marantz Sm-11
STEREO POWER AMPLIFIER ¥400,000
1983年に,マランツが発売したパワーアンプ。マランツはもともとアメリカのブランドでしたが,
1975年にスタンダード工業が日本マランツとなり,その後1980年にはフィリップス傘下に入
りました。現在では,デノンと経営統合してD&Mホールディングスの傘下となり,マランツは国
内でも数少ない日本の高級オーディオブランドとなっています。マランツは,日本マランツとなっ
た頃から,セパレートアンプの分野でも,新しいシリーズを展開していきました。その中のパワー
アンプの最上級機であったSm1000Sm700に次ぐモデルとして発売されたパワーアンプ
がSm-11でした。

パワー段は,すぐれたリニアリティをもつパワートランジスターを採用し,4本パラレルの3段ダー
リントン回路の構成で,合計16本ものパワートランジスターを使用したぜいたくな設計となって
いました。また,すべての電圧増幅段には,カスコード回路を採用することにより回路のシンプ
ル化を行い,裸特性を大幅に改善して,多量のNFBをかけることなく低雑音化,低歪化を実現
していました。そして,こうした構成により,200W+200W(8Ω),300W+300W(4Ω)とい
う大出力を確保していました。



電源部は,高レギュレーションの大型パワートランスと特別に開発されたオーディオ用カスタム
大容量電解コンデンサーを投入していました。特に,電解コンデンサーは,コンピューターグレー
ドの高級ネジ端子方式のものが採用され,高信頼性を確保していました。
さらに,大電流をダイレクトにコントロールアンプを通さずにコントロールアンプの電源スイッチに
よってパワーアンプの電源をON/OFFできるリモート付ACコードを装備しているのも大きな特徴
で,これによってコントロールアンプの電源スイッチにかかる電流を減らすことができ,音質の向
上と操作性も高められていました。

フロントパネルには,大型のピークパワーメーターが装備されていました。ブルーのイルミネー
ションで青く鮮やかなメーター面は,マランツのアンプらしさを感じさせるものとなっていました。対
数圧縮指示の採用で,微小レベルから最大出力まで,レンジ切換えをすることなくモニターが可
能で,また,フロントパネルのスイッチにより,NORMAL/PEAK HOLDが切換えられるようにな
っていました。

以上のように,Sm-11は,当時多く登場してきた新方式の回路方式ではなく,非常にオーソドック
スに技術的に煮詰め,物量をしっかり投入したパワーアンプでした。バランスの整った誇張感の少
ない音ながら,しっかりと底力をもったアンプで,音楽を聴く道具として使いやすい1台となっていま
した。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



「伝説の創造」

◎至高の音質でハイパワーを発揮
◎大出力と高音質を支える強力電源
◎マランツブルーに輝くピークパワーメーター
◎音質を求め,リモート付ACコード装備




●SPECIFICATIONS●

定格出力
(20Hz~20kHz,両ch同時駆動)
200W+200W(8Ω)
300W+300W(4Ω)
全高調波歪率
(20Hz~20kHz,8Ω負荷)
0.008%以下
混変調歪率
0.008%以下
周波数特性 10Hz~100kHz +0,-1dB
入力感度及びインピーダンス 1.5V/22kΩ
ダンピングファクター 100以上
SN比(IHF-A) 120dB
消費電力(電気用品取締法) 400W
寸法 454W×200H×446Dmm
重量 30kg
※本ページに掲載したSm-11の写真,仕様表等は1984年11月の
 marantzのカタログより抜粋したもので,D&Mホールディングスに
 著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用
 等することは法律で禁じられていますのでご注意ください。

  
 
 
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