OPTONICA SM-2500
INTEGRATED AMPLIFIER ¥59,800
1975年に,オプトニカ(シャープ)が発売したプリメインアンプ。家電メーカーであったシャープは,1974
年頃よりOPTONICA(オプトニカ)ブランドで力の入ったオーディオ機器を発売していきました。そうしたオ
プトニカブランド初期のプリメインアンプの中で,SM-4000,SM-3000に次ぐエントリークラスのモデル
がSM-2500でした。
イコライザーアンプは,コンピュータを応用したCAD手法による回路設計が行われていました。初段に低
雑音FETを採用し,カートリッジとの直結回路により位相特性や過渡特性を改善し,低域での歪や雑音が
抑えられていました。終段には,100Vの高電圧で動作するVERTICAL FETを採用し,ダイナミックマー
ジンの改善が図られていました。
こうしたFETで構成されたイコライザーアンプは,RIAA偏差±0.3dB以内,PHONO最大許容入力300
mV(RMS)というすぐれた性能を実現していました。
パワーアンプ部は,全段直結純コンプリメンタリーOCL回路で,0.1%歪時,52W+52W(1kHz両ch
駆動8Ω),47W+47W(20~20,000Hz)の出力を実現していました。さらに常時使用領域(35W+
35W以下)では,0.05%の低歪率を実現していました。
また,電源部は,レギュレーションのよい大型の電源トランスと10,000μFの大容量コンデンサーを搭
載し,瞬間的な大出力にも安定した電源供給能力を確保していました。
トーンコントロールアンプ部は,ICによる±2電源差動増幅回路と位相特性にすぐれたNF型トーンコント
ロール回路を採用し,低歪率化をはかるとともにブースト時も十分なNF量が得られるようになっていまし
た。また,±2電源の中点電位の安定化をはかるなど,安定した性能を確保していました。
トーンコントロールはBASS,TREBLE独立形で,ターンオーバー周波数もBASSが300Hz・600Hz,
TREBLEが1.5kHz・3kHzとそれぞれ2段切換式になっていました。また,スイッチ一つで平坦な周波
数にできるトーンディフィートスイッチも装備されていました。さらに,7kHz,6dB/octのハイカットフィル
ターと30Hz,6dB/octのローカットフィルター,ラウドネススイッチ(100Hzで+5dB,10kHzで+3dB)
も装備されていました。
ボリュームは,精密な32接点ディテントボリュームが搭載され,dB表示の目盛と合わせ,正確な減衰量
調節が可能でした。また,ボリュームの下部には,-20dBのミューティングスイッチが設けられていまし
た。
入力は,PHONO2系統,TUNER,AUXに加え,TAPE入出力が2系統装備され,相互ダビングも可能
となっていました。TAPE2は,ピン端子に加え,DIN端子も装備されていました。また,プリ部とパワー部
は切り離しての使用も可能でした。
以上のように,PM-2500は,オプトニカブランドのプリメインアンプのエントリーモデルとして,また当時
の売れ筋価格帯のモデルとして,上級機の技術的内容を継承しつつコストパフォーマンスにすぐれた設
計がなされていました。少しメカメカしさを強調したようなデザインは,好き嫌いもありそうですが,機能的
にもしっかりとオーソドックスにまとめられ,明るめの聴きやすい音をもった使いやすいアンプでした。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
まずFET,そして実効出力
52W+52Wにご注目を。
忠実再生の思想に徹して
アンプ技術のノウハウを結集。
◎低歪率,低雑音,大きなダイナミックマージン
低雑音FETと高耐圧VERTICAL-FETによる
オールFETイコライザアンプ
◎実効出力52W+52W(1kHz 両CH駆動8Ω)の余裕
全段直結純コンプリメンタリーOCL増巾回路
◎異常時にそなえた各種プロテクション回路
◎リスニング条件にマッチできる
ターンオーガー切替え式トーンコントロール
◎ワンタッチで周波数特性が平坦にできる
トーンディフィートスイッチ
◎低歪率を実現したコントロールアンプ部
◎ダビング中に他のソースも聴ける
新方式のダビングスイッチ
◎32接点ディテントボリューム
◎効果的なカットオフ特性 2つのフィルター
◎3通りに選択できる スピーカー切替スイッチ
●-20dBのミューティング回路
●100Hzで+5dB,10kHzで+3dBの
ラウドネスコントロールスイッチ
●2系統のPHONO入力
●マルチチャンネルアンプ方式や他機器との組合わせ使用
もできる,パワーアンプとプリアンプの分離が可能
●定格●
■パワーアンプ部■
回路方式 | 全段直結 純コンプリメンタリOCL |
実効出力 | 52W+52W(1kHz,両CH駆動8Ω) 47W+47W(20Hz~20kHz,両CH駆動8Ω) |
高調波歪率 | 0.1%(実効出力時) 0.05%(1~35W出力時) |
混変調歪率 | 0.1%(実効出力時) 0.05%(1~35W出力時) |
出力帯域幅 | 5Hz~40kHz |
周波数特性 | 5Hz~100kHz+0,-1dB |
入力端子(感度/入力インピーダンス) | POWER IN:800mV/70kΩ |
出力端子 | SPEAKER:A,B(4~16Ω),A+B(8Ω~16Ω) HEADPHONE:4Ω~16Ω |
ダンピングファクタ | 40以上 |
SN比 (IHFショートサーキットAネットワーク) |
100dB以上 |
残留雑音 | 0.4mV以下(8Ω,プリ+パワーアンプ) |
■プリアンプ部■
回路方式 | イコライザアンプ:オールFET直結ICL コントロールアンプ:差動増巾NF型 |
入力端子 (感度/入力インピーダンス) |
PHONO 1:2.5mV/47kΩ PHONO 2:2.5mV47kΩ PHONO最大許容入力:300mV(RMS) AUX:150mV/47kΩ TUNER:150mV/47kΩ TAPE MONITOR 1:150mV/47kΩ TAPE MONITOR 2:150mV/47kΩ |
出力端子 (レベル/出力インピーダンス) |
TAPE REC1,2(PIN端子):150mV TAPE REC2(DIN端子):30mV/80kΩ |
周波数特性 | PHONO(RIAA偏差):30Hz~15kHz±0.3dB以内 AUX,TUNER,TAPE MON:5Hz~70kHz-0,-1dB |
トーンコントロール | BASS :ターンオーバー600Hz ±10dB(100Hz) ターンオーバー300Hz ±10dB( 50Hz) TREBLE:ターンオーバー1.5kHz ±10dB(10kHz) ターンオーバー 3kHz ±10dB(20kHz) |
フィルター | LOW :30Hz(6dB/oct) HIGH:7kHz(6dB/oct) |
ラウドネスコンター | +5dB(100Hz) +3dB(10kHz) |
SN比 (IHFショートサーキットAネットワーク) |
PHONO1,2:80dB AUX,TUNER,TAPE:90dB |
ミューティング | -20dB |
■電源部,その他■
電源電圧 | AC100V 50/60Hz |
消費電力 | 125W(電気用品取締法に基づく) |
電源コンセント | 電源スイッチ連動2,電源スイッチ非連動1 |
使用半導体 | IC3,トランジスタ24,FET6,ダイオード24 |
外形寸法 | 144H×442W×380Dmm |
重量 | 10.5kg |
※ 本ページに掲載したSM-2500の写真,仕様表等は1975年9月の
OPTONICAのカタログより抜粋したもので,シャープ株式会社に著作権
があ ります。したがって,これらの写真等を無断で転載・引用等すること
は法律で禁じら れていますのでご注意ください。