SANSUI SP-301
2WAY SPEAKER SYSTEM ¥45,000
1979年に,サンスイが発売したスピーカーシステム。1970年代の最後のこの頃,各社は金属系,セラミック系,
炭素繊維など,新素材をスピーカーユニットに積極的に導入し,来るデジタルオーディオ時代に向けたスピーカーシ
ステムを盛んに商品化していました。そうした中,オーソドックスな紙パルプベースのコーン型ユニットによる2ウェイ
システムとして,SP-511の弟機として発売されたのがSP-301でした。
ウーファーは,32.2cm口径のコーン型で,コルゲーション入りのストレートコーンが搭載されていました。コーン紙
は外国産針葉樹パルプを使用し,適度な内部損失をもち,軽量で高剛性なプレスレスコーンが採用されていました。
エッジは,特殊発泡樹脂を熱成型した高ストローク化が図りやすいアップロールタイプが採用されていました。磁気回
路には,120φの大型フェライトマグネットが採用され,連続的な大入力にも対処できる耐熱処理を施した精密加工
のボイスコイルとあいまってすぐれたリニアリティ,過渡特性が実現されていました。さらに,ダンパーの材質や含浸剤
接着剤など,細部にわたる検討が行われていました。フレームには,十分な強度のアルミダイキャストフレームが使
用され,有害な共振モードを抑制して,他のユニットへの影響も防止していました。
トゥイーターは,3.6cm口径のコーン型で,コーン形状は指向特性や立ち上がりのよいストレート型で材質もヒヤリ
ングを繰り返して決定されたものが使用されていました。磁気回路は,総磁束密度19,600マックスウェルという強
力な85φの大型フェライトマグネットが搭載されていました。エッジには,新たに波形エッジを開発して採用していま
した。さらに,バッフル板との取り付けも,重量が大きく強度も高い大型のダイキャストフレームの使用により,音像
定位,解像力などを向上させていました。
以上,ユニットの仕様を見て分かるとおり,SP-301は,上級機の3ウェイシステム・SP-511のウーファーとトゥイー
ターを用いた2ウェイシステムとしてまとめられたものでした。エンクロージャーも,SP-511にほぼ近い大きさの余
裕あるものとなっており,2ウェイ化した部分と合わせ,鳴りっぷりの良さもむしろ感じられ,別の魅力となっていまし
た。新開発の音響用パーティクルボードが使用された頑丈なエンクロージャーは,バスレフ型で,内部構造には,十
分な補強が施されるとともに,2種類のグラスウールと,アセテート1種という3種類の吸音材を効果的に使い分けて
いました。各ユニットの取り付けは,左右対称設計となっており,位相や指向特性の向上が図られていました。仕上
げは重厚感のあるニュージョーゼットウォールとなっていました。
ネットワークには,低損失,低歪率設計のLC型が採用されていました。特にウーファー用コアには,アニール・大型
ラミネートコアが採用され,漏洩磁束の発生を抑えるとともに,コイル,コンデンサーなどの電磁誘導を避けるために
部品配置が十分検討されていました。内部の配線材も太目のものが使用され,引き回しにも細心の注意が払われ
ていました。また,トゥイーターには,レベル調整ができるアッテネーターが装備されていました。
以上のように,SP-301は,コーン型ユニットで構成された2ウェイシステムとして,オーソドックスながらしっかりした
作りのスピーカーシステムでした。上級機のSP-511に比べると,2ウェイならではの元気な音をもち,別の魅力があ
る1台だったと思います。


以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。



オールコーン型の2ウェイ。
音楽のエッセンスを快活に表現します。

80年代のコーン・システムを示唆するハッピネス2ウェイ。

◎実使用状態での動特性を向上。
◎細部までに改善を施した新開発
 32.2cmコーン型ウーファー。
◎のびのある透明度の高い高音域,
 3.6cmコーン型ツイーター。
◎ユニットの特長をフルに引き出す
 バスレフ型エンクロージャー。
◎システムの完成度を更に高める
 低歪率設計のネットワーク。
◎高音域連続可変型
 アッテネーター。




●SP-301規格●

型式 2ウェイ・2スピーカー
 ウーファー:32.2cmコーン型
 ツイーター:3.6cmコーン型
最大許容入力 75W
インピーダンス 8Ω
音圧レベル 93dB/W(New JIS at 1m)
周波数特性 35Hz〜20kHz
クロスオーバーネットワーク 2ウェイ,LC型
クロスオーバー周波数 1.7kHz
仕上げ ニュージョーゼットウォール
寸法 390W×640H×305Dmm
重量 18.3kg
※本ページに掲載したSP-301の写真,仕様表等は1979年11月
 のSANSUIのカタログより抜粋したもので,山水電気株式会社に
 著作権があります。したがって,これらの写真等を無断で転載,引
 用等をすることは法律で禁じられていますのでご注意く ださい。

                        
 

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