっていました。そして,その操作部,表示部の分だけわず
かに2cmほどキャビネットの奥行きが大きくなっていました。

以上のように,SL-1300MK2は,D.D.プレーヤーとしてより進化した内容を持ち,音楽を聴く道具
として使いやすく安定した性能を実現した完成度の高い1台でした。
また,オートリターン,オートストップに機能を絞ったオートプレーヤーのSL-1400MK2とキューイン
グレバーでの操作のみに絞ったマニュアルプレーヤーSL-1500MK2も弟機として発売されていま
した。



以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



レコード音楽に個性あるアプローチを実現
クォーツDDの新しい扉を開いたプレーヤ

単に回転精度の問題でしかなかったピッチが,今,微妙に揺れ動く音楽の,感
情表現のステップに変わりました。SL-1300MK2シリーズは,199ポイントもの
クォーツピッチコントロールを実現。リスナーの好みの表情を鮮やかに展開します。




●主な定格●

  SL-1300MK2 SL-1400MK2  SL-1500MK2 
主なファンクション オートスタート・オートストップボタン
回転数切換ボタン
メモリーリピート(1~6,R=無限回)
ピッチコントロールボタン
回転数ピッチデジタル表示
レコードサイズセレクタ
アーム高さ調整機構
オート機構カットボタン
スタート・オートストップボタン
回転数切換ボタン
ピッチコントロールボタン
回転数ピッチデジタル表示
アーム高さ調整機構
オート機構カットボタン 
スタート・ストップボタン
回転数切換ボタン
ピッチコントロールボタン
回転数ピッチデジタル表示
アーム高さ調整機構
   ターンテーブル部
駆動方式 ダイレクトドライブ  ダイレクトドライブ ダイレクトドライブ
駆動モータ ブラシレスDCモータ  ブラシレスDCモータ  ブラシレスDCモータ
制御方式 クォーツフェイズロックドコントロール  クォーツフェイズロックドコントロール   クォーツフェイズロックドコントロール  
ターンテーブル アルミダイカスト製
直径33cm,重量2.5kg 
アルミダイカスト製
直径33cm,重量2.5kg 
アルミダイカスト製
直径33cm,重量2.5kg 
回転数 331/3・45rpm  331/3・45rpm  331/3・45rpm 
回転数微調整 ±9.9%以内(0.1%ステップ)  ±9.9%以内(0.1%ステップ)  ±9.9%以内(0.1%ステップ) 
起動トルク 1.5kg・cm  1.5kg・cm  1.5kg・cm 
起動特性  0.7秒で定速回転(331/3rpm時)  0.7秒で定速回転(331/3rpm時)   0.7秒で定速回転(331/3rpm時)  
ブレーキ機構  電子ブレーキ  電子ブレーキ  電子ブレーキ 
負荷変動 1.5kg・cm以内0%  1.5kg・cm以内0%  1.5kg・cm以内0% 
回転数偏差 ±0.002%以内  ±0.002%以内  ±0.002%以内 
ワウ・フラッタ  0.025%W.R.M.S.(JIS C5521)  0.025%W.R.M.S.(JIS C5521)  0.025%W.R.M.S.(JIS C5521) 
SN比  78dB(IEC98A weighted)  78dB(IEC98A weighted) 78dB(IEC98A weighted) 
トーンアーム部
形式  ユニバーサルS字形
スタティックバランス
ジンバルサスペンション方式 
ユニバーサルS字形
スタティックバランス
ジンバルサスペンション方式 
ユニバーサルS字形
スタティックバランス
ジンバルサスペンション方式 
回転軸感度  7mg(水平,垂直初動感度)  7mg(水平,垂直初動感度)  7mg(水平,垂直初動感度) 
アーム高さ調整  6mm  6mm  6mm 
針圧調整範囲  0~3g  0~3g  0~3g 
シェル重量  9.5g  9.5g  9.5g 
適用カートリッジ重量  5~11g  5~11g  5~11g 
総合   
電源  AC100V 50/60Hz  AC100V 50/60Hz  AC100V 50/60Hz 
消費電力  11W  11W  11W 
外形寸法  453W×145H×384Dmm  453W×145H×384Dmm  453W×145H×384Dmm 
重量  11.8kg  11.8kg  11.5kg 
※ 本ページに掲載したSL-1300,SL-1300MK2,SL-1400MK2
 SL-1500MK2の写真・仕様表等は1979年10月のTechnicsのカ
 タログより抜粋したもので,パナソニック株式会社に著作権があります。
 したがって,これらの写真等を無断で転載,引用等をすることは法律で
 禁じられていますので,ご注意ください。

 
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