Technics SL-MA1
QUARTZ D.D. FULL AUTOMATIC PLAYER SYSTEM
                                 ¥59,800

1986年に,テクニクス(現パナソニック)が発売したプレーヤーシステム。テクニクスは,1970年に世界初の
D.D.(ダイレクト・ドライブ)方式のプレーヤーを発売したブランドで,それだけに,DDプレーヤーの分野でコスト
パフォーマンスにすぐれた機能的な製品群を発売していました。そうしたテクニクスがオーソドックスともいえる
スタイルの中に,最新鋭のアームを搭載して発売した中級機がSL-MA1でした。

SL-MA1は,フルオートプレーヤーで,アームには新開発の電子駆動トーンアームを搭載していました。垂直
水平駆動用モーターを1つにした,独自のD.D.アームコントロールモーターが搭載されていました。演奏状態で
は,アーム部に駆動用モーターの負荷がかからない設計となっており,モーター駆動のフルオートアームなが
ら,マニュアル方式のアームと変わらない高感度アームに仕上げられていました。アーム軸受けには,初動感
度7mgという4点支持構造高感度ジンバルサスペンションが採用され,モーター駆動を充分に活用したインサ
イドフォースキャンセラー機能が搭載されていました。

SL-MA1の電子制御フルオート機構は,レコードをターンテーブルに載せ,スタートボタンを押すだけで,レコー
ドの有無,レコードサイズを自動検出し,回転数も自動設定され,演奏開始をし,演奏が終わればターンテーブ
ルは自動的に停止し,アームもレストに戻るようになっていました。レコードの終端検出には,磁気特性を利用
した無接触タイプのオート機構が採用され,アームに無理が加わらない設計となっていました。
レコード途中の曲を探す際のキューイングやアームの移動は,すべてフロントにあるボタン操作で可能となって
おり,これらの動作をわかりやすく表示するLEDマルチディスプレイがアームベース部に装備されていました。
レコード途中の曲や聴きたい部分を捜す際に便利なサーチ機能も,サーチキーの押し方次第で2スピードに変
えられ,サーチを離せばそのポイントで自動的にキューダウンするようになっていました。さらに,再びレコードの
頭から演奏したい場合,スタート・ストップキーを2度押せば再スタートでき,また,リピート機能も装備されてい
ました。

アームそのものは,ローマスタイプのストレートアームで,アームパイプにはニッケルボロン蒸着が施され,軽量
高剛性が実現され,不要な共振が抑えられていました。標準装備のヘッドシェルは,テクニクスがSL-10で開
発したT4P規格に対応したものが搭載され,ワイヤーの接続が不要なプラグインコネクタ方式が採用されており
T4P規格のMM型カートリッジが装備されていました。また,従来型のカートリッジに対応したヘッドシェルも付属
していました。

ターンテーブルは,アルミダイキャスト製,直径325mm,重量1.4kgのもので,テクニクス伝統の一体構造D.D.
モーターが搭載されていました。モーターは,テクニクスらしくハイトルクのブラシレスDCモーターとなっていました。
回転数検出には全周検出FGが搭載され,基準信号発生に水晶発振器を使用したクォーツ制御により,ワウ・フ
ラッター0.012%(FG直読),回転数偏差±0.002%,SN比81dBという高精度で静かな回転が実現されて
いました。

キャビネットは,高密度圧縮のパーティクルボード・鏡面仕上げ木目の美しいもので,底ベースには,テクニクス自
慢の耐振性,防振性にすぐれた音響素材T.N.R.C.(Technics Non Resonance Compound)が採用される
など,トータルに無振動・無共振の設計がなされていました。

以上のように,SL−MA1は,比較的手ごろな価格の中級機ながら,操作性,性能等しっかりと作られた完成度の
高い,コストパフォーマンスにすぐれたプレーヤーでした。DDプレーヤーの元祖・テクニクスの高い技術が感じられ
る1台だったと思います。



以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。




高い基本性能をベースに,
ひと味違う操作性を追求した
円熟のD.D.


電子駆動アーム搭載。
カートリッジの特性を存分に発揮させます。

◎レコード音楽の豊穣な世界に
 浸りきれる電子制御フルオート
◎高感度電子駆動トーンアーム
◎電子制御フルオート機構
◎使う立場で考えた様々な機能
◎基本性能を徹底して磨きあげた
 高音質再生クォーツD.D.
◎プラグインコネクタ方式の
 高性能MM形カートリッジ装備
◎伝統の無振動,無共振思想を貫く
 TNRC&高密度ウッドキャビネット



●SPECIFICATIONS●

ターンテーブル部
駆動方式 ダイレクトドライブ
駆動モーター ブラシレスDCモーター
制御方式 クォーツ制御
ターンテーブル アルミダイカスト製直径32.5cm
重量1.4kg(ゴムシート含む)
回転数(r.p.m.) 331/3,45
ワウ・フラッター 0.012%(FG直読)
0.025%(JIS C5521)
S/N比 81dB(DIN-B)
(IEC 98A weighted)
トーンアーム部
回転軸感度 7mg(水平垂直初動感度)
針圧調整範囲 0〜2.0g
適合カートリッジ重量 6〜10g
(4〜13g:補助ウェイト使用時)
カートリッジ部
型式 プラグインコネクタ
MM形ステレオカートリッジ
自重 6g
交換針品番 EPS-33CS
標準価格3,800円
総合
電源 AC100V 50/60Hz
消費電力 14W
外形寸法 453W×170H×408Dmm
重量 9.0kg
※ 本ページに掲載したSL-MA1の写真・仕様表等は1988年4月の
 Technicsのカタログより抜粋したもので,パナソニック株式会社に
 著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引
 用等をすることは法律で禁じられていますので,ご注意ください。

 
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